那須の家(栃木県)

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計画地は那須の御用邸に近い、視界のひらけた小高い丘の上にある。
北から南へ下る高低差3m ほどのこの場所からは、南西側から北東側にかけて那須の樹海や八溝山麓を望むことが出来る。先に“視界のひらけた”と記したのは、このあたりは雑木林を拓いた別荘地の景観とは異なり、丘陵地ならではの地形が遠くまで見渡せるような場所であるためだ。そこを流れる風やふりそそぐ光は、高い木立ちや周辺の家屋に邪魔されることはない。
それらをより素直に受け入れる仕組みが必要である。この地をはじめて訪れた時、そう直感した。 プランを構成するアイディアは至ってシンプルだ。まずはそれぞれの空間が対峙すべき方向を見定めて、それに従った。日中の活動が主になるリビングやダイニングなどのパブリックな空間は南に、目覚めた時に朝の太陽を浴びるように寝室や客室などは東に、といった具合だ。ゲストハウスとしての役割も考慮しつつ、パブリックな空間は1 階とし、プライベートな空間は2 階となるようにグルーピングを行ない、積み重なるように立体的な十字型に配置した。そうすることで内部空間のどこからも外部への視界を確保する構成が可能になる。 
また、周辺のどちらの方向から見ても“視線のぬけ”が生じ、ピロティーやルーフを介して山や林や空の風景が映り、それらとより近い関係になっていく。このような幾つかの操作によって、建築の内外に天気や時間で常に変化する光斑(ヒカリムラ)や熱斑(ネツムラ)を発生させ、空間に表情のある心地よさをつくりだそうと試みている。内部空間は十字型プランの交点に吹抜けを持った立体的なひとつながりの居住空間とした。日常の生活における見渡せる安心感と、休暇時のアクティビティーを抱え込む寛容さを求めた。
冬季の外気温や湿度を遮断するという絶対的な条件に答えつつ、そこここに景色を切り取り、光を招き入れる大小の開口を配置して、外部空間との関係を保っている。

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