『Simple is best』は難しい。縦樋&横樋の収まり
「シンプルなデザイン」というと、一見、単純で簡単そうに思えますが、逃げ場のない施工の精度を要求されたり、表面上はシンプルに見えるように、見えない部分の工夫が必要だったりして、逆にデザインや制作の難易度や、工事金額が上がる場合が多いです。
「単純であることは究極の洗練だ」(ダヴィンチ)とか、「完璧とは、付け加えるべきものがなくなった時ではなく、取り去るべきものがなくなった時のこと」(サン テグジュペリ)など、『Simple is best』は、先人もいろんな角度から語っています。
設計図面を作図する際も、描く『線』には必ず意味を込めて、意味のない『線』は描かないようにいつも心がけています。
坂戸市の『蔵のリノベーション』の現場もいよいよ終盤に入ってきました。増築部分の外壁や、軒先を詰めて、並べ直した下屋根の瓦も完成。外部工事の最後は、横樋&縦樋の取付ですが、今回はガルバニウム鋼板製の樋を使用しています。通常、使用する塩ビ製の樋に比べて、ちょっと金額が高いですが、単純なスクエアや半丸などシンプルな形状で、接合部も綺麗な収まりが特徴です。また、素材の耐久性が高いので、塩ビのように、紫外線、経年変化などによる色あせや劣化が少ないのも大きな特徴の一つ。
樋は使う場所に合わせて、ブラック、ガンメタ、シルバーなど色を微妙に変えています。
そんな細かなディテールの積み重ねで、全体としての「シンプル」が完成していきます。
(株)独楽蔵 KOMAGURA