海外に行けば英語は自然に…はホント?5歳児と英語圏で1年間生活して
教育環境が異なる海外と日本。わが子をオーストラリアの義務教育1年目である「キンディー」(日本でいうところの年長さん)に入れてみて感じた幼児教育について、そして子どもが英語を身に着けていく過程で感じたことを紹介します。
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教育環境が異なる海外と日本。わが子をオーストラリアの義務教育1年目である「キンディー」(日本でいうところの年長さん)に入れてみて感じた幼児教育について、そして子どもが英語を身に着けていく過程で感じたことを紹介します。
オーストラリアで1年間幼稚園に通って
オーストラリアでは、プリスクールにあたるキンディーも義務教育。通常は小学校に併設されています。そして、キンディーは幼稚園といった位置づけなのに、小学校のお勉強と同じようなカリキュラムがあり、とても驚かされました。
まず、きちんと時間割があり、科目が、English(国語)、Math(算数)、Science(科学)、そしてPE(体育)と分かれていました。驚いたのがその内容。はじめはアルファベットや数字を書く、簡単な単語や足し算だったのですが、1年間通った終盤には「これ、小学校2年生の問題だよね?」というようなかけ算に相当する「3つずつの丸が2列でいくつ?」というような問いをはじめ、図形や時計の問題なども出てきました。
ハイレベルと感じる内容だけれど
オーストラリアでは中2の数学が日本の小5レベルの問題であるなど、数学のレベルはとても低いものなので、まさか幼児教育がこんなにハイレベルだとは想定外でした。ただ、あとで知ったのですが、オーストラリアでは、上の学年でもらせんを描くように何度も何度も繰り返し同じことを学ぶ仕組みのようです。
キンディーでのwritingの一コマ
小学2年生の上の子も、キンディークラスと同じような問題をやっていて、「あれっ?また同じことやっている」と思うときもありましたが、繰り返し学習するので、ある程度「取り返しがつく」カリキュラムになっているのはいいなと思いました。
すべての科目を日本よりも幼い年齢から取り組ませることもあって、小さい子にもわかるように、そして小さい子でもできるようにカリキュラム化されているところにオーストラリアの幼児教育のよさを感じます。
スタートした当初は、英語だから難しく感じましたが、やっていることは日本の幼児のドリルと変わらないので、英語がわからない親でも教えることができました。
幼稚園でも宿題があるの?
Englishでは、本を読むということにとても力を入れていて、授業内容は基本、readingです。後半になると家で「文を読む」「本を読む」という宿題が出ました。幼稚園児なのに宿題!と驚いたのですが、それだけでなく算数もプリントが宿題に出て、また自分で発表をするという課題も週に1回あり、その量も種類も豊富でした。
本場の初等英語教育に触れてみて、早い段階から各分野の基礎的な教育を始めることや、その内容の質の高さに驚くとともに、国語に当たる英語は日本と同じくはじめは「音読」を大事にしていることを知りました。
そして、小学校と同じように、前期・後期と2回、成績表まで出たのにはとても驚きました。こんな小さなうちから評価されるなんてと思いましたが、1年間の成長が見える形で残ったことはとても感慨深いものでした。
海外に行けば英語は自然に身につく?
当たり前といえば当たり前なのですが、子どもがオーストラリアのキンディーで学んだことで、英語を母国語としている人たちも、英語を「自然と」身につけたわけではなく、小さなうちから「学んで」身につけていることを実感しました。
「海外に行けば、小さい子は自然と話し出すよ~」と日本を出国するときにはまわりの人たちからうらやましがられましたが、わが家の場合は自然とは身につかず、学校に行き、英語を「学んで」身につけました。
ただ、上の子達と比べても、小さい子のほうが抵抗なく英語を身につけて、自然な感じで話ができるようになっているように感じます。
1年前は英語で「色」さえ言えなかったわが子ですが、今では、母よりもすらすら英語が文章で出てくるようになりました。聞き取りはもちろん、簡単な絵本であれば英訳してくれます。
幼いからこそ日本語を学ぶ必要性も強く
ただし、英語はなんとなくわかっても日本語での意味がよくわかっていないということも。日本語を母国語とする以上、英語も大事だけど、理解する力として日本語の必要性も強く感じています。母国語としての日本語と、コミュニケーション能力としての英語をバランスよく学んでいくことが今後の課題です。
<文・写真:ライター 結生>
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