【ミニレシピ付き】災害時の食卓を考えよう!防災非常食のススメ
私たちが当たり前のように使っている水道やガス、電気は毎日の食事にも欠かせません。災害によってこれらが途絶えてしまった時の食生活を考えてみたことはありますか? この記事では、防災非常食の選び方やポイントをはじめ、おすすめの非常食など幅広くご紹介します。災害時に役立つミニレシピも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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■災害をイメージして備えよう
水道やガス、電気などのライフラインが途絶えてしまったら、どんな場面で不便が生じるでしょうか?また、今家にある食料品だけで家族は何日間過ごすことができるでしょうか?
非常食を揃える前に、まずは大きな地震が起こった場合をイメージしてみましょう。
【ライフラインが復旧するまでの期間は?】
災害時には水道やガス、電気などのライフラインが止まる恐れがあります。例えば首都直下型地震が発生した場合、各事業所はライフラインの復旧目標として次のような日数を掲げています。
■首都直下型地震発生後の復旧目標
・水道…30日
・ガス…55日
・電気…6日
それに対して過去に発生した阪神・淡路大震災と東日本大震災の後に、実際にライフラインの復旧にかかった日数は次の通りです。
■阪神・淡路大震災発生後の復旧日数
・水道…約90日
・ガス…約85日
・電気…約6日
■東日本大震災発生後の復旧日数
・水道…約90日
・ガス…約55日
・電気…約95日(東北電力管内)、約9日(東京電力管内)
被害戸数や地域によって差はありますが、このように3ヶ月近くもライフラインが途絶えた状態で生活していた方がたくさん見られました。
近年発生すると言われている首都直下型地震や南海トラフ地震、その他の大地震や自然災害でも、各事業所が掲げている復旧目標よりも時間がかかる可能性は十分に考えられます。
【防災非常食はどれくらい準備すれば良いの?】
震災直後は救援物資の遅れや不足も考えられるため、すぐに水や食料が手に入るとは限りません。
ライフラインが途絶えていれば、ガスや水道水を使わずに調理する必要もあります。そのため、日頃から各家庭で非常食を備えておくことが大切なのです。
食料の備蓄は少なくとも1人あたり3日分、飲料水の備蓄は1人あたり1日3リットルが必要だと言われていますが、可能であれば7日分程度を備えておくのが望ましいでしょう。
例えば、4人家族で3日分を用意した場合では1日3食として計36食分の食料と、計36リットルの飲料水を備蓄しておく計算になります。7日分だと計84食分の食料と、計84リットルの飲料水が必要です。
数字で見ると圧倒されてしまいますが、冷蔵庫にある残り物をはじめ米や缶詰、乾物などの保存食や、次にご紹介する「ローリングストック法」をうまく活用すれば難しい数字ではありません。
まずは、3日分を目標に用意してみてはいかがでしょうか?
【ローリングストック法を活用しよう】
非常食を備えていても必要な時には消費期限が過ぎていて食べられなかったり、災害が起こる前に消費期限が来てしまい、消費のために毎日食べなければいけなかったりと、非常食の保管に悩んでいる方は多く見られます。
今回ご紹介するローリングストック法とは、2013年頃から注目されはじめた新しい備蓄法です。
実践することはそこまで難しくありません。備蓄している非常食を日頃から消費して、食べた分だけ新たに補充をするだけで良いのです。こうすると、期限の長い非常食が常に一定量ストックしてあるという状態を保つことができます。
また、ローリングストック法を使えば重くて場所を取る飲料水も備蓄しながら利用でき、飲食料のほかにも使用期限のある乾電池などの日用品に応用することもできます。
では、以下でローリングストック法の主なメリットを見てみましょう。
■比較的期限の短いものも利用できる
保存食というと消費期限が3年~5年など長期保存できるものが一般的でしたが、ローリングストック法では定期的に消費していくので、消費期限は1年程度あれば十分だと言われています。
消費期限の短い食品も非常食として捉えることで、選べる食品が増えました。家族の好みに合わせて、「我が家の非常食」を選んでみてください。
■食材を無駄にしにくい
非常食を食べる度に新たに期限の長いものを補充するため、いざ必要となった時に消費期限が切れて食べられないという失敗を防げます。
■非常食に慣れることができる
日頃から非常食を食べ慣れているので、災害時に初めて非常食を出してみたら口に合わず食べられなかった…という心配を防ぐことができます。
また、ローリングストック法では好みに合わなかった場合に新たに買い直すことができるので、補充の度に少しずつ好みの食品を増やしていくと良いでしょう。
ローリングストック法では初めに1人あたり4日分、計12食の非常食を家族の人数分揃えることが推奨されています。先にご紹介した「1人あたり3日分」という目安より1日多いのでご注意ください。
非常食が準備できれば毎月1食~2食程度ずつ非常食を食べ、食べた翌日に補充するというのを繰り返していきます。
例えば4人家族の場合、初めに48食分の非常食を準備します。普段食べている食事の3食のうち1食を非常食に置き換えると、1日に4人で消費するのは計4食分です。
消費した分は翌日に買い足します。これを毎月1回のペースで繰り返していくと、ちょうど1年で初めに準備した48食と新しく補充したものが全て入れ替わり、新しい48食が出来上がっていることになります。
非常食を日常に取り入れるという考え方なので、押入れの奥にしまうのではなく、すぐに取り出せる場所に保管するのがポイントです。
初めに準備する量や消費するペースはあくまでも目安なので、家族構成や家庭の事情に合わせて無理のない範囲でお試しください。
■防災非常食を選ぶポイント
非常食の備えは、「食料品・飲料品・台所用品」の3つのグループに分けて選びましょう。以下では、それぞれの押さえておきたいポイントをご紹介します。
【ポイントその1】食料品の備蓄
非常食は、ライフラインが途絶えてしまっても食べられる缶詰やビスケットなどが一般的です。
過去の例を見ると電気は比較的早く復旧する見込みがあるため、電気ポットでお湯を沸かすだけで食べられるインスタント食品やレトルト食品も良いでしょう。
醤油や酢、塩などの調味料を備えておくと、同じ食品ばかり食べることになっても味に変化を付けられるためおすすめです。
小さな子供がいる家庭では、粉ミルクやベビーフードも必要です。成長に合わせて用意するものも変わってくるので、ローリングストック法を応用して無駄なく備えましょう。
また、高齢者のいる家庭では堅い乾パンの代わりにビスケットを用意したり、普段から食べ慣れているものを備えたりと工夫をすることが望ましいです。
【ポイントその2】飲料品の備蓄
飲料水は1人あたり1日3リットル必要だと言われていますが、トイレや洗濯、洗顔など生活用水も考えるとそれ以上の備蓄が必要です。
汲み置きや浄水器でろ過した水は小まめな汲み替えが必要なため、保存にはペットボトルのミネラルウォーターが便利です。
災害時に給水支援があった場合、給水を受けられるようにポリタンクも用意しておきましょう。
また、子供や高齢者は脱水症状になりやすいため、小まめに水分補給を勧めてください。ビタミン不足を防ぐため、野菜ジュースなどを用意しておくことも考えましょう。
【ポイントその3】台所用品の備蓄
カセットコンロやガスボンベがあれば、ライフラインが復旧するまでの間簡単な調理をすることができます。
いざという時にスムーズに扱えるよう、慣れていない方は実際に使って使い方を覚えておきましょう。クーラーボックスや保冷材は、冷蔵庫の代用としても使えて便利です。
そのほか、あると便利な台所用品は次の通りです。
・ラップ
食器にラップを敷くことで食器を汚さずに食事ができ、洗い水の節約になります。
・ウエットティッシュ
食事の前後に手を拭いたり、食器を拭いたりするのに使えます。
・ポリ袋
ゴミ袋としてだけでなく、お椀やコップに被せて使うことで食器が汚れるのを防いだり、お鍋の代わりに使ったりすることもできます。
・ポリ手袋
手袋をはめて調理をすると、調理の合間の手洗いの水を節約することができます。
・キッチンバサミ
包丁の代用品として、まな板を使わずにカットすることができます。
■オススメの防災非常食&簡単ミニレシピ
ローリングストック法の活用などによって、様々な食品を非常食として揃えることが可能になりますが、以下ではその中でも特におすすめの非常食をご紹介します。
・缶詰
ツナ缶やサバ缶、フルーツ缶など馴染みのものから、お肉やお粥、パン、スープの缶詰など様々な種類があります。ビタミンが不足しないよう、野菜の水煮やスープの缶詰も用意しておくと良いでしょう。
調理された缶詰もありますが好きな味付けにしたり、小分けにして料理の品数を増やしたりできる水煮が使いやすくおすすめです。
・インスタント食品
手軽に食べられるインスタント食品は、災害時に備えておくと重宝します。スーパーよりも、ホームセンターやディスカウントストアのほうが安く購入できる場合が多いので、まとめて買っておくのも良いでしょう。
・フリーズドライ食品
水で戻すだけで食べられる保存食品であり、シリアルやスープ、スパゲティなど豊富なラインナップが特徴です。
栄養を考えて作られたものもあり、単調になりがちな非常食の中に加えておくと食べる楽しみにつながります。
・アルファ米
フリーズドライ食品の一種であり、水やお湯を注ぐだけで食べられるお米です。赤飯や混ぜご飯など種類も多く、好みによって選ぶことができます。容器のパウチや缶を食器代わりにして使っても良いでしょう。
・乾パン
袋入りのものと缶詰に入ったものがありますが、缶詰のほうが長く保存できます。苦手な方はビスケットなどで代用したり、ミルクやスープに浸して食べたりすると良いでしょう。
・乾物
たんぱく質が豊富な高野豆腐やきなこ、食物繊維が豊富な干ししいたけや切り干し大根、ミネラルが豊富な乾燥ひじきやきくらげなど、乾物は保存しやすいだけでなく栄養も抜群。日頃から常備しておきたい食品のひとつです。
・ドライフルーツ
プルーンやレーズンなど、食物繊維やカリウムが豊富に含まれているドライフルーツは便秘になりがちな災害時に重宝します。しっかりと噛むことで満腹感も得られます。
・お菓子
甘いものには疲れを取ってくれる効果があります。チョコレートやドロップ、グミなど手軽に食べられるものを選びましょう。ローリングストック法を活用して、家族の好きなお菓子を備えておくのも良いですね。
最後に、災害時に役立つレシピを3つご紹介します。上記でご紹介していない材料もありますが、気になるレシピがあれば常備しておきましょう。
【オススメレシピその1】お鍋で炊く、トマトリゾット
ライフラインが途絶えていても、カセットコンロがあれば美味しいリゾットを作ることができます。
・材料(2人分)
米…2合
水…200ml
トマトジュース…200ml
好みの缶詰…1缶(ツナ、アサリ、コーンなど)
塩、コショウ…好みで適量
・作り方
あらかじめ30分程水に浸しておいた米とトマトジュース、好みの缶詰を汁ごとお鍋に入れて強火にかけます。沸騰したら弱火に落とし、10分経ったら火を止めてそのまま10分蒸らせば完成です。缶詰からも良い旨味が出ますが、足りない方は塩・コショウで味を調えると良いでしょう。
【オススメレシピその2】ポリ袋で作る、野菜たっぷりポトフ
お鍋の代わりにポリ袋を使うことで、洗い物を減らし水の節約になります。
・材料(2人分)
冷蔵庫の残り野菜…300グラム程度(じゃがいも、たまねぎ、キャベツ、人参など)
ベーコンまたはソーセージ…あれば適量
コンソメ…1個
水…200cc~300cc
ポリ袋…2枚
・作り方
早く熱を通すため、食材は小さくサイコロ状に切りましょう。2枚重ねたポリ袋に全ての材料を入れ、沸騰したお湯に入れて様子を見ながら30分程度煮たら完成です。キャベツやたまねぎからも水分が出るので、野菜の量によって水を少し減らしてもかまいません。
【オススメレシピその3】混ぜるだけ!切り干し大根と缶詰のマヨネーズ和え
ガスも電気も水も使わず、混ぜるだけでできる簡単な一品料理です。
・材料(2人分)
切り干し大根…50グラム程度
好みの缶詰…1缶(鶏ささみ、ツナ、ホタテなど)
すりごま(白)…あれば少々
マヨネーズ…少々
ポリ袋…1枚
・作り方
通常切り干し大根は水で戻しますが、災害時には貴重な水を使わず缶詰の汁で戻すと良いでしょう。洗い物を減らすためポリ袋に材料を全て入れ、手でよく揉めば完成です。白ごまの代わりに黒ごまを使っても風味が出てよく合います。
■まとめ
防災非常食と聞くと難しく考えてしまいがちですが、今回ご紹介したように新たな備蓄法が注目されたり、市販の非常食が豊富になったりしたことで、選ぶ食品の幅も広がりました。ライフラインの復旧や救援物資が行き届くまでの間、自分や家族が健康でいられるように日頃からきちんと備えておきましょう。
非常食はこちらでも入手可能となっています。ぜひ参考にしてみてくださいね!
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