家族の事故や失敗をしっかり補償。自動車保険の個人賠償責任特約とは?

個人賠償責任特約という言葉、ご存知ですか? 今回の記事では、個人賠償責任特約とは何か、どのようなケースが補償されるのか、自動車保険に特約としてつけるメリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。自分だけではなく、自動車を運転しないお子さんにとっても重要な問題ですから、よく理解しておきましょう。

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個人賠償責任特約とは

自動車事故以外の日常生活上の事故などにより、他の人にケガをさせたり、他の人の所有物を壊してしまい、法律上の損害賠償責任を負った場合、その賠償額を補償するのが個人賠償責任特約です。

個人賠償責任特約はどんなときに役立つ?

先日、イヤホンで音楽を聞きながら片手にはスマホ、ハンドルに添えた手にはドリンクのカップを持つといった状態で電動自転車を運転していた女子大生が歩行者と衝突し、歩行者を死亡させるという事故がありました。

彼女は刑事上は重過失致死罪で在宅起訴され、このまま結審すれば5年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金に処せられます。「人を一人殺したのに罪が軽すぎる!」といった意見もありますが、彼女には民事上の賠償責任も同時に課せられます。少なくとも遺族に対し、数千万円の賠償金を支払わなければいけないのです。

このように近年増えてきた自転車での事故をきっかけに、「個人賠償責任保険」が注目されています。ただこの個人賠償責任保険、わざわざ単独で契約しなくても、自分が契約している自動車保険に「特約」として付けられることをご存知でしたか?

「特約」とは主契約である自動車保険に付属する契約で、「おまけ」のようなものだと考えても良いでしょう。ただおまけといっても、機能的には単独の保険と変わりません。

ここからは個人賠償責任特約の詳しい内容を見ていきます。

どのような場合が対象となるか

他人に被害・損害を与え、「弁償しろ!」「治療費を払え!」と言われた場合が主な対象ケースです。

例えば「ベランダから鉢植えが落ちて、通行人にケガをさせてしまった」「野球をしていて近所の家のガラスを割ってしまった」「自転車で走行中歩行者とぶつかりケガをさせてしまった」といった民事上の損害賠償責任を負った場合に補償を受けることができます。

補償されないケース

以下のような場合は補償を受けることができません。

●業務上の事故が原因の賠償責任
あくまでも「個人」の賠償責任特約なので、業務上の事故が原因の場合補償されません。

●受託物(借りたものなど)の賠償責任
友人から借りた壺を割ってしまったといったケースは補償されません。借り受けたものには民法上「受託契約」という特別な関係性が発生しています。そのため受託物には「受託者賠償責任保険」という保険が別途用意されています。

●車両の所有・使用・管理による賠償責任
車両関係で他人に損害を与えた場合は、本来の自動車保険で補償されます。そのため個人賠償責任特約では補償されません。

契約者以外に誰が補償の対象になるのか

自動車保険の個人賠償責任特約は、以下の人も補償の対象となります。

・契約者の配偶者
・契約者又は配偶者と同居する親族
・契約者又は配偶者のどちらとも別居する未婚の子(婚姻歴がないこと)

親が契約していれば子どもたちも含め同居の家族全員が補償されるので、安心感がありますね。

個人賠償責任特約の費用

自動車保険に個人賠償責任特約を付けた場合と付けない場合の保険料の差をシミュレーションしてみました。

この試算では、年間の保険料は1,330円となりました。

自転車保険などに別途保険に加入する場合は1,500~3,600円程度かかることを考えると、特約であれば負担する保険料は安いといえます。

個人賠償責任特約のメリット ・デメリット

自動車保険に個人賠償責任特約をつけるメリット

●自動車保険と同時に契約できるので、手間が少ない
本契約である自動車保険と同時に契約できるので、別途申し込むなどの手間がかかりません。特にダイレクト系であればネット申し込み時にチェックを入れるだけなので簡単です。

●自動車保険と同時に更新するので、更新忘れの心配がない
自動車保険の場合、更新時期が近づいてくると保険会社からお知らせが来ます。

また無保険で車を運転することになる恐怖から真っ先に更新手続きをするので、同時に更新する個人賠償責任特約を忘れることがありません。

●示談交渉サービスがついてくる
単独の個人賠償責任保険の場合、示談交渉サービスがついていないことがあります。その場合、相手側との交渉を自分自身で行わなくてはならず、示談交渉がなかなか進まないなどのデメリットがあります。

その点自動車保険に付帯する個人賠償責任特約の場合、メインの自動車保険に示談交渉サービスがついており、そのまま特約にも適用されることがほとんどです。安心して保険会社に任せることができます。

自動車保険に個人賠償責任特約をつけるデメリット

●自動車保険を解約すると、特約も無くなってしまう
自動車保険と特約は親亀と子亀の関係です。そのため車を運転しなくなったなどの理由で親亀である自動車保険を解約すると、子亀である特約もなくなってしまいます。

特に複数台車を所有していて、自動車保険も複数契約していた場合、車を処分して自動車保険を解約した場合に、うっかり特約を消してしまうことがあるので注意が必要です。

自動車保険とは別に個人賠償責任保険に入るメリット・デメリット

別途個人賠償責任保険に入るメリット

●他の補償とセットになっていて手厚い補償を受けられることがある
自動車保険に付帯する個人賠償責任特約の場合、損害を与えた相手側への補償がほとんどで、自分のケガなどに対する補償はありません。

その点独立した個人賠償責任保険の場合、自分や家族のケガや入院なども補償されるプランがほとんどです。

別途個人賠償責任保険に入るデメリット

●自動車保険とは別に契約する必要がある
自動車保険とは別に個人賠償責任保険を契約するとなると、資料請求や申込の手間がかかります。また更新時期も自動車保険とは別になるため、更新を忘れるリスクがあります。

個人賠償責任特約を契約する際の注意点

【重複契約に注意】

●個人賠償責任特約をつけられる保険は結構多い
個人賠償責任特約をつけられる保険は意外と多く存在します。また金額も安いため、「取り敢えず付けておこうか」となることが多く、同じような内容の補償が複数存在することになりがちです。

●家族で複数台の車を所有している時は自動車保険同士の重複も注意
地方の場合、1人1台車を所有というケースも珍しくはありません。その場合自動車保険も台数分だけ契約されるので、自動車保険の個人賠償責任特約が重複することもあります。

●個人賠償責任特約は家族で一人契約していればほぼ全員カバーされる
個人賠償責任特約は契約者以外にも配偶者、同居の親族、別居の未婚の子もカバーされます。そのため家族が会社の団体保険などで傷害保険に入っていた場合、個人賠償責任特約が重複している可能性があります。

自動車保険以外に個人賠償責任特約を付けられる保険

【自転車保険】

最近増えている自転車による死亡事故に対応するため、自転車保険が人気になっています。

自転車保険の場合、最初から個人賠償責任特約がセットになっていることがほとんどです。また自動車保険の特約にない特徴として、自分のケガや入院に対する補償がセットになっていることがあげられます。

【火災保険】

火災保険も個人賠償責任特約をつけられる保険の一つです。ただメインとなる補償対象によって内容が変わってくることがあるので注意が必要です。

●マンションの場合
マンションの場合は、他の住人に損害を与える可能性が高いので、ほとんどの場合個人賠償責任特約がセットになっています。

●一戸建ての場合
一戸建ての場合、個人賠償責任特約は選択式になっており、自分で選ばなければならないケースが多くなっています。

※賃貸の場合は補償額に注意
賃貸の場合、賠償の限度額が3,000~5,000万円と少ないことも多いので、自転車による死亡事故などを考えると、別途個人賠償責任保険の加入を考える必要があります。

【傷害保険】

各損害保険会社が傷害保険の特約として用意しています。そのため自動車保険とほぼ同等の補償内容になっています。

【クレジットカードの付帯保険】

実は調べてみるとクレジットカードに自動的に無料で付帯する個人賠償責任保険はありません。別途申込をして加入する必要があります。ただ保険料の支払いはカードで決済されるため、手間が少ないといったメリットがあります。

個人賠償責任特約は家族の「お守り」

自動車保険の「おまけ」のように思われる個人賠償責任特約ですが、家族が起こす自転車での事故や、破損等の失敗をカバーする、「お守り」のような存在です。

自動車保険に加入していれば、年間1,000円ちょっと足すだけで、家族全体の大きな安心を得ることができます。

特約をつけるのは契約の途中でも可能です。ぜひ検討してみましょう。

プロフィール

杉浦 直樹
AFP FP2級
元歌舞伎役者のファイナンシャルプランナー。以前ソニー生命に勤務していたため保険商品に強い。
JSA認定ソムリエの資格も持つ

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