芍薬の育て方・植え方|植替や株分けなど花を美しく咲かせるコツを伝授

大倫の美しい花を咲かせる芍薬。今回は、芍薬の育て方や植え方、芍薬の花の増やし方について解説します。上手に育てるために必要な、植替や株分けの仕方もていねいに伝授。芍薬を初めて育てるという方は、必見ですよ♪

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薬草として伝えられた花相「芍薬(しゃくやく)」

ボタン科に属する芍薬は、中国をはじめとする東アジアを原産とする宿根草です。牡丹(ぼたん)が木であるのに対し、芍薬は冬に葉や茎が枯れ、根だけが残る多年草に分類されます。花の王様と呼ばれる牡丹に対し、芍薬は花の王に次ぐ花の宰相、花相と呼ばれています。

また、自宅栽培した芍薬の根から生薬を作るためには、花が咲く前から切り取る必要があり、できるだけ日本に自生する品種のものを使用した方が良いのだとか。とはいえ、作るのには手間がかかり、安全面のリスクもあるため、専門家に相談した方が良さそうです。

芍薬の種類

芍薬は、平安時代に薬草として日本に伝えられ、その後観賞用として品種改良が進みました。現在では、花の咲き方の違いから「一重咲き」「金しべ咲き」「翁咲き」「冠咲き」「手まり咲き」「半バラ咲き」「バラ咲き」「半八重咲き」の8タイプに大別されています。

日本で改良された芍薬は、大輪で花弁が多いのが特徴的です。一方で、ヨーロッパでは、花が小さくスマートな印象のある品種が多い傾向です。見た目の美しさから愛好家が多いこともあり、好みの花を咲かせたい思いから改良が進んだ植物でもあります。そのため、種類はかなりの数になりました。

日本で作られたものの多くが「富士」「晴姿」といった和名であるのに対し、ヨーロッパで作られた品種は「リチャードカウベル」「ラ・テンドール」といった名前が付けられています。

花の色としては白からピンク、オレンジ、赤のものが主流です。一般的な八重の花だけでなく、一重の花もあります。珍しいものでは、黄色の花が咲く「黄金」や「オリエンタルゴールド」、白い花に濃いピンクの縞目が入った「桜狩」、花びらがグラデーションがかった「采女の衣」など、実にさまざまなタイプの花が改良されています。

芍薬の育て方

芍薬は日本で改良されたものが多く、日本の気候に適しており、暑さや寒さに強い植物とされています。日当たりの良い場所を好み、比較的乾燥に弱い傾向にあります。水はけの良い場所に植え、土の表面が乾いたら、たっぷりの水を与えるようにしましょう。

ただし、花やつぼみがついているときは、花芽の部分に水が当たりすぎるとカビが発生し、腐ってしまうことも。水を好む一方で、高温多湿の条件が続くと傷んでしまうため、清潔な土を選ぶ必要があります。

暑さには強い傾向があるものの、室内で鉢植えとして育てる場合は、夏場の温度管理が大切です。土の温度が高くなりやすい真夏には、鉢を二重にかぶせたり、ひと回り大きな鉢に入れて、高温を防ぎましょう。西日によって傷みやすいため、注意してください。地植えを基本とし、土が高温になるようであれば、腐葉土をかぶせてあげるとよいでしょう。

芍薬は、どちらかというと中級者向けで、きれいな花を咲かせるためには小まめな管理が必要です。春先には花芽のために、秋には根を伸ばすために肥料を与え、カビや害虫を予防するためにも、湿気の少ない場所で育てましょう。

芍薬の植替え

芍薬は根が長く伸び、発達しながら育つ多年草であり、本来は鉢植えには向かないようです。鉢植えで管理する場合には、毎年植替えを行いながら、大きめの鉢に移し替えるようにしましょう。

地植えの場合でも、同じ場所に植えたままだと、成長が鈍くなり、花が小さくなったり、花付きが少なくなったりすることがあります。4年~5年に一度は植替えを行う方が良いようです。

植替えを行うタイミングは、秋ごろが最適です。芍薬の場合は、花芽がつく春先の植替えは好ましくありません。根が伸びる9月~10月の期間で植替えを行いましょう。実がついている場合には、終わってからの植替えでも構いません。

ただし、気温が下がりすぎた冬の植替えはすでに遅く、根が成長しにくくなるようです。根が伸びなければ、翌年の花芽も小さくなりやすく、咲きにくくなります。同じ理由で、新しい苗を植え付ける場合にも、秋ごろに行うのがおすすめです。

芍薬の増やし方

芍薬は株分けで増やすのが一般的です。植替えを行う際に、株が大きくなりすぎているようであれば、株分けを行うことで、翌年の花ツキがよくなります。

株分けを行うのも、根が伸びる秋ごろに行うのがよいでしょう。長く這った根を切らないように注意して、土から株元を取り出します。小さな赤い芽はこれから伸びていく根の赤ちゃんです。新しい根を摘み取らないようにして、切り取りってください。1株あたり3つ~4つの新芽を残すようにして、太い根を分けていきましょう。

芍薬はカビや害虫に弱いため、植え込む前の対策が必要です。株の切り口に殺菌剤を塗ることで、予防につながります。株分けや植替え時に最も気を付けたいのが、水やりです。根が乾きすぎると根付かないため、すぐに植え込まない場合には水につけておきます。ただし、長時間つけすぎると、根腐れを起こします。植え込んだ後は、たっぷりの水を与え、乾燥させないように注意しましょう。

芍薬を通販で買う時の注意点

芍薬はカビが起こりやすいのと同時に、乾燥に弱い傾向があります。通販で購入する場合には、配送前に清潔な環境で送ってくれるかどうか、品質保証があるかどうかを条件に探すとよいでしょう。

花芽が付いた春先の芍薬は、植え込んでも長く持たない場合があります。地植えをする場合には、花が終わった夏から秋頃に購入し、気温が下がる11月末までに植替えを行うと良いでしょう。

苗で購入する場合には、芽が土の表面から出た状態で届くことがあります。植え付けをする際には、芽が土にやや隠れるくらい覆い、たっぷりの水を与えるようにしましょう。

芍薬の花言葉

芍薬の花言葉は「はじらい」「つつましさ」「内気」「謙遜」などがあります。ヨーロッパではギリシャ神話に由来し「妖精が姿を変えた花」とも言われています。女性らしさの象徴でもあり、乾燥させた花弁はハーブティーとしても使われます。

生薬としての効能やその香りから、気の強い女性には芍薬の花束を贈ると良いとも言われています。いずれにしろ、女性の印象が強い花といえるでしょう。

美しい芍薬の花を愛でる

「立てば芍薬、座れば牡丹」という言葉もあるように、その美しさから観賞用として好まれる芍薬。もともとは薬草としての価値があったようですが、品種改良も進み、自宅で生薬を作るのは難しいようです。

花を咲かせることが芍薬の醍醐味でもあり、その形や香りを楽しむものといえるでしょう。上手に育てて、華やかな春の花を楽しみたいですね。

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