10年ぶりの天空率

狭小住宅で威力を発揮する天空率。高さ規制で思うようなデザインができないときの特効薬です。
ただし、計算が面倒なのと乱用すると地域環境を壊すことになるので、どうしても必要がない限りは使わないようにしてきましたが、10年ぶりに使う機会があったので、少し感想を書いてみます。

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天空率というシロモノ、計算はひどく面倒だけれど、考え方はそんなに面倒ではない。

左のような建物を、道路の向かい側(点のところ)に魚眼レンズをおいて写すと、右のようになる。黒い部分が建物だ。
付近にこの建物しかなければ、黒いところ以外は全部空なわけで、丸全部の面積に対する空の面積の割合が「天空率」。

フツウは道路の向かい側から、一定の角度のビーム光線(道路斜線)を発射して、それが当たったらアウト、という高さ制限がかかっている。一定の角度は1:1.5だったり1:1.25だったり、地域によって決まっている。

ところが、天空率を使うと、ビーム光線より上に建物が飛び出してもOKになる。
フツウの高さ制限ギリギリで敷地いっぱいに建物を建てたときの「天空率」と、計画している建物の「天空率」をくらべて、計画建物のほうが空が広い=天空率が大きければOK なのである。

とは言え、この世にその建物しかないという想定でものを考えて良いのか? という気はする。
たしかに一軒しかなくて空が十分に広ければ高さが飛び出していても気にならないかもしれないが、実際はこのようにたくさんの建物で空はふさがれている。ただでさえ狭い空のなかに、ニョキッと高いのが飛び出しているのは、やはり目障りだと思う。

私は、敷地条件と法規制のバランスがおかしい場合に限って天空率はOKかな と思っている。
10年前は小さな敷地なのに容積率が100%に指定されてしまった事例だったし、今回は東西に細長い敷地なのに北側(つまり敷地の長手)からの高さ制限条例が非常に厳しくて、フツウではとても家族が暮らせる家が建たない状態だった。

古くから住んでいるにもかかわらず、後から法規制が厳しくなって満足な家が建たなくなってしまう。そんな理不尽な状態に悩んでいるケースでは、天空率は活躍できる。

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国産の木の家に魅入られた建築家です。設計デザインだけでなく、構造計算から木の産地への案内まで、木の家に関することはオールインワンでやってます。

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