【徹底比較】外国と日本のペットに対する考え方とペット信託の考え方

国が違えば価値観も法律も違います。そして、ペットへの考え方や、ペット福祉の考え方も違っています。日本のペットの考え方と、外国のペットの考え方も、もちろん違っています。

外国ではペットやペット信託、そしてペットの福祉や相続に関してどのような考え方を持っているのでしょうか。日本と比較しながら考えてみましょう。

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ペット信託を活用する上で知っておきたい!外国と日本の2つの違い

ペット信託は飼い主の急な病気や死によって残されるペットの生活が脅かされないようにするために、飼い主が事前に「ペットのための財産」「もしもの時にお世話をしてくれる人」を決めて結ぶ信託契約です。もしものことを想定してペット信託を結ぶことにより、飼い主の急病や急逝によりペットの生活が不安定になることがなくなります。飼い主がペットの将来を飼い主が守る方法、それが「ペット信託」なのです。

ペット信託は2013年に商標登録されました。ペットのための仕組みとしては、比較的新しい仕組みと言えるかもしれません。日本ではペット信託という言葉が少しずつ浸透しつつあるという現状です。

飼い主の急病や急死という突発的な事態からペットを守るためには、親族や知人の善意に頼ることや、遺言書で対策することくらいしか方法がありませんでした。

親族や知人にペットを託すことや、遺言書でペットの世話をお願いすることは、「約束が破られる可能性がある」というリスクがありました。強制することができなかったのです。その点、ペット信託を使えば、信託財産の状況やペットの世話にもきちんとチェックが入りますので、善意頼りというリスクがありません。

日本における、飼い主のもしもの時の対策としては、このようにペット信託などが使われている状況です。では、外国では、どのような考えで、どのような方法をとっているのでしょうか。

① 外国ではペットに財産を残すことも!アメリカと日本の違い

日本では、ペットを名指ししてペットの名義で財産を残すことはできません。遺産相続では、人間に対しては遺言書で財産を渡すことはできるのですが、犬や猫などの動物に対して直接的に「全ての遺産は我が家の愛犬に渡します」ということができないのです。

もし仮に渡すことができたとしても、犬や猫がATMの操作をして遺産であるお金を引き出したり、不動産を自分の名前で売却して生活費に充てたりすることは不可能です。もしもの時にペットを守る方法として遺言書が活用されることもありますが、現実問題として「ペット自身に財産を受け取ってもらう」ことが日本ではできないわけです。日本では「遺言でペットに億円のお金を遺しました」という話も聞いたことがないはずです。

しかし、外国では、ペットに多額の財産を残す人が現実にいるのです。近年で有名なのは、アメリカの大富豪の夫人が愛犬に10億円以上の財産を遺したというニュースです。アメリカでは信託を使うこともありますが、州ごとにペットへの遺産相続を定めていることがあります。日本とアメリカのペットに対する考え方の違いが見える点ではないでしょうか。

イギリスなどでも同様に、飼い主の死後に多額の財産を受け取った猫がおり、大きなニュースになりました。黒猫のブラッキーは「世界一お金持ちな猫」としてギネスにも認定されたことで有名です。

② 飼い主とお別れしても大丈夫!ドイツと日本の違い

ペット先進国として有名な国であるドイツ。ドイツでは、ペットと人が共に歩むことを目的とした法や制度の整備が非常に進んでいます。

たとえば、有名なところでは、犬に対する税金があります。愛犬1頭に対して、年間約1万円の税金が課税されることになります。この税金は犬の糞などの清掃費用に充てられます。また、税金を課すことによって、無暗にペットを飼うことがないように制限しているとも言われています。

他にも、ペットの飼育環境に関する決まりや、ペットと飼い主の過ごし方に関する決まりなどが整備されています。何と、生後一定期間の仔犬を母親から離さないようにするという、仔犬を守るための決まりまであるとか。さらに、もしもの時に飼い主と別れなければならない場合も、ペットが安心して生活できるように、ペットの福祉環境も整えられています。

ドイツでは、ペットと飼い主が理由あって別離しなければならない場合、ペットの保護施設に保護されることになります。ドイツには保護施設が500以上あると言われています。飼い主と別れなければならなかったペットが、ゆったりとした環境で安心して暮らすことができる環境が整っているのです。

このペットの保護施設では、新しい飼い主への譲渡も行っています。新しい飼い主が見つからなくても、天寿を全うするまで保護施設で暮らすことも可能です。日本では、飼い主が見つからないペットは殺処分されるという悲しい結末を迎えることが少なくありません。日本と比較して、ドイツはペットの生活を守る環境が整っていると考えられるのではないでしょうか。

最後に

日本のペットに対する制度は発展途上だと言われています。ドイツのように、飼い主に危急の事態があっても終生保護してくれる施設はほとんどありません。また、アメリカやイギリスのように、遺産を自分のペットに渡したいと希望することすら難しいことです。

現在の日本で飼い主の急逝や急病に備えるためには、ペット信託を早めに準備し、普段から「もしもの時に愛するペットを守ること」を意識しておくことが大切です。

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