【家族の距離感から考える:こども部屋】
玄関に入ると、左右に分かれた2つの床。右は、家族のスペースで、左はこどものゾーンです。それぞれの行き来には、「飛び石」ならぬ「飛び丸太」で渡っていきます。
そこには、ぴょんと飛び越えられて、靴履かなくても渡れる、ほんの数十センチの隙間があるだけ・・・。それでも、互いの空間には、見た目にも、心理的にも、不思議な距離感が生まれます。
距離は近くても、「あっちとこっちの感覚」、「渡りの感覚」、「境界の感覚」、表現の仕方はいろいろありますが、床が離れていることに、やはり意味があるんです。
家族間の距離感について考えてみると、親の立場からは、いつでも、こどもの気配の感じられたりや見守りができる距離が安心ですし、こどもたちは、(年齢によって変化してくると思いますが)「ここは、こどもだけの世界」と感じられる空間を求めている気がします。
この異なる2つの要素が重なる距離、それが、一番ちょうどいい距離ではないかと思うのです。
思い起こせば、私の学生時代、庭の片隅に建てたプレハブの離れを子供部屋にしていた友達は、みんなの憧れでしたし、やっぱり仲間の溜まり場になっていました。
まぁ、それでは、ちょっと母屋とは離れすぎなのですが・・・、「飛び丸太」の子供部屋は、こどもの感覚的にはそういう距離が近いような気がします。
そういえば、この家の平面計画をしていた際のお父さんの心配ごとはというと・・・。
子供部屋が割と独立しているので、将来、こどもたちが大きくなったときに(高校生くらいになったときに)、勝手に夜遊びしたり、悪い友達の溜まり場にならないか・・・ということでした・・・。
ご主人のお話をよく伺ってみると、「何故って、ご自分が若い頃、そうだったから・・・。」ということでした(笑)。
そんなこの家も、完成してからずいぶん時間が経ちました。今年いただいた年賀状には、「こどもたちが、大学、高校のダブル受験で大変です。」といった言葉が添えられていました・・・。その後の子供部屋がどうだったか、子育ての先輩としてのお話を伺ってみたいです・・・。
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