
【珈琲のススメ#2】焙煎でコーヒーの味わいが変わる?〔CROSSING Coffee Roastery〕に聞きました!
一日の始まりや、ホッと一息つきたいとき。お気に入りの“コーヒー”を飲む方も多いのではないでしょうか? そんな日々の生活に寄り添ってくれるコーヒーに、ちょっぴり詳しくなれるお話を紹介する本連載。第2回目は、自分好みのコーヒーと出合う方法について、〔CROSSING Coffee Roastery(クロッシングコーヒーロースタリー)〕のオーナーさんにお話を伺います!
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自分好みのコーヒーとの出合い方って?
コーヒーを淹れてもらうときやコーヒー豆を買うとき、“どんな味わいのコーヒーが好きですか?”と聞かれたら、なんと答えますか? 「スッキリした酸味があるもの」や「苦味の深いもの」など、人によってさまざまな好みがありますよね。でも、その味わいってどこで決まるものなのでしょうか? 実は、それに一番大きく関わるのが“焙煎”なんです。
今回は、自由が丘でコーヒー豆の販売を行う〔CROSSING Coffee Roastery〕の佐藤英伸さんがススメる、“焙煎度で知る自分好みのコーヒーとの出合い方”についてご紹介します!
〔CROSSING Coffee Roastery〕は、コーヒー豆の販売に特化したお店!
〔CROSSING Coffee Roastery〕は、コーヒー豆の販売を行うお店。お客様から好みを聞き、味わいを確かめた上で豆を購入できるようにと、気になる豆で淹れたコーヒーを一杯サービスしています。(コーヒー豆を200g以上購入の方が対象)
「お客様に好みを伺うとき、多くの方がコーヒーの味わいを『苦い』もしくは『酸っぱい』と表現されますが、コーヒーで苦味や酸味が一番左右されるのは“焙煎度”なんです」(佐藤さん)
焙煎度とは、“浅煎り” “中煎り” “深煎り”などの言葉で表されるもの。コーヒーを飲む方にはなじみのある言葉ですよね。
コーヒーの味わいに関係する“焙煎”って?
コーヒーが収穫からカップに注がれるまでには、あらゆる工程があります。その内のひとつである“焙煎”(=生豆を乾煎りすること)を行うことで、一般になじみのある“コーヒー豆”になるんです!
この焙煎方法にもさまざまなやり方がありますが、〔CROSSING Coffee Roastery〕では3kgの焙煎機を使い、すべてマニュアル操作でていねいに焙煎を行っています。
「実は、コーヒーの生豆には『酸味』と苦味』の元になる物質が含まれているんです。生豆を焙煎していく過程で、それらの物質が化学変化をしていきます。熱を与えると、先に酸味を感じる物質が生じ、さらに焙煎を続けるとその物質は減少、そして苦味を感じる物質が増加していきます。この焙煎をどのくらい行うかによって、焙煎度=“浅煎り”や“深煎り”と区別されるんです。だから、一般に『浅煎り=酸味がありスッキリ』『深煎り=苦味やコクのある味』と表現されることが多いんですね」(佐藤さん)
なるほど! 浅煎りから深煎りまでを飲み比べることで、自分の好きなコーヒーの焙煎度も分かりそうですね♪
同じコーヒー豆でも、焙煎度×精製方法で味が変わる!?
そこで、焙煎度と精製方法の異なるコーヒーを飲み比べてみましょう! 豆は全て、エチオピアの《イルガチェフェ》というコーヒー豆です。同じ豆なのに、味わいが変わったりするのでしょうか?
今回は、精製方法の違いもあわせて比べてみます。精製とは、生産地で生豆=“種子”を取り出し乾燥させる方法のことを言います。写真左が“ウォッシュド”、右が“ナチュラル”という精製方法で作られた生豆です。色味も違って見えますよね。簡単に言うと、
・ウォッシュド…水につけて果肉をふやかせ(発酵させ)、果肉を取った後で乾燥させる方法
・ナチュラル…果肉がついたまま乾燥させ、むいて取る方法
なのだそう。この精製方法の違いでも味わいが変わるというのですが、果たしてどんな変化があるのでしょうか?
1. ウォッシュドの深煎りと浅煎りを飲み比べ!
まずは、同じウォッシュドで精製された、焙煎度の違うコーヒーを比べてみます。写真左が深煎り、右が浅煎りです。
深煎りの方が色が濃く、浅煎りは少し明るい茶色に見えます。さっそくいただいてみると、深煎りは芳醇で特徴的な香り! でも飲んでみると苦すぎず、やさしくまろやかな苦味を感じます。逆に浅煎りは、花の蜜を思わせるようなフローラルな香り♪ 後味がスッキリしているので、まるで風味豊かな紅茶のようです。
単純に「こっちは苦くてこっちは酸っぱい!」という対比ではなく、それぞれ異なる部分の魅力を引き出した、別のコーヒーという印象でした。
2. 同じ浅煎りで、ウォッシュドとナチュラルはどう違う?
次は、同じ浅煎りで、精製方法が異なるものを比べてみます。先ほどのが“ウォッシュドの浅煎り”だったので、新たに“ナチュラルの浅煎り”を味見させていただくことに。
色は、先ほどのウォッシュドの浅煎りより少し濃い目。香りもやさしく華やかな感じです。味わってみると、渋みがなくスッと飲め、まろやかな口当たり。まるで赤ワインのような香味を楽しめます!
一般に、ウォッシュドは「柑橘系やマスカット、アップルなどを思わせるスッキリ系の香りや味わい」ナチュラルは「ベリーやプラムなどの香味を持った芳醇系の香りや味わい」なのだそう。同じ焙煎度でも、精製方法の違いで香りや味が変化するなんて驚きですね!
自分にとってベストな味わいを探ってみよう♪
「コーヒーは、伝統的には樹の品種や生産国などで味わいの傾向が区別されることが多かったのですが、現在は産地毎の栽培品種や精製方法などが多様化し、一概にこうとは言えなくなっています。なので、まずは自分好みの苦味や酸味のバランスを、“焙煎度”を基に探っていくのが良いと思いますよ。だんだん『好きなのはこの辺りだな』というのが分かったら、精製方法の違いなどを楽しんでみると面白いかもしれません」(佐藤さん)
「お客様で『酸っぱいのが苦手』という方も多いのですが、コーヒー本来の酸味は果実味があっておいしいものなんですよ」(佐藤さん)
確かに、味見させて頂いた“浅煎り”に、舌に刺激を感じるような「酸っぱさ」はまったく感じませんでした。また、“深煎り”にも「強い渋みや苦い刺激」というのはありませんでした。もしかしたら、どこか一点が強調されるような味わいは、そのコーヒーのベストなおいしさではないのかもしれませんね。
〔CROSSING Coffee Roastery〕では、コーヒー豆の仕入れから品質管理、焙煎、販売までをオーナーの佐藤さんがすべて管理しています。同店では専用の低温保管庫で生豆を全量保管し、品質維持に努めているのだそう。また、悪いところがありコーヒーの味わいを損ねる“欠点豆”の排除も細やかに行っているので、雑味がなく風味豊かでおいしいコーヒーができるんですね。
ぜひ好みのコーヒーを探す際は、信頼できるお店でさまざまな焙煎度のコーヒーを味わってみてください。きっと、新しいテイストとの出合いが待っていますよ♪
〔CROSSING Coffee Roastery〕
●住所 東京都目黒区自由が丘1丁目14-1
●最寄り駅 東急東横線自由が丘駅
●電話 03-5726-9988
●営業時間 11:00〜19:00
●定休日 月曜日、第2・第3火曜日(祝祭日は営業)
●ライター キリガヤアスミ
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