初心者でも育てやすい球根植物「彼岸花」の上手な育て方と増やし方

秋に独特の花を咲かせる彼岸花。秋の彼岸の頃に目立つことから、この名前がつけられました。農耕地や人家の近くに自生し、里山植物として自然な姿も楽しめます。手軽な管理でも育てやすいため、庭植えも簡単です。初心者でも扱いやすい彼岸花の育て方や増やし方を紹介します。

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独特の姿を持つ秋の花 彼岸花

独特の赤い花を咲かせる彼岸花は、中国から伝わったとも言われ、古くから人里に自生する身近な花の一つです。別名「曼珠沙華(マンジュシャゲ)」とも呼ばれ、仏教用語で「天上の花」という意味があります。真っ赤に染まる彼岸花の群生は秋の訪れを感じさせますが、地域によっては、あまり良いイメージがないところも少なくありません。

「じごくばな」や「かみそりばな」と呼ぶ地域もあり、その印象はさまざま。血のような赤い色や彼岸の時期だけに目立つこと、根に毒を持つことが影響しているようですが、こうしたイメージがあるのは日本だけです。

彼岸の時期に一斉に咲き乱れる様子は、どこかミステリアスで死を思わせるようです。しかし、欧米諸国では、彼岸花の仲間であるリコリスと同様に、一般的な観葉花のひとつとして親しまれています。

彼岸花の種類

彼岸花といえば、丸みを帯びて開く赤い花が一般的ですが、実は色・形などが異なるさまざまな種類があります。リコリスやダイアモンドリリーなども同じ仲間で、白や黄色の花を咲かせます。また、大輪の花をつけるアマリリスや茎が太く大きなオレンジの花をつける君子蘭も、ヒガンバナ科に属する仲間です。

日本に自生する種類としては、赤い花を咲かせる一般的な彼岸花をはじめ、白い花をつけるシロバナマンジュシャゲ、黄色やオレンジの花をつけるショウキズイセンなどがあります。鑑賞用として日本で品種改良されたものには、「ジャガタラお春」「大魔神」「伝家の宝刀」などといったユニークな名前を持つ花もあります。

海外では、一つひとつの花が大きく、ユリのような形を持つアマリリスベラドンナなども多く、輸入されるヒガンバナ科の種類を含めると、そのバリエーションは豊富です。

彼岸花の育て方

彼岸花は、6月半ばから8月半ばまでに植え付けを行い、花が終わった中秋頃から生育期を迎えます。花が終わると茎が倒れますが、その後、春から秋にかけて伸びる根の成長とともに葉を茂らせます。
彼岸花には生育パターンがあり、秋に開花し、春に葉が枯れるまでの生育期以外は、休眠期となります。約半年間の生育期に合わせて水やりや肥料の追加を行い、休眠期には植替えや植え付けを行うタイミングとなります。

生育期の彼岸花は、比較的乾燥に弱く、湿度がある環境を好みます。しかし、球根植物であることから、水がこもってしまうと根が腐りやすい傾向にあります。鉢や庭に植える場合には、水はけがよい土を選び、風通しが良く日当たりの良い場所を選びましょう。

特に葉が伸びる冬から春は、日当たりの良い場所に置いて育てます。暑さや寒さにも強いため、季節に関わらず、屋外の生育が可能です。休眠期には日当たりを気にせず、土の表面が乾燥した時に、たっぷりの水を与える程度でよいでしょう。

新しい苗や球根を植え付けるのは、開花前の7月~8月頃が適しています。植え付けの際に肥料を与えておけば、花が大きく開きます。花が枯れて茎が折れてしまったら、葉が茂る冬に備えて少量の化成肥料を与え、生育を促すとよいでしょう。

野生の彼岸花が多いことからもわかるように、日本の気候に合った植物であり、比較的手間をかけずとも、開花しやすい種類です。半年間の休眠期にはほとんど手間がかからないため、初心者でも扱いやすいといえるでしょう。できるだけ自然な状態で生育してみましょう。

彼岸花の増やし方

彼岸花を増やすには、球根にできる子球を利用します。大きくなった球根から出た子球をはずし、鉢か花壇に植え込みます。子球の大きさに寄りますが、花が咲くまでに数年がかかるとされています。

外した子球は、開花前の7月~8月頃に植え付け、水はけの良い土に植え込みます。彼岸花は深く根を張るため、ある程度、深さがある場所を選んでみましょう。

地植えの場合、深くまで掘るか少し土を盛り、高さを確保します。球根の高さ1個分程度の深さに植え付けます。開花後は葉が茂るので、20cm~30cm程度の感覚を空けて植えるようにしてください。深さが足りないと根が伸びず、球根が上に出てきます。子球は増えますが、花付きが少なくなるので注意しましょう。

鉢植えの場合は高さが確保できるサイズで、5号~6号以上のものを選びます。1鉢につき、1球~3球を目安に、浅く植え込みます。球根の頭が隠れる程度まで、土を盛るとよいでしょう。地植えの場合は4年以上、鉢植えで3年以上、そのまま動かさない方が良いとされています。据え置くことで、球根が成長し、自然繁殖していきます。上手に育てれば、手をかけずとも群生してくるはずです。

彼岸花は球根で販売される

彼岸花は苗ではなく球根で販売されています。種類によってサイズも異なり、ラッキョウ程度から玉ねぎ大もの大きさまで、さまざまです。サイズや成長度合いによって植え付けの間隔が変わるため、購入前に詳しく確認するとよいでしょう。

切り花で販売されるのは、一般的な彼岸花ではなく、白や黄色の花を咲かせるリコリスのような海外種がほとんどです。日本では、赤い彼岸花を切って飾る習慣は少なく、どちらかというと良いイメージがありません。

日本の場合、根が付いた状態の自然なままで楽しむのがほとんどで、切り花として飾ったり、プレゼントとして渡したりする習慣はほとんどありません。花を育てて楽しむ分には何の問題もありません。好みとなる花の色や形や、植え込むスペースに合わせて、球根を選んでみましょう。

彼岸花は食用になる?

彼岸花は、根や地下茎となる部分にデンプンを多く含み、古くは食用として栽培されていたとされています。しかし、もともと毒性が強く、食用にするには、かなりの手間をかけて毒抜きをしなければいけません。何度も水にさらしながら、毒を抜いていたようです。

毒抜きが足りないと、有毒成分であるリコリンが残ってしまい、強い嘔吐や下痢、神経麻痺を引き起こします。ひどい場合には口から血を吐いて死に至るのだとか。

食糧難の時期には、救荒作物にもなりますが、現代では彼岸花を食用とすることはほとんどないでしょう。農林水産省では、毒性がある植物として花の部分も含め、彼岸花の食用は勧めていないようです。

彼岸花の花言葉

彼岸花には多くの花言葉があります。赤い花には、「情熱」「独立」「再開」「悲しい思い出」など、さまざまな意味を持っています。

色によって異なり、白い花であれば「思うはあなた1人」「また会う日を楽しみに」、黄色は「追想」「深い思いやりの心」など別れを連想させるイメージがあります。

花束にして贈るようなことはあまりありませんが、鉢植えとしてプレゼントする場合には、意識してみるとよいかもしれません。

秋を彩る彼岸花を育てよう

彼岸花は、種類も多く、さまざまな色や形を楽しめるとして愛好家も多いようです。里山に群生する様子は秋を感じさせ、自然の美しさが楽しめます。庭先や鉢植えにして生育させれば、数年にわたりきれいな花を咲かせてくれます。秋を彩る花として、自宅に咲かせてみてはいかがでしょうか?

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