子どもの宿題は手伝ってもいいの? 親のかかわり方でNGなこと
私は小学校・特別支援学校での教員歴13年。のべ300人の子どもとかかわってきました。特別支援を専門としていて、特別支援教育コーディネーターや就学指導(支援)委員会での経験があります。私の長男は現在療育に通っていて、保護者としての目線ももちつつ、私のインスタグラムに寄せられたもので反響の大きかった質問について紹介します。今回は「ひとりで宿題をやり終えられない子」に対して、親が手伝っていいのか、親はどうかかわっていくのがよいかをお話しします。
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私は小学校・特別支援学校での教員歴13年。のべ300人の子どもとかかわってきました。特別支援を専門としていて、特別支援教育コーディネーターや就学指導(支援)委員会での経験があります。私の長男は現在療育に通っていて、保護者としての目線ももちつつ、私のインスタグラムに寄せられたもので反響の大きかった質問について紹介します。
Q.家でなかなか宿題ができません。とりかかるまでに時間がかかったり、やり始めても問題がわからなくて癇癪を起したり。こういう場合は親が宿題を手伝ってもいいのでしょうか?
今回は「ひとりで宿題をやり終えられない子」に対して、親が手伝っていいのか、親はどうかかわっていくのがよいかをお話しします。
1.宿題の意味
小学生親子を毎日悩ませる宿題。
夕方から夜にかけての忙しい時間の中で、毎日宿題に追われてあくせくしている家庭も多いのではないでしょうか。
宿題は大前提として「その日に学んだことを頭に定着させる」という目的があります。
人は学んだことの70%以上をその日のうちに忘れてしまうといいます。「鉄は熱いうちに打て」というように、その日に得た知識はその日のうちに復習してしっかり覚えることが大切です。
低学年の宿題の意味
低学年の宿題には「毎日机に向かう習慣をつける」というねらいもあります。
また「課された課題を期日までにそろえて提出する」という社会的に必要なスキルも、宿題で高めることができます。
高学年の宿題の意味
高学年の宿題には「自分で自分の分からないところを見つけ、補充する」や「得意なことをさらに伸ばす」というねらいがあります。
最近は自主学習ノートを作り、毎日の自習を宿題とする小学校が多くなりましたね。
学年が上がれば上がるだけ、自分で計画を立てて自分の苦手を補ったり、得意なことをもっと伸ばしたり、自分の学力を自分で伸ばすスキルをつけていくことが大切です。
低学年であれ高学年であれ「やらなきゃいけないからやる」ではなく、宿題をやることにどんな意味があるのか理解している方が、宿題の効果は圧倒的に高くなります。
2.親のNGなかかわり方
宿題は、子どもの能力を高めるいい効果がたくさんあります。ですが自分から宿題をやりたがる子どもは、あまりいませんよね。
まして宿題の提出がおろそかになれば、学校の先生から「家で宿題をちゃんと見てください」なんてお叱りを受けるおそれも…。
そうなると「親が手伝ってでもやらせなきゃ!間に合わせないと!」と感じる保護者も出てくるかと思います。
宿題を親が手伝うのは悪いことではありません。ただし、絶対にNGな手伝い方があります。
・親が時間を決める
・子どもの手元をずっと見ている
・やり終わってからダメ出しをする
これら3つは、子どもの自尊心や自己肯定感を下げてしまう行動です。
親が時間を決めると子どもの自主性は育ちにくくなり、「制限時間を決められた」と嫌悪感だけ募ってしまうでしょう。
子どもの手元をずっと見ていると、子どもは「信用されていない」「まちがえるのが怖い」と、無用な緊張感をもち続けなければなりません。
終わったあとのダメ出しがよくない理由も同じです。
宿題を嫌がる子どもは、これまでの失敗体験の多さから「宿題をやってもいいことがない」と無意識に感じてしまっています。
これでは手伝っているのではなく、単なる監督者になってしまい、子どもにとっていい影響はありません。
では、子どもが成功体験を重ねて自分から宿題をやるようになるには、親はどのようにかかわればいいのでしょうか。
3.親の上手なかかわり方
子どもが自分から宿題をやりたくなるような、親の手伝い方・かかわり方は以下のとおりです。
・子どもの近くで親は別のことをする
・声をかけやすい雰囲気を出す
・自由帳と鉛筆を用意する
NGなかかわり方が、積極的なかかわりだとするならば、上手なかかわり方は「受け身なかかわり」と言えます。
親はあれやこれやと声をかけず、子どもが自分から助けを求めるまで待ちます。
もし声をかけるとしたら「わからないところあった?」「助けが必要ならすぐに呼んでね」のように、子どもが困っていることをすくいとるような言葉がいいでしょう。
この「困ったときに安心して聞ける」という環境を作ることが、宿題においてなによりも大切です。そのために、リビング学習でなくてもいいので、親はできるだけ宿題をしている子どもの近くにいましょう。物理的な距離があると、子どもはすぐに聞けないので「まあいいや」と後回しにしたり、飛ばしたりする原因になります。
いざ子どもから助けを求められたら、自由帳と鉛筆で問題を教えてあげましょう。ただ、計算ドリルやノートなどの小さいスペースにごちゃごちゃと書くような教え方はやめたほうがいいです。
ごちゃごちゃ書きは、以下のようなデメリットがあります。
・わかりにくい
・あとで見返して他の問題に応用できない
・ぱっと見で汚く見えるので、気持ちがそれる
一方、自由帳と鉛筆を用意して教えることのメリットは、以下のとおりです。
・文字や図を大きく書いて教えられる
・あとで子どもがいつでも見返して復習ができる
・ひとつ目の教え方で分からなかったら、すぐに次のページを使って教え直せる
大きく書ける紙ならば、自由帳でなくても裏紙でもなんでも大丈夫です。白くて大きな紙に問題を書き写して、図を交えながら、親も楽しんで教えてみてください。
家庭でできるかかわり方
・子どもが助けを求めやすい雰囲気づくりをする
・子どもが「聞いてよかった」と達成感をもって終われるようにする
・大きな紙を使ってわかりやすく書き、次につなげられるように教える
これは低学年・高学年など学年に関係なく有効です。家庭でもこの3つのポイントを踏まえて、宿題を手伝ってみてくださいね。
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