インルームバルコニー&中庭がアクセント!天然杉を贅沢に使った「切妻屋根の家」

周囲に溶け込む落ち着いたグレーの左官壁と、三角屋根が印象的なつくばみらいの家。一歩中に入ると、目の前には薪ストーブを備えた広い土間が。そして2階には、杉の無垢材を豊富に使った開放的な空間が広がる。「書斎やリビングなど、細かい間取りに囚われない自由に過ごせる空間をつくりたい」。そんな思いを込めて設計を担当した建築家・岩瀬卓也さんの、美的センスとこだわりが詰まった家づくりをご紹介しよう。

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家のどこにいても自然の木を感じられる空間づくり

床や柱、天井に天然の杉をたっぷり使ったリビング。床の杉も40ミリの厚さがあるので、はだしで踏んだ感じもとても心地よい
抑えたグレーの色調の左官壁と切妻屋根の形がそのまま印象的なフォルムをつくり上げている。

静かな住宅街に建つつくばみらいの家。現在はご夫婦と、お子さん2人の4人住まいだ。もともと木が好きで、自然木を使った家に憧れがあったご夫婦が設計をお願いしたのが、同年代の建築家である岩瀬さんだった。「自然素材を使った建売住宅なども見たんですけど、せっかくなら自分が好きな家を建てたいと思って、岩瀬さんにお願いしました」と話す。床材、天井、水回りにまでも杉の天然木が使われており、家中どこにいても、木の風合いを感じることができる。なかでも特筆すべきは、厚さ40㎜のこだわりの床材だ。「この厚さがあるからこそ調湿性、保温性も高いですし、踏み心地も違うんです」と、話す岩瀬さん。地元の製材所と繋がりがある岩瀬さんだからこそ、この良質な床材が提供できるのだという。

こうして随所に木の風合いが生き、家中どこにいても木を感じることができる。早速その内部を見てみよう。まず玄関を入ると、そこには薪ストーブを備えた広い土間スペースが設けられている。「ご主人が火の番をしながら、趣味に没頭できるスペースにしたいと考えました」と岩瀬さん。この薪ストーブの熱はしっかり循環し、1階、2階の両方を温めることができるそう。

そして、職人の技術が生きる美しい千本格子の引き戸を開けると、その先にご夫婦の寝室と子ども部屋、そしてバスルームや洗面所といった水回りが配されている。面白いのは、廊下の壁面に家族4人それぞれの収納が設けられていること。「みんなが自分の荷物を自分のスペースで管理できるようにしたかったんです」と笑顔の奥様。さらに2階には、奥様が洗濯物を持って1階まで移動しなくて済むよう、ランドリーシューターも設けられている。このような細やかな希望が生かせるのも、建売りにはない魅力といえるだろう。

2階のリビングから見た中庭。右は同じくリビングスペース。そして左にはインルームバルコニーが配されている

公園を見下ろす窓と中庭で2階の採光をしっかり確保

杉の無垢材をふんだんに使ったリビング。木の風合いと白い壁のコントラストが美しい
洗濯物を持って1階まで移動しなくて済むよう設けられたるランドリーシューター。ここに洗濯物を入れると、1階の洗濯カゴに洗濯物が入る仕組み。家事動線を少しでも良くしたいという、奥様のたっての希望でつくられた

土間の横から階段を上がると、踊り場にPCコーナーが。さらに上にあがると、リビングダイニングが広がる。1階からつながっている中庭に開いた大きな窓と、公園を見下ろす窓から燦燦と光が注ぐ、実に開放的な空間だ。ひときわ目立つ大黒柱は、岩瀬さんからの提案により、建て主自らが常陸太田の山林から自身で伐採してきた思い出の木。ご主人の一番のお気に入りなのだという。

このほかリビングの右側にはキッチン、その奥には書斎がわりのスタディーコーナーが配されている。建具はすべて大工さんによる造作。デザイン的に統一感があるおかげで、全体がすっきりとした印象だ。そして、髙天井を見上げると、そこには堂々たる杉の梁と、職人技が光る美しい切妻屋根の木組みに目が留まる。「切妻屋根は、雨が多い日本ではとても効果的なんです」。と話す岩瀬さん。日本の自然とうまく付き合っていくことも、岩瀬さんの家づくりの信条の1つなのだ。

さて、この家の大きな特徴の1つが、岩瀬さんの提案によって設けられた、屋根付きのインナーバルコニーである。家の外でもあり、内でもある。この独特の空間は、この家の大切なアクセントとなっている。「インナーバルコニーを始め、この家には様々な居場所が用意されています。家族の居場所がリビングのソファに限定されないことは、曜日、時間、ライフスタイルなどの「変化」に対して有効に機能します。特に半屋外空間であるインナーバルコニーにおいては、その日の気分や天候によって、そこが家の外か内かさえも日々変化します。また、季節やお子さんの成長、家族構成によっても変わっていき、将来的には庭のような場所になっていくのかもしれません。ご夫妻はこうした変化する・していく・させていく居場所の魅力を直感的に理解されていたと思います。」と岩瀬さん。これに対し、「今回の家づくりでは、岩瀬さんがいろいろ細かいところまで提案してくださったので、満足がいく家ができました」と奥様も笑顔で返す。このインナーバルコニーも、子どもの遊び場として、家族のだんらんの場として、大活躍しているのだという。

こうしてご夫妻と岩瀬さんがつくり上げた新しい住まい。そのあまりの居心地の良さに、休みの日にも家から出ないことが多いのだと奥様は言う。インナーバルコニーで遊ぶ子どもの姿を見ながらゆったり過ごす時間は、きっと何物にも代えがたいに違いない。

屋根付きのインナーバルコニーは、外でもあり、室内でもある空間。子どもたちの安全な遊び場としても大活躍している

撮影:アトリエあふろ(糠澤武敏)

岩瀬 卓也

岩瀬卓也建築設計事務所

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