弁天長屋に 吹抜けをとると光が差し込み、 空気が動き出しました そして、人が活動し 時間も動き出します。
木元洋佑建築設計室と東洋大学日色研究室とで川越の地域活性化プロジェクトに参加したことがきっかけとなり、地元NPO法人と関わることとなり、川越の街中に設計事務所+大学研究室の街中活動拠点を作る計画が持ち上がりました。
そして、地元の皆さまに建物を紹介していただき、川越の旧花街 弁天横丁 にある築100年以上の長屋の一室を改修し、設計事務所+大学研究室の街中活動拠点をつくるプロジェクトが始まりました。
計画は執務環境を整えるため、二階の一部床を抜き、吹抜けとすることで「室内の光庭」ができ、暗い1階居室に光が差し、建物を風が流れ、豊かな室環境を実現しました。過去の風情の面影を残しつつも、広がりのある空間を持つ新しい長屋のかたちです。
改修の設計、施工は木元洋佑建築設計室と東洋大学建築学科日色研究室の学生とでセルフビルド改修を行いました。前使用者が改修したであろう漆喰仕上げ上の砂壁や、化粧合板、繊維壁を丁寧にはがし、掃除し、また事務所部分はあらたに白く塗装する、部分的に土壁を壊す、床を抜く、障子や襖を張り替えるなど、本物の建築に触れながら、自分たちの手でできる改修手法を模索するという、教育的な側面も兼ね備えています。
施工費用は材料費の40万円と電気工事20万円の60万円という価格で大幅なバリューアップを実現しています。魅力的な古い建物を所有しながら資金難で貸すためのリフォームができず放置されていってしまう空家に対しての実験とも捉えています。
さらに、川越の観光地にありながら、時代の流れに取り残された弁天横丁の全体的な活性化を目標に、改修した長屋を公開することで弁天長屋の魅力を宣伝し、利活用していただけるような皆さんに働きかけを行ています。
木元洋佑建築設計室