グラスウールで大丈夫?

断熱材は数々あれど、やはり一番手はグラスウール。でも何かとよろしくない評判も耳にする。
グラスウールは大丈夫なのか ちょっと考えてみました。

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住宅用断熱材にもいろいろ種類はあるけれど、断熱材と言えばグラスウール というくらい 広く使われている。リフォーム産業新聞によると、50%を超えているそうだ。
 
触ったことのある人ならわかるように、細かいガラス繊維なのでかなりチクチクする。洗ってもなかなかとれなくて、イライラすることこの上ない。
ただ、このチクチクがアスベストみたいに体に悪いのかというと、そういうことではないらしい。アスベストは チクチクするというより、細すぎてチクチクすら感じないということろが怖い。
グラスウールはアスベストよりも何十倍も太いので、肺に刺さったままガンになるということはない と言われている。
 
昔のグラスウールは黄色だったけれども、最近よく使われているグラスウールは白いのが多い。

あの黄色い色は接着剤の色で、それがシックハウスの原因物質をふくむものだから、それなら接着剤ナシの製品を作ろう ということでできたのが この白い製品。アクリアという商品が有名だ。

触った感じも、あまりチクチクしない。とは言え、この製品が出始めた時、試しに手の甲にゴシゴシこすりつけたら、やはり何日かチクチクがとれなかったので、あくまでも従来品との比較の話。
 
さて、余談はさておき、肝心の断熱性能は 大丈夫なのだろうか。
ネット上でいろいろ検索すると、たぶん、グラスウールの悪口はたくさん出てくるし、逆に必死になって擁護する話も見かける。
本当のところはどうなのだろう。
 
私の結論は決まっている。
「悪くはない」
ということだ。
 
製品の断熱性能は、まったく問題ない。
グラスウールの中にも性能がいろいろなので、高性能品を壁の中にミッチリ入れれば、フツウの住宅としては十分すぎる断熱性能は確保できる。
 
ただし、やっぱり弱点はある。

1.施工上、スキマができやすい

2.熱容量が小さい

ちょうどいい(というか悪い)写真が見当たらなかったのだけれども、こんな感じでパックされた綿を詰め込んでいくので、ちょっとした段差があると角に微妙な隙間が空くし、後から電線を通したり配管を通したりして、少しでも油断するとスキマがたくさんできてしまう。
 
困ったことに、大工さんも「少しくらい仕方ないや」という意識があったりして、よほど現場に貼り付いて、厳しく指摘しないと スキマができてしまう。
まあでも、そのくらい厳しくやれば、やってできないことはない。
 
次に 熱容量の話

上の図に書いてある熱拡散率は定義が難しいので、ほぼ同じ意味の熱容量とおきかえて考えてみる。

同じように熱しても、熱くなるものと あまり熱くならないものがある。フライパンは熱くても、木やプラスチックの取っ手はあまり熱くならない というあれである。
あまり熱くならない素材がたくさん使ってあると熱容量は大きいと言うことになる。

断熱材のカタログには、断熱性能(熱伝導率)は書いてあるけれども、熱拡散率とか熱容量は書いていない。でも、これが大きいと、例えば真夏の西日なんかでガンガンに照らされても、断熱材自体が熱くなりにくい。なので、体感温度はかなり違ってくるのである。

また、冬ならば朝起きた時の体感温度など、暖房の冷めにくさ で差が出る。

ただし、熱容量は大きければ良いというものではない。コンクリートは熱容量が非常に大きくて断熱性が低いので、打ちっ放しの家などは夏暑く冬寒いという、最悪の環境になってしまう。

グラスウールは、残念ながら熱容量は大きくない。というか、かなり小さい。
断熱性能は十分なので致命的な弱点ではないけれども、ちょっと弱みがあるということは知っておいてもいい。

その代わりと言っては何だけれども、グラスウールは他の断熱材と比べると 断然安い。
施工上の細心の注意を払って、熱容量の弱点を我慢するならば、予算を他で使えるメリットは大きい。

グラスウールはダメだ~ とか 絶対大丈夫だ~ という業界どおしの感情的な叫びに惑わされずに、プラスマイナスをよく考えて、冷静に判断していただきたい。

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国産の木の家に魅入られた建築家です。設計デザインだけでなく、構造計算から木の産地への案内まで、木の家に関することはオールインワンでやってます。

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