電動用具を使って庭仕事を省力化しよう!
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これから春にかけて、樹木の剪定や庭のリニューアル作業などに適した季節になります。この時期の庭仕事には、時に力が必要なこともあります。人の力だとなかなかはかどらず時間がかかったり、一人では難しい作業を楽にしてくれるのが電動用具。ここでは、庭でのお手入れの困ったを解決してくれる電動用具の使いこなし方をご紹介します。
手入れをサボって太い枝が増えてしまったらどうすればいい?
庭に青々とした緑が茂るのはよいのですが、伸び放題にしておくことはできません。そのままにしておくと姿が乱れるほか、お隣の敷地にまで枝が伸びてしまってトラブルの元になることもあります。そんなことを避けるためにも、定期的な剪定は必須といえます。
比較的細い枝を剪定するだけなら片手で扱える剪定バサミを使えばよいのですが、直径3cmを超えるような太い枝を切るのは難しくなってきます。
太い枝を切るためには、上写真のような太枝切りバサミか、ノコギリが必要になります。
これも、数本であればまだよいのですが、太い枝が何本もあるとなかなか大変な作業になってしまいます。
ノコギリであれば片手で体を支えながら枝を切ることができますが、高枝切りバサミだと両手に力をかける必要があります。しかし、ちょっと高い所の枝を剪定しようとすると脚立に登らなければならないことも。高いところに登って、両手を使っての力が必要な作業には、不安があるという人も多いのではないでしょうか。
しばらく手入れをしていなかったりして、枝が旺盛に伸びてしまった枝がたくさんあると、1日では作業が終わらなかったりもします。
日ごろ暮らしている家の庭であれば合間を見つけて、少しずつ剪定を進めることもできますが、毎週末が来るたびに、剪定に掛かりっきりというわけにもいきません。また、離れた場所にある実家に行ったときに、庭仕事ができなくなった親の代わりに剪定をしたり、あるいは誰も住んでいないけれど相続で受け継いだ庭の管理をたまにしにいくというケースもあるでしょう。限られた時間で作業を済ませなければならないけれど、手作業でなかなか進まず、残った分は次回に持ち越し。次に作業に行くまでにまた枝が伸びてしまうなんてこともあります。
そこで、これらの問題を解決するためにおすすめしたいのが、電動用具です。
体力が落ちてきて作業に自信が無い人でも扱うことができ、人力で行うよりも素早く作業を済ませることができます。
手軽な値段で手に入るレシプロソーがおすすめ!
レシプロとは「往復運動」、ソーは「ノコギリ」という意味で、その名の通り刃が前後に往復することで切断するタイプの電動ノコギリです。
電動工具メーカー各社から発売されており、最近は4,000円台の安価な機種も登場して、買いやすくなってきています。有名メーカーから発売されているものは1万円以上しますが、その分耐久性は高いといえます。
造園業者などが頻繁に使うのであれば、多少高くても長持ちする機種を選んだほうが安心ですが、週末に使う程度であれば1万円未満の機種でも十分でしょう。
レシプロソーの選び方
レシプロソーの多くは、バッテリー電源で動くタイプです。
有線の電源コードで電源を得るタイプもありますが、庭の中をあちこち動き回ったり、時には脚立や木に登って作業する庭仕事では、バッテリータイプが使いやすいでしょう
バッテリーや機種の説明にはさまざまな数字が書かれていますが、機種選びの際は「v」と「Ah」を基準にするとよいでしょう。
詳細な説明は省きますが「v(ボルト)」はどのくらいの電圧を出すことができるかを表した単位で、これが高いほど強いパワーを発揮することできます。
電動工具のバッテリーでは10.8v、14.4v、18vなどの表示がされていることがありますが、10.8vよりも14.4vの方がパワーがあり、18vのほうがさらにパワフルということになります。最近は電動工具メーカーのマキタのスティック式掃除機が人気ですが、これも電動工具と共通の充電式バッテリーを使っているため、「v」の数字が大きいほどパワフルになっています。
「Ah(アンペア時=あんぺあじ)」は、そのバッテリーがどのくらいの電力を供給できるかを示した数字です。
この数字が大きいほど、バッテリーが供給できる電力が多くなることになるので、長時間作業をするのであれば「Ah」の数字が大きいものを選ぶほうがよいでしょう。
「v」と「Ah」の数字が大きければ大きいほどパワフルで長時間作業ができるのであればいいことずくめに一見感じますが、これらの数字が大きくなるとともにバッテリーのサイズと重量も大きくなっていきます。バッテリーは用具に取りつけて使うので、これが大きく重くなればそれだけ作業もしにくくなります。
とにかく用具を軽く小さくして軽快に作業をしたいのであれば、パワーや作業時間は減りますが、バッテリーが小さい機種を選ぶといいでしょう。
長時間パワフルな用具で作業をすることを優先するのであれば、大出力、大容量のバッテリーを選ぶのがよいといえます。
また、たとえば同じ18vのバッテリーであっても、メーカーによっては容量(Ahの数字)を何種類か発売していることがあります。容量が小さければそれだけバッテリーは小さくなりますので、小容量のバッテリーをいくつか用意して、重さは軽くしつつも長時間作業するという手もあります。
大手の電動工具メーカーでは、どこもレシプロソーを発売しているので、手持ちの充電式バッテリーに合うものを買う、というのも経済的です。
刃は交換式
レシプロソーは上の画像のような刃を本体に取りつけて使います。
上の画像の右側が刃の先端で、左側が本体への取り付け部位になります。本体への取り付け部位は規格化されていて、適合するものであればさまざまな種類の刃を取りつけることができます。
剪定用の刃のほか、金属切断用、塩化ビニール用、プラスチック用などが販売されています。繊維質が多い竹を切ることに特化した刃などもあります。
刃の取りつけはワンタッチ
上の画像中央のつまみのようなところが、刃を取りつける部位です。
矢印の方向に回転させてゆるめ、刃を取りつけます。取りつけているときに動き始めてしまうと危険なので、安全装置を入れ、バッテリーを外して作業しましょう。
刃を取りつける
刃を取りつけると上写真のようになります。
本体側の金具がしっかりと刃を保持していることを確認し、ぐらつくようであれば取りつけ直しましょう。
安全装置とトリガーで操作
上写真の赤い○で囲んだ黒い部分が安全装置です。
刃の交換時、作業をしないときは安全装置を作動させておけば、誤作動の心配がありません。そして、黄色い丸で囲んだトリガーを指で握り込むことで刃が前後に動きます。
いずれも機種によってついている場所や形状などは異なります。また、機種によって異なりますが、トリガーを少しだけ握り込むと刃がゆっくり作動し、強く(深く)握り込むとフルパワーで作動するものもあります。
レシプロソーで枝を切る
安全装置を外して、トリガーを握り込むと刃が動き始めます。
機種によって形状は異なりますが、多くのレシプロソーは片手でハンドルを握ってトリガーを操作し、もう片方の手で本体を保持できるような構造になっています。
作動している刃を枝に押し当てると、強い振動が起きるので、ハンドルを握っていないほうの手でしっかりと支えると安全に作業ができます。
上の画像のような直径3cmほどの枝であれば、ほんの数秒で切断することができます。
このくらい細い枝であれば刃を上から入れても下から入れても切断できますが、直径5cmを超えるような枝や、長さがあって全体の重量がある枝の場合は、上から刃を入れたほうがよいでしょう。
下から刃を入れて切っていくと重さで枝が垂れ下がり、刃が挟み込まれてしまい、動かなくなってしまうことがあるので要注意です。
レシプロソーだと切ったあとが粗くなる
レシプロソーの刃は人の手でノコギリを使ったときよりも強く速く動きます。
そのため、刃のブレも大きくなり、切り口が多少荒れた感じになります。
癒合しやすいように切り口を滑らかに
切り口は剪定バサミなどで表面を削るようにすると滑らかになります。
見た目がよくなるほか、樹皮が盛り上がってきて切り口を覆い、木の中に細菌などが入りにくくなるという効果もあります。
滑らかにしたあとに、トップジンペーストやカルスメイトといった癒合剤を塗っておいてもよいでしょう。
回転ノコギリは剪定に不向き
DIYが好きな方だと回転ノコギリを持っている人もいるかもしれませんが、剪定には向きません。
DIYで使うような回転ノコギリは、製材された木材を平らな場所で切ることを前提に作られているので、さまざまな形をしていたり、硬い樹皮に覆われた生木を切るようには作られていません。
回転ノコギリは木材の節など硬いところに刃がさしかかると動きが止まってしまったり、場合によっては刃が跳ね返される「キックバック」という現象が起きます。
平らな場所などであれば対応しやすいのですが、枝の剪定などの不安定な姿勢になるシチュエーションでは非常に危険です。
また、回転ノコギリの刃は木材を切り進んでいくごとに広がるカバーがついていますが、枝の剪定ではこれがうまく作動しないため、手でカバーを広げないと切りたい部位に刃が当たらないケースもあります。
高速回転する刃のそばに手を持っていくことになるので、これも大変危険です。
回転ノコギリを剪定に使うのはやめましょう。
高いところ・太い枝を切るなら高枝切りチェーンソー
脚立などに登らなくても剪定ができる用具としてポピュラーな高枝切りバサミ。
ホームセンターなどで2,000〜3,000円程度とお手頃な値段で販売されており、使っている方も多いのではないでしょうか。
3mくらいまで伸びるので、そこそこ高い木の枝も剪定できるのでとても便利なのですが、切れる枝の太さは1cm程度まで。それ以上の太さの枝は剪定しないで残さざるを得ないのですが、そうこうしているうちに枝はどんどん太くなっていきます。
樹木の枝は上に向いて伸びるものほど勢いが強く、すぐに太くなってしまうので、手に負えない太さになる前に剪定するべきでしょう。
最近は「高枝切りチェーンソー」「ポールチェーンソー」という名前で、高所の太い枝を切るための用具が販売されています。これはその名の通り、長いポールの先端にチェーンソーがついていて、高い場所の枝が切れるというもの。
ポールの長さはメーカーによって異なりますが、1.5〜2mくらい伸びるものが多いようです。
レシプロソーは刃を取り替えるとさまざまなものが切れますが、チェーンソーは基本的に木の切断のみ。ただし、替え刃はあるので、切れ味が鈍ったり、錆び付いて動きが悪くなったら取り替えることができます。こちらも多くはバッテリー式です。
10cmの枝も数秒でカット
レシプロソーよりもさらにパワフルなので、10cmくらいの太さの枝であればものの数秒で切断することができます。
上の画像は高枝切りチェーンソーで切ったウメの枝。すんなりカットできれば、切断面も割と滑らかです。
できるだけ刃を上から押し当てるのがポイント
チェーンソーは自転車のチェーンのような構造をした刃が高速で回転することで枝を切断します。レシプロソーの刃よりは構造が複雑な分、切り口に挟み込まれたりすると外すのが面倒です。
高いところの枝なのでなかなか難しいところはあるのですが、上写真のように、なるべく枝の上から刃が入るようにしたほうが、トラブルなく作業が進みます。
真横から刃が入ると切り口に挟まることも
上の画像は真横から刃が入っていますが、これだとだんだん枝が垂れ下がってきて、切り口がV字型になり刃が挟み込まれてしまいます。
レシプロソーのようなブレード状の刃であれば無理矢理引っ張って抜くこともできますが、チェーンソーだとチェーン状の刃だけが挟み込まれていて、無理をすると刃がちぎれてしまうこともあります。
高いところだけに刃を外す作業もしにくいので、こうなってしまうと作業が進みません。
ちょっと時間はかかりますが、刃が挟まらない程度に少しずつ切れ込みを入れて、枝のたわみ具合にあわせて切っていくのがよいでしょう。
また、上写真の状態だと、作業者は枝の真下にいることになります。
これも危険なので、できるだけポールを伸ばして、枝の真下を避けて作業を行いましょう。
入手しやすくなった電動用具を活用して作業をスマートに
レシプロソーも高枝切りチェーンソーも、最近は機種も増え、手に入りやすくなってきています。どちらも強力に作動する器具なので取り扱いには注意が必要ですが、うまく使えば、手作業だけで行うよりも庭仕事がはかどること間違いなし。
ぜひうまく活用してみて下さい。
Credit
写真&文/土屋 悟(つちや さとる)
フリーライター。
インドアグリーンの最新事情に強い、園芸・ガーデニング関連のライターとして活動中。自宅でも、水槽、透明ケースなどを使って試行錯誤しながらランなどの植物を栽培。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。
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