【2024年】勤怠管理システム導入の補助金・助成金は主に2つ!制度の内容や注意点を解説

勤怠管理システムの導入には補助金や助成金が利用できます。制度の詳細や注意点について解説しているので、働き方改革の推進に伴うシステム導入を検討中の企業担当者は参考にしてください。

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勤怠管理システムの導入には補助金・助成金が利用できる

提供:LIMIA編集部

勤怠管理システムの導入に際して利用可能な主な補助金・助成金には中小企業庁の「IT導入補助金」と厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金」があります。

これらの制度を利用することで、企業は労働時間の適正管理や効率化に貢献するシステムを導入する際の費用負担を軽減できる可能性があります。特に労働環境の改善に宛てる資金リソースが潤沢ではない中小企業にとって、活用しない手はない補助金・助成金制度です。

勤怠管理システムとは

そもそも勤怠管理システムとは、従業員の出勤状況や労働時間を記録・管理するためのシステムです。これにより、効率的な労務管理が可能となり、労働時間の削減や生産性向上が期待できます。

特に人手不足に悩まされる企業にとっては労務管理の負担が大きいため、勤怠管理システムの導入における恩恵は大きいものです。

補助金と助成金の違い

  • 補助金:特定のプロジェクトや事業に対する資金援助
  • 助成金:労働関連の取り組みを支援

ここでは補助金と助成金という言葉を用いていますが、IT導入補助金と働き方改革推進支援助成金は両者ともに事業の資金援助を目的としており、その性質に違いがあります。

補助金は特定のプロジェクトや事業に対する資金援助を指します。これに対して助成金は労働関連の取り組みを支援するための資金です。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が自社の業務効率化やDX推進セキュリティ対策を目的としたITツールやクラウドサービスの導入を支援する制度です。

「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)」「複数者連携IT導入枠」「セキュリティ対策推進枠」の5つに分かれており、主にソフトウェアの購入費やクラウドの利用料などが補助金の対象となります。

通常枠

  • 補助事業者:中小企業・小規模事業者など
  • 補助額:5~150万円未満/150~450万円以下
  • 補助率:1/2
  • 保証対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費

IT導入補助金の通常枠では、中小企業や小規模事業者を対象に、生産性の向上に関連するITツール(ソフトウェア・サービス)の導入にかかる費用を支援してもらえます。また、クラウド利用料も最大2年分補助され、保守運用などの導入に関連する費用も含まれます。

交付が決定した日から指定の期日までにITツール導入によって得られた結果を報告する必要があるため、どの勤怠管理システムを導入するかはあらかじめ決めておきましょう。

なお、IT導入補助金の通常枠における事業スケジュールは以下の通りです。

交付申請期間

受付開始:2024年2月16日(金)(予定)

1次締切分

締切日:2024年3月15日(金)17:00 交付決定日:2024年4月24日(水)(予定) 事業実施期間:交付決定~2024年10月31日(木)17:00(予定) 事業実績報告期限:2024年10月31日 (木)17:00(予定)

2次締切分

締切日:2024年4月15日(月)17:00 交付決定日:2024年5月27日(月)(予定) 事業実施期間:交付決定~2024年11月29日(金)17:00(予定) 事業実績報告期限:2024年11月29日(金)17:00(予定)

3次締切分

締切日:2024年5月20日(月)17:00 交付決定日:2024年6月26日(水)(予定) 事業実施期間:交付決定~2024年11月29日(金)17:00(予定) 事業実績報告期限:2024年11月29日(金)17:00(予定)

インボイス枠・複数者連携IT導入枠・セキュリティ対策推進枠は対象外

IT導入補助金には、通常枠以外にも3つの枠があります。

しかし、これらの枠はインボイス制度に対応した会計ソフトやレジ・券売機、セキュリティサービスといった、勤怠管理に関係のないソフトウェアやサービスが対象です。勤怠管理はインボイスやセキュリティに直接的な関係がないため、交付の対象外となります。

そのため、勤怠管理システムの導入を考えている企業は通常枠での補助金を検討しましょう。

参考:IT導入補助金2024 - 中小企業庁

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金は、厚生労働省が主体となって運営する助成金で、生産性向上労働時間削減従業員の健康維持などを目的とした設備投資に対する費用の助成を行います。

この助成金には5つのコースがあり、「労働時間短縮・年休促進支援コース」「労働時間適正管理推進コース」「勤務間インターバル導入コース」「適用猶予業種等対応コース」の4つが勤怠管理システムの導入に活用可能です。

対象となるのは主に中小企業の事業主で、成果目標の達成に応じて助成金の交付額が決定します。2024年の交付申請については詳細が発表されていないため、最新の情報は厚生労働省のホームページを確認してください。

労働時間短縮・年休促進支援コース

労働時間短縮・年休促進支援コースは、生産性の向上によって時間外労働を削減したり、年次有給休暇の取得特別休暇の取得促進に向けた環境整備を行ったりする企業に助成金が交付される支援制度です。

2023年度の交付では、交付対象となる事業主が以下のいずれかの成果目標を達成した場合に、達成状況に応じて25万~200万円の助成金が交付されます。賃金額の引き上げを成果目標に加えた場合はさらに加算されます。

【1】全ての対象事業場において、2023年度または2024年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を月60時間以下、または80時間以下を上限として設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行う

【2】全ての対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入する

【3】全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定を1つ以上新たに導入する

勤怠管理システムの導入においては、1つめの時間外・休日労働時間の削減を成果目標に設定すると良いでしょう。

参考:働き方改革推進支援助成金 (勤務間インターバル導入コース) |厚生労働省

労働時間適正管理推進コース

労働時間適正管理推進コースは、生産性を向上させると共に、労務・労働時間の適正管理の推進に向けた環境整備を行う中小企業に向けた助成金の支援制度です。

2023年度の交付では、交付対象となる事業主が以下のいずれかの成果目標を達成した場合に、達成状況に応じて最大100万円の助成金が交付されます。賃金額の引き上げを成果目標に加えた場合はさらに加算されます。

【1】全ての対象事業場において、新たに勤怠管理と賃金計算などをリンクさせ、賃金台帳などを作成・管理・保存できるようなITシステム(※)を用いた労働時間管理方法を採用する

【2】全ての対象事業場において、新たに賃金台帳などの労務管理書類について5年間保存することを就業規則などに規定する

【3】全ての対象事業場において、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に関する研修を労働者や労務管理担当者に実施する

※:ネットワーク型タイムレコーダーなど、打刻時刻を自動的にシステム上に反映してデータ管理できるもの。賃金計算や賃金台帳の作成・管理・保存が行えるもの

勤怠管理システムの導入においては、1つめの成果目標が適しているでしょう。会計ソフトと連携できる勤怠管理システムを導入すれば、労働時間の適正管理だけでなく賃金計算も自動化でき、労務の負担削減に繋がります。

参考:働き方改革推進支援助成金 (勤務間インターバル導入コース) |厚生労働省

勤務間インターバル導入コース

勤務間インターバル導入コースは、勤務終了から次の勤務までに一定時間以上の休息を設ける制度の導入に取り組む中小企業を支援するコースです。

2023年度の交付では、交付対象となる事業主が以下のいずれかの成果目標を達成した場合に、達成状況に応じて40万~100万円の助成金が交付されます。賃金額の引き上げを成果目標に加えた場合はさらに加算されます。

【1】新規導入:勤務間インターバルを導入していない事業場において、所属労働者の過半数を対象として9時間以上の勤務間インターバルに関する規定を労働協約または就業規則に定める

【2】適用範囲の拡大:すでに9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場において、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下であるものについて、範囲を拡大し過半数を対象とすることを労働協約または就業規則に定める

【3】時間延長:すでに9時間未満の業務間インターバルを導入している事業場において、当該事業場に所属する労働者の半数を超える労働者を対象として休息時間数を2時間以上延長して業務間インターバルを9時間以上とすることを労働協約または就業規則に定める

勤怠管理システムの導入においては、出退勤の時刻を適正管理するためのツールとして使用するため、いずれの成果目標においても役立ちます。

参考:働き方改革推進支援助成金 (勤務間インターバル導入コース) |厚生労働省

適用猶予業種等対応コース

適用猶予業種等対応コースは、建設業・運送業・病院等・砂糖製造業など、特定の業種で時間外労働の削減週休2日制の推進勤務間インターバルの導入医師の働き方改革といった環境整備に取り組む企業に向けた助成金制度です。

2023年度の交付では、交付対象となる事業主がいずれかの成果目標を達成した場合に、達成状況に応じて50万~250万円の助成金が交付されます。賃金額の引き上げを成果目標に加えた場合はさらに加算されます。

【1】全ての対象事業場において、2023年度または2024年度において有効な36協定について時間外・休日労働時間を縮減し、月60時間または月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行う(建設業、運送業、砂糖製造業のみ)

【2】全ての対象事業場において、2023年度または2024年度において有効な36協定について時間外・休日労働時間を縮減し、月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行う(病院等のみ)

【3】全ての対象事業場において、4週5休から4週8休以上の範囲で所定休日を増加させる(建設業のみ)

【4】全ての対象事業場において、9時間以上の勤務間インターバル制度の規定を新たに導入する(運送業、病院等のみ)

【5】医師の働き方改革推進に関する取り組み(※1)を全て実施する(病院等のみ)

※1:医師の働き方改革推進に関する取り組みとは次の(1)(2)のこと
(1)労働管理体制の構築
ア. 労務管理責任者を設置し、責任の所在と役割を明確にする
イ. 医師の副業・兼業先との労働時間の通算や医師の休息時間確保に係る協力体制の整備を行う(副業・兼業を行う医師がいる場合のみ)
ウ. 管理者層に対して人事・労務管理のマネジメント研修を実施する
(2)医師の労働時間の実態把握と管理
ア. 労働時間と労働時間でない時間の区別などを明確にした上で、医師の労働時間の実態把握を行う
イ. 医師の勤務計画を作成する

勤怠管理システムの導入においては、時間外・休日労働時間の縮減や、勤務間インターバル制度のための適正管理などに使用するため、いずれの成果目標でも役立つでしょう。

参考:働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース) |厚生労働省

団体推進コースは対象外

団体支援コースは、中小企業事業主の団体や連合団体が労働者の労働条件改善のために取り組みを実施する際に、事業主団体に対して助成金を支援する制度です。

労働条件改善の中には時間外労働の削減などがありますが、助成金の交付対象となる取り組みで勤怠管理システムの導入に関する事項がないため、ここでは対象外としています。

参考:働き方改革推進支援助成金 (団体推進コース) |厚生労働省

勤怠管理システムの補助金・助成金を利用する際の注意点

提供:LIMIA編集部
  • 補助金・助成金には申請期限がある
  • 導入実施後に報告が必要
  • 申請から交付まで期間が開く

補助金・助成金には申請期限がある

交付される補助金や助成金の申請には期限が設けられています。2023年度では、IT導入補助金が2024年1月15日(月)17:00まで、働き方改革推進支援助成金が2023年12月28日(木)までとなっています。

申請期限に間に合わず後から申請しても補助金や助成金は受け取れないため、計画的に申請を行うようにしましょう。

導入実施後に報告が必要

補助金や助成金を受けた後、導入後の成果報告が必要です。この報告は、補助金・助成金の交付条件の一部として、その効果や成果を確認するために求められます。

勤怠管理システムを導入しても運用がうまくいかず、結果的に労働環境などが改善されなかった場合は、補助金・助成金が交付されないこともあります。補助金や助成金の制度を利用する際は、成果の報告を念頭に置いて事業を実施しましょう。

申請から交付まで期間が開く

申請から実際に補助金や助成金が交付されるまでの期間は、数週間から数ヵ月かかることがあります。補助金や助成金の申請から交付決定、事業実施、さらに成果報告を行う必要があるためです。

資金繰りがギリギリの状態で勤怠管理システムを導入してしまうと、補助金や助成金が交付される前に企業の経営が傾いてしまう可能性があるため注意が必要です。

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出典:ミツモア

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利用者の口コミや評判を参考にできる

ミツモアの商品比較サービスは、勤怠管理システムの提案だけでなく利用者の口コミ・評判を見ることができます。実際に利用した人の声を参考にできるため、勤怠管理システム選びの失敗を未然に防げるでしょう。

勤怠管理システムの補助金・助成金に関するQ&A

提供:LIMIA編集部

ここからは、勤怠管理システムの補助金・助成金に関する疑問をQ&A形式で答えます。勤怠管理システムの補助金・助成金について疑問があればチェックしてみてください。

Q1. 勤怠管理システムの導入にはどのような補助金・助成金が利用できる?

A. 中小企業庁の「IT導入補助金」と厚生労働省の「働き方推進支援助成金」が利用できます

いずれも国の政策の1つであり、ITツールの導入や労務の見直しによって労働者の働き方を改善する目的があります。勤怠管理システムの導入も対象になるため、これから導入を考えている企業は活用しましょう。

Q2. 2024年の勤怠管理システムの補助金・助成金の申請はいつから?

A. 2024年の補助金・助成金の申請は未定です

IT導入補助金については、2024年2月16日(金)からを予定(※)していますが、準備が整い次第公募を開始するとのことです。詳しくは公式ホームページから内容を確認してください。

※:IT導入補助金2024 事業スケジュール

勤怠管理システムに関する記事をチェック

※記載している情報は、LIMIA編集部の調査結果(2024年1月)に基づいたものです。
※画像は全てイメージです。

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