【亡くなった親の家を売る流れ】相続にかかる費用や税金・節税方法まで解説
亡くなった親の家を売るまでの流れや、兄弟との分け方に関して解説していきます。節税方法や税金の特例を理解し、相続にかかる費用を少しでもおさえるための知識をインプットしましょう。
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亡くなった親の家を売るまでの必要な流れ
- 1.名義変更
- 2.価格査定
- 3.防火委契約の締結
- 4.売却活動の開始
- 5.買付証明書の受領
- 6.売買契約の締結
- 7.引渡・残金決済
- 8.確定申告
亡くなった親の家を売る場合には、上記のような流れで進めていく必要があります。
相続税を納める必要のある方は、「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」に、相続税の納税と申告を進める必要があるため要注意。
兄弟間の遺産の取り分について
法定相続人
順位 | 親族 |
第1順位 | 子またはその代襲相続人(孫) |
第2順位 | 直系尊属(父母) |
第3順位 | 兄弟姉妹またはその代襲相続人(甥・姪) |
「法定相続人」とは、法律で定められた相続人のことを指します。配偶者がいる場合には、配偶者は必ず相続人です。
配偶者以外の相続人の順位は、上のように定められています。
法定相続分
法定相続人 | 法定相続分 |
配偶者と子ども | 配偶者1/2、子ども1/2 |
配偶者と直系尊属 | 配偶者2/3、直系尊属1/3 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 |
【結論】兄弟の取り分は配偶者が健在かどうかで変わってくる
兄弟間での取り分については、配偶者のありなしによって法定相続分が変わってきます。
例えば、兄弟の人数が2人の場合は以下のような分け方になります。
兄弟2人の法定相続分 |
|
配偶者が健在の場合 | 25% |
配偶者が他界している場合 | 50% |
売却までに必要な名義変更の種類
亡くなった親の家を売るためにはまず、売主を明確にするために名義変更をする必要があります。名義変更には主に、3つの種類があります。
〈1〉遺言による分割
遺言書がある場合の名義変更のことです。遺言書は法的効力があるため、必ず遺言に従って名義変更をおこなう必要があります。
相続が発生したらまず、遺言書のありなしについて確認しましょう。
〈2〉法定相続
法定相続で分割し、共有名義でする名義変更のことです。相続した親の家を売り、相続人で現金を公平に分けたい場合に適しています。
相続人の共有名義となるので、売却には共有者全員の同意が必須です。
〈3〉遺産分割協議による分割
相続後に相続人の間で遺産の分割方法を決める話し合いのことを遺産分割協議といいます。遺言書がなく、法定相続以外の方法で分割したい場合や、遺言書があっても遺言書とは異なる方法で分割したい場合に適しています。
こちらも、相続人全員の同意が必要です。
名義変更に必要な書類
法定相続 | ・被相続人の10歳前後から死亡までの継続したすべての戸籍謄本 ・被相続人の除住民票または戸籍の附票 ・相続人全員の戸籍謄本 ・相続人全員の住民票または戸籍の附票 ・固定資産税評価証明書 ・(任意)相続関係説明図 |
遺言による分割 | ・遺言書 ・遺言者の死亡事項の記載がある除籍謄本 ・相続人または受遺者の現在の戸籍謄本 ・遺言による相続または受贈する相続人と受贈者の現在の住民票または戸籍の附票 ・固定資産税評価証明書 ・(任意)相続関係説明図 |
遺産分割協議による分割 | ・遺産分割協議書(相続人全員自署・実印押印・印鑑証明書添付) ・被相続人の10歳前後から死亡までの継続したすべての戸籍謄本 ・被相続人の除住民票または戸籍の附票 ・相続人全員の現在の戸籍謄本 ・遺産分割により相続する相続人の現在の住民票または戸籍の附票 ・固定資産税評価証明書 ・(任意)相続関係説明図 |
亡くなった親の家を売る際に生じる税金
〈1〉相続時に発生する税金
相続の際には、相続税が発生する可能性があります。相続税は、故人のすべての資産(遺産総額)が課税対象となります。実際の課税対象の遺産総額は、故人の資産から基礎控除額を控除したものが対象となります。
- 課税対象の遺産総額 = 課税価格 - 基礎控除額
▼基礎控除額の計算式
- 基礎控除額 = 3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
課税価格 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | ― |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円以上 | 55% | 7,200万円 |
〈2〉名義変更時に発生する税金
相続した物件を売るには名義変更が必要となり、名義変更をするには登録免許税が発生します。
▼登録免許税の計算式
- 登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%
〈3〉売却時に発生する税金
売却時には、売買契約書に貼り付ける印紙税が発生します。印紙税は、売買契約書に記載する金額ごとに、以下のように税額が決まっています。
売買契約書に記載する金額 | 本則 | 軽減税率(※) |
金額の記載がないもの | 200円 | 200円 |
1万円未満 | 200円 | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 | 200円 |
10万円以上50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円以上100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円以上500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円以上1000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1000万円以上5000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5000万円以上1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円以上5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
5億円以上10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
10億円以上50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
50億円以上 | 600,000円 | 480,000円 |
※ 軽減税率は2022年3月31日までの売買契約書で適用
※住宅ローンなどでお金を借りた人が返済できなくなった場合に、なにか高価なものを担保して弁済を受ける権利のこと。
〈4〉売却後に発生する税金
売却によって利益(譲渡所得)が発生する場合には、所得税または住民税、復興特別所得税が生じます。
譲渡所得は、以下の計算式で求められます。譲渡所得がマイナスだと税金は発生せず、譲渡所得がプラスだと税金が発生します。
▼譲渡所得の計算式
- 譲渡所得 = 譲渡価額(※1)- 所得費(※2) - 譲渡費用(※3)
※1 売却価額
※2 土地に関しては購入額、建物に関しては購入額から減価償却費を控除した価額
※3 仲介手数料・印紙税・測量費・取り壊し費用など売却する際に使った費用
そして、所得税と住民税を総称して「譲渡所得税」と呼び、以下の計算方法で算出します。
▼譲渡所得税の計算式
- 譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率
家を所有していた期間に応じて、譲渡所得税の税率は異なります。
所有期間が5年以下だと「短期譲渡所得税」、5年以上だと「長期譲渡所得税」となります。
短期譲渡所得税 | 譲渡所得 × 39.63%(所得税30% + 復興特別所得税0.63% + 住民税9%) |
長期譲渡所得税 | 譲渡所得 × 20.315%(所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%) |
親の家を売る際に税金を抑える方法
〈1〉譲渡費用を漏れがないように計上する
譲渡費用に計上できるもの | ・売却のためにおこなった建物の補修費 ・売買契約書の印紙代 ・売却時の仲介手数料 ・売却のために広告した場合の広告料 ・売却のために鑑定をした場合の鑑定料 ・売却のために測量した測量費 ・売却のために借家人を立ち退かせるために支払った立ち退き料 ・買主の登記費用を負担した場合の負担額 ・土地を売るために、その土地の上の建物を取り壊した場合の、建物の取得費と取り壊し費用 ・すでに売買契約を締結していたが、ほかに売却するため、その契約を解除した場合の違約金 ・飼い主との交渉のために使った交通費、通信費 |
譲渡費用として認められない支出 | ・抵当権抹消費用 ・遺産分割のために使った支出 ・移転先家屋の購入費、修繕費、移転費 ・引っ越し代 ・譲渡資産の維持管理費 |
〈2〉取得費のわかる資料を探す
所得税や住民税を節税するためには、取得のわかる資料を用意しておきましょう。以下のような資料が対象となります。
▼取得費のわかる資料
- 売買契約書
- 建物の請負契約書
取得費がわからない場合は一律で、【取得費 = 譲渡所得 × 5%】で算出されてしまい、本来かかっている取得費用よりも低く見積もられてしまいます。
それを防ぐためにも、取得費のわかる資料を探しておきましょう。
〈3〉取得引加算の特例
相続税を納税した方が利用できる特例です。こちらを適用するためには、以下の条件を満たしていることが必須です。
- 1.相続や遺贈により財産を取得した者であること
- 2.財産を取得した人に相続税が課税されていること
- 3.財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
〈4〉低未利用土地などの売却(100万円特別控除)
不動産の売却価格が500万円以下である場合に適用できます。以下の条件を満たしている必要がありますが、査定価格が500万円以下であれば検討しておきましょう。
- 1.売った土地等が、都市計画区域内にある低未利用土地等であること
- 2.売った年の1月1日において、所有期間が5年を超えること
- 3.売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと(※1)
- 4.売った金額が、低未利用土地等の上にある建物等の対価を含めて500万円以下であること
- 5.売った後に、その低未利用土地等の利用がされること
※1 特別な関係には、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
〈5〉マイホーム売却の特別控除
亡くなった親の家に自分も住んでいた場合には、マイホームの売却として扱われ、3,000万円の特別控除を受けることができます。
ただし、別荘のような扱いだったり、一緒に住んでいなかったりする場合には適応されないため、注意しましょう。
〈6〉小規模宅地等の特例
亡くなった親の家が小規模(330㎡まで)だった場合に利用できる特例。土地が330㎡以下だった場合、80%も土地の評価額を減額できるため、戸建ての家を売る際に大幅に節税できる可能性が高いです。
マンションの場合は土地の評価額がほとんどないので利用が難しいかもしれません。
家を売却する前には片付けをしておく
家を売却する前にはまず、遺品整理をして形見分けをおこなったり、不用品を回収してもらいましょう。
遺品整理・不用品整理は業者に依頼するのがおすすめ
▼遺品整理110番(遺品整理)
遺品整理でお困りの人は、「遺品整理110番」の利用がおすすめです。
基本プランは16,500円(税込)〜で、遺品の仕分けから不用品の処理・簡易清掃まで遺品整理に必要なサービスが含まれています。要望に応じたオプションの追加や遺品整理時の買取も行っているので、遺品整理に関する作業をすべて任せたいという人にもおすすめです。
電話でのご相談は24時間365日受付中のため、遺品整理にお困りの人は、まずは気軽に事前見積もりのご相談をしてみてはいかがでしょうか。
※買取を行うのは買取可能な物品がある場合に限ります
▼くらしのマーケット(不用品回収)
専門業者に不用品回収をお願いしたいという人は、「くらしのマーケット」の利用がおすすめです。
不用品回収から害虫駆除、水回りのトラブルまで、暮らしにまつわるサービスを掲載しており、さまざまな事業者の中から、口コミや料金で比較して気になったところを選ぶことができます。実際に利用したユーザーの声を参考にしながら事業者を選んで依頼することができるのがポイントです。
また、登録している事業者は全国にいるため、サービス毎の対応エリアが広いのも魅力のひとつ。 不用品回収にお困りの人は、この機会に一度試してみてはいかがでしょうか。
亡くなった親の家を売る際に生じるよくある疑問
Q1. 親の死後、家の処分にかかる費用は?
・鉄骨造:約210万円~245万円
・鉄筋コンクリート:約245万円~280万円
最近では、市町村が解体の補助金を設けている場合もあります。補助金を受けられる条件は自治体によって異なりますが、解体費用の負担を軽減させることができるため確認してみてください。
Q2. 亡くなった親の家を相続せずに売却することは可能?
遺品整理に関するほかの記事もチェック!
※ 記載している情報は、LIMIA編集部の調査結果(2023年8月)に基づいたものです。
※ 一部の画像はイメージです。
※ 賃貸物件を退去する際には原状回復を行う義務があるため、壁や床、ドアなどの部屋の設備に変更を加える場合は必ず賃貸借契約書を確認の上、事前に家主や管理会社の許可を取るようにしてください。
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