デザインと暮らしやすさを兼ね備えた夫婦の理想の住まい

施主のS様は70代のご夫婦。お子様たちが巣立たれ、夫婦2人の生活を楽しく快適に過ごすための家づくりを近藤さんに依頼しました。しかしそこには、なかなか高いハードルが。
そのハードルを見事にクリアし、夫婦の理想の住まいを実現させた、近藤さんの家づくりに迫ります。

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大胆な発想が使いやすさとデザインを両立

四角い箱を積み重ねたかのような外観。1階のRCと2階の左官職人による塗壁のコントラストが美しい
トップライトからの光が降り注ぐ、明るいエントランス。扉や手すりのレッドの差し色が美しい

横浜市保土ヶ谷区の閑静な住宅地。グレーの箱の上に白い箱を積み重ねたようなデザインが特徴的な建物が現れる。1階のコンクリートのグレーと、2階の白い塗壁のコントラストが美しい。美術館か何かのようにも思えるが、これはOARK一級建築事務所の近藤さんが手がけた一般住宅なのだ。

一見すると、デザインありきの建物なのかと思うが、近藤さん曰く「施主のSさんの要望を叶えようと試行錯誤した結果、このデザインにたどり着いたのです」。

Sさんの要望とは何だろう?
「一番の難関は、4台分の駐車スペースをとってほしいということでした」
ご夫婦2人共に車を1台ずつ所有していること、巣立たれているお子さん達が遊びに来たり、来客もあることから、4台分の駐車スペースが必要なのだという。

「通常こういった場合は、ビルトインガレージにするのですが、4台分ともなると壁面後退によるロスもあり、1階の部屋が狭くなってしまいます。厳しいなというのが最初の印象でした」
Sさんからの要望は他にもあり、部屋数はさほどいらないものの、1階にゆったりとしたホテルのような一体的な造りの寝室と水回り、2階には広いリビングをというものだったそう。この条件をもクリアできる方法を考え抜いた結果、導き出されたのが、小さな箱の上に大きな箱を重ねたような形だった。
「1階をRC構造の箱として、2階は自然素材を使った木造の建物を載せる構造にしました。こうすることで両サイドに2台ずつの車が置けますし、上の建物が庇のような役割をしてくれて、雨風から車を守ってもくれます」と近藤さん

この提案を見たSさんの反応は「そうきたかー。いいね!」だったという。
車4台という難関を大胆な発想の配置と、洗練された建物のフォルムで見事クリアしてみせた近藤さんの手腕が、アートやデザインにも造詣が深いSさんをもうならせた。

広くとられた1Fの寝室は、玄関からのダイレクトアプローチ。ウォーキングクローゼットもあり収納力も抜群

依頼者に寄り添い、夫婦の理想のくらしを実現

階段上に設けられた落下防止フェンス。黒いフレームとワイヤーというシンプルな構造とすることで、光を遮らずデザイン性も高めた
構造材の梁をあえて見せることで天井を高くとり、空間の広がりを演出。大開口からの光が室内を明るく照らす

室内に目を移そう。エントランスを入ると、ホールの天井は吹き抜けになっており、トップライトからの日差しが明るい。室内エレベーターやほぼフラットなアプローチは、今後のお2人のことを考えたバリアフリー設計となっている。
1階には広い寝室が1部屋。そして何より特徴的なのが、水回りだ。
海外でのホテル滞在が多いというSさんのリクエストで、寝室から水回りへのアプローチがシンプルな動線となっている。

手すりの差色の赤が美しい階段を昇り2階へ。壁に額縁のようなものが見えるが、これは実は落下防止フェンスの一部。お孫さんやワンちゃんのため、階段上にフェンスは必須だが、扉にしてしまうと圧迫感があり光も遮ってしまう。そのため、フレームとワイヤーでオリジナルのフェンスを考案した。扉が開いているときは壁に収納でき、それが額縁のように見えるのが面白い。

2階には開放的なリビングが広がる。構造の梁をあえて見せ、天井を高くすることで空間の広がりを感じさせている。
「道路側から見るとわかりにくいのですが、実は2階は勾配屋根にしています」と近藤さん。
南側の天井を高くし、高窓をつけることで日差しを呼び込むと共に、空間の広がりを実現しているのだ。それを道路側からの視線では、わからない程度の勾配にして、美しいスクエアの意匠をつくりだしているのは、見事としかいいようがない。

広いリビングでは、お子さんやお孫さんが集まり、くつろぎの時間を過ごしたりすることが多くなったそう。また、リビング、バルコニー、個室を1つの大空間とすることで、20名ほどの人が集い、賑やかで楽しいひと時を過ごしたこともあったという。

「デザインばかりを重視した家は作らない」「使いやすい・住みやすい家であることが第一」と語る近藤さん。それでも、デザインと使い勝手を両立させてしまうのがまさに近藤マジック。

完成後2年たった今でも、Sさんご夫妻は「建ててよかった!大変満足している。」とのこと。
それは、スペックとして全ての要望が叶えられているだけでなく、使い勝手やデザイン性といった建物への満足感があるのだろう。さらにはこの家が、子や孫といった家族、たくさんの来客が集まる、楽しい体験をもたらしてくれているということが大きいに違いない。まさに夫婦の理想のくらしを叶える家に仕上げたからなのだ。

これからも近藤さんは、依頼者に寄り添い、その卓越した手腕で、デザインと使い勝手を両立させたオンリーワンの家を作り出すに違いない。

広々としたバルコニー。大きな開口が室内へ明るさをもたらしている。冬は高窓から日差しが入り夏は庇が日差しを防ぐ設計となっている

近藤 隆治

OARK一級建築士事務所

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