傾斜を楽しむ家

傾斜地に家を建てるのはなかなか大変です。平坦地とは違う色んな注意が必要です。
でも、傾斜地ならではの楽しみもあるんです。

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傾斜地に家を建てる時に、まず最初に調べなくてはならないのは、自治体においてあるハザードマップです。
一例ですが、大阪府茨木市のハザードマップ(防災地図)のリンクを下に貼っておきます。

家を建てる予定の市町村のホームページでも見つかるはずです。そして、あなたの土地が「災害危険箇所」になっていないか、目を皿にしてみてください。
土石流、斜面崩壊、地滑り などの危険がある場所では、どんなに丈夫な家を作っても無駄な抵抗に終わってしまいます。

運良く危険箇所に入っていなかったら、次は地盤調査です。
いくら土石流は無くとも、斜面地に普通の基礎ではいけません。見えている地盤の下の固い地盤に確実に到達する基礎を作る必要があります。固い地盤が何メートルも地中にある時は、擁壁を作るとか杭を打つとかの措置が必要になり、やたらと高額な基礎工事になる可能性もあります。

ただし、山に近い斜面地では、たいていの場合少し掘ると岩盤が出てきます。そうなったら、ラッキーです。何百万もの追加費用をかけなくても、家を建てられるかもしれません。

ご紹介するのは、そんな家の事例です

建築前の敷地は、このような小高い丘のような場所でした。真っ直ぐ登るのも難儀するくらいの傾斜です。

この敷地も含めて、周りは緑が多く、ウグイスが鳴いていました。

必要最小限の樹木を伐採し、基礎工事をしているところです。
擁壁は一切作らず、斜面なりに段々に基礎を作っています。

奥側よりも一番手前の基礎は55センチほど低くなっています。さらに地盤は傾斜して低くなるので、地盤からはこのように高い基礎になってしまいます。
構造計算も施工も、かなり大変でしたが、それでも別に擁壁を作るよりはるかに楽です。

見ての通り、1階と2階の床はすこしずつスキップしています。基礎を高くしすぎないようにしているのです。
屋根の高さは前後で同じにしたので、ぱっと見にはスキップフロアーの家とはわかりません。

撮影:平野和司

やがて木々に埋もれていく、何気ないデザインにしました。
眺めの良い南と東には大きな窓をとり、西日だけは遮るようにしています。

撮影:平野和司

ここから下は、スキップになっている箇所の写真です。
大空間はとりにくいですが、うまく用途に合わせることができれば、通常の2階建てと使い心地はあまり変わらずに変化を楽しむことができます。

撮影:平野和司

1階下

撮影:平野和司

1階上

撮影:平野和司

2階下から2階上への階段。
スキップフロアーの場合、階段が家の中心になって暗くなりがちなので、上部にトップライトを設けました。

撮影:平野和司

スキップフロアーにすることで、木々の高さとの調和がとれました。
しかも傾斜地なので、景色もいい。

敬遠されがちな傾斜地ですが、条件さえ整えばなかなか面白いですよ。

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国産の木の家に魅入られた建築家です。設計デザインだけでなく、構造計算から木の産地への案内まで、木の家に関することはオールインワンでやってます。

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