家族限定特約の自動車保険、「ちょっと運転代わって」は大丈夫?

ゴールデンウイークに友達とグループ旅行へ行ったり、お盆やお正月に実家に帰省したとき、「お酒飲んじゃったからちょっと運転代わって!」「買い物に行くから車借りるね」などと気軽に運転者が変わることがありますよね。でもちょっと待ってください。その車の自動車保険に「家族限定特約」が付いていませんか? 「家族の車だから大丈夫」と思っていても、現在同居していなければ補償されない場合があります。そんな状況で事故を起こすと自動車保険が使えず、すべて自己負担という恐ろしい事態になってしまいます。今回は、自動車保険の家族限定特約について解説し、安心で無駄のない自動車保険の利用法をご紹介します。自動車を持っている人、借りる人、運転する人すべてに関わる大切な内容ですよ。

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家族限定特約とは?

自動車保険の場合、保険会社は自動車事故の「リスク」を補償します。つまり、リスクに「お金=保険料」がかかるわけです。したがって事故が起こるリスクが低ければ、保険料も安く済みます。

そこで「リスク限定型自動車保険」が生まれました。代表的なのが、保険料は走る分だけの「走行距離限定特約」や、今回解説する「家族限定特約」です。

「家族」よりさらに限定できる場合もある

家族限定特約は補償される範囲を「家族」に限定したものですが、現在ではさらに補償範囲を絞ったものがあります。

●本人限定……記名被保険者、本人だけに保障を限定した特約です。本人以外が運転していた場合は補償されません。独身で友人にも絶対に車を貸さないなど、他の人が自分の車を運転する可能性が全くない場合におすすめです。

●配偶者限定……記名被保険者以外に、その配偶者も補償の範囲とした特約です。結婚後、子供が成長して免許を取るまでは、運転するのは夫婦のみといった場合におすすめです。

家族限定にしたほうがいい場合とは? メリットは?

家族限定特約のメリットは保険料が安くなることです。そのため、友人知人などに車を貸したりすることがなく、家族しか運転しないことが確実であれば、家族限定で契約するべきです。

また、家族限定の割引率は1~3%程度となっています。年間の保険料が12万円だとすると、1,200~3,600円ほどが割り引かれます。

本人限定の割引率は7~9%程度、本人・配偶者限定では7%程度が一般的です。

自動車保険でいう「家族」とはどの範囲までか

自動車保険が規定している「家族」の定義は、一般的にイメージする「家族」とは若干ズレがあるので注意が必要です。家族限定特約で補償の対象となる「家族」は、以下の要件を満たす人のことを指します。

・記名被保険者(通常契約者本人)
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者またはその配偶者の同居の親族

記名被保険者と配偶者が別居していても、どちらかと同居している親族ならOKです。

・記名被保険者またはその配偶者のどちらとも別居している未婚の子(未婚とは婚姻歴がないことを指す)

仕送りを受けている学生が典型例。離婚して結婚歴があった場合、「別居の未婚の子」とみなすかどうかは保険会社によります。

自動車保険でいう「同居」とは

自動車保険での同居とは同一の家屋に居住していることを指します。つまり「ひとつ屋根の下」という状態です。したがって同じ敷地内でも、家屋が違えば別居とみなされます。ただし台所や浴室などの生活用設備のない「離れ」や「プレハブの勉強部屋」などは同一家屋に該当し、同居とみなされます。

生計を同じくしているといった扶養関係の有無などは関係ありません。

二世帯住宅は?

二世帯住宅の場合、「同居」に当たるかどうかは保険会社によって判断が分かれています。

・例1:玄関など住居の入り口が一つなら一世帯
・例2:水回りが別々の場合は二世帯

加入を検討している保険会社に判断をきくようにしてください。

「家族」に含まれない例

・結婚して別のマンションなどで暮らしている息子
(結婚前か、結婚していても親と同じ家で暮らしていれば家族に含まれます)

・離婚して独身になり、一人暮らしをしている娘
(結婚前の一人暮らしのとき、また離婚後でも親と同じ家で暮らしていれば家族に含まれます)

家族限定で注意すべき点

自動車保険に家族限定特約が付いている場合、他人が運転して事故を起こせば、補償は一切されません。無保険で全額自己負担という悲劇を起こさないためにも、「家族」以外の人に車を貸す場合は、以下のようなしっかりとした準備が必要です。

●短期の1日自動車保険に加入する
意外と知られていませんが、「1DAY保険」「ちょいのり保険」といった名称で、24時間限定の自動車保険が販売されています。コンビニで申し込み、支払いができるものあり、値段も500円程度からと気軽に加入できるのでおすすめです。

●貸している期間だけ一時的に家族限定を外す
これもあまり知られていないテクニックですが、自動車保険の家族限定特約は契約後も付けたり外したりすることが可能です。友人に車を貸し出す間や、息子や娘家族が帰省してくるときだけ家族限定特約を外しておくということができるのです。

手続きは保険会社や代理店に連絡を入れるだけです。保険料アップは月割で計算されるため、およそ数百円~1,000円ほど。保険会社によっては短期の場合は保険料アップをサービスしてくれるところもあります。
ただし、車の貸し出しが終わった後はまた「家族限定」に戻す手続きが必要です。

●運転する人の「他車運転特約」を利用してもらう
車を貸した友人や帰省した子供の家族が自分でも車を所有しており、自動車保険に加入している場合、その自動車保険の「他車運転特約」が利用できる場合があります。

他車運転特約とは、「他人から借りた車を運転しているときに事故を起こした場合、“自分の”自動車保険を使うことができる」特約で、ほとんどの自動車保険には自動的に付帯しています。

他車運転特約があれば、車を貸した友人や子供の家族が万が一事故を起こしても、そちらの自動車保険でカバーされます。車を貸す場合は、自動車保険の加入状況を聞くようにしましょう。

家族限定と年齢条件の関係

自動車保険のリスクを限定して保険料を安くする方法には、家族限定のように「人」を限定する他、「年齢」を限定する方法もあります。

これは統計的に若い人のほうが年配の人より事故率が高いことから設定されているもので、「年齢条件」と呼ばれます。例えば「21歳以上限定」であれば19歳、20歳の人は補償されず、「30歳以上限定」であれば29歳以下は補償されません。

ただこの年齢条件は記名被保険者、配偶者、同居の親族にしか適用されません。つまり「別居の未婚の子」には適用されないのです。例えば、大学進学のために上京して一人暮らしの息子がいる家庭の場合、「家族限定」かつ「35歳以上限定」で契約することが可能です。

この場合息子が帰省して車を運転しても、「別居の未婚の子」なので、「家族」には含まれ、「35歳以上限定」には含まれないので、補償されることになります。

めったに他人が運転しないのであれば、家族限定特約はマスト!

頻繁に車を貸し出す場合は別として、年に数回程度しか他人が運転しないのであれば、無駄な保険料を払うことはありません。ぜひ家族限定特約を付けておきましょう。

貸した相手が自動車保険に加入していれば他車運転特約でカバーされますし、いちいち特約を外したりしなくても、手軽な1日保険を利用すれば済むことです。家族構成に合わせた無駄のない自動車保険で、安心をお得に手に入れましょう。

プロフィール

杉浦直樹
AFP FP2級
元歌舞伎役者のファイナンシャルプランナー。以前ソニー生命に勤務していたため保険商品に強い。

JSA認定ソムリエの資格も持つ

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