ペット信託を利用する方法とメリットデメリット

あなたが突然の病気や事故で愛するペットの世話ができなくなったらどうしよう。そんな想像をしたことはありませんか。急にペットを残して命を落とす。こんなことが起きるのではないかと想像し、切なくなった経験はありませんか。

日本ではペットに遺産相続させることができません。もし仮にできたとしても、ペットが銀行からお金を下ろしたり、不動産を売却したりすることはできません。もちろん、自分でご飯を購入することもできません。飼い主の危急の事態によって、ペットの生活と命が脅かされる可能性があるのです。愛するペットのいる飼い主にとって「ペットを残してしまうこと」は大きな不安の種であると言えるでしょう。

残されるペットの命や生活を守る方法には「ペット信託」という方法があります。ペット信託の利用方法と、メリットとデメリットについて解説します。飼い主だからこそ知っておきたいペット信託の基礎知識です。

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ペット信託の利用方法と特徴とは

ペット信託とは、ペットにまとまったお金を残す方法です。お金を残すといっても、ペット名義の銀行口座を用意するというわけではありません。自分の危急の事態に「お金」そして「世話をしてくれる人」を用意しておく方法であるとお話した方がわかりやすいかもしれません。ペットに財産を残しても、ペットだけでは生活することができません。だからこそ、ただ財産を残すだけでなく、世話をしてくれる人をセットで残すことが、ペット信託の最大の特徴です。

ペット信託の利用方法は簡単です。「信託」という言葉から難しい手続きを想像しがちですが、自分自身で難解な法的手続きをするわけではありません。ペット信託の知識を持つ弁護士に相談しながら進めることができます。

ペット信託では、「ペットの世話のためのお金」と、「飼い主にもしものことがあったらペットの世話をしてくれる人」を探し、信託契約を結びます。ペット信託を申し込むと勝手に世話をする人が選定されるわけではなく、飼い主自身が「この人になら安心して任せることができるかな」ときちんと確認し、もしもの時にペットをお願いしたい旨の約束をすることができます。もしもの時に世話をしてくれる人が、信託財産として用意されたお金をペットのために使い、飼い主の死や病気という事態が発生したら、飼い主に代わってペットの養育をします。

しかし、お金を残し、ペットの世話をしてくれる人を指定したとしても、飼い主は「本当にペットの世話をしてくれるの?」「お金の使い込みをするのでは」と不安になるのではないでしょうか。ペット信託は、その点にも配慮されています。ペット信託では、ペットの世話やお金を監視してくれる管理人がいます。管理人がしっかりと見張ってくれるのです。

ペット信託は、「飼い主にもしものことがあった時に使える、ペットに金と世話をしてくれる人、お金と養育を監督してくれる人を用意する方法」です。

ペット信託のメリットとデメリット

ペット信託は、ペットと飼い主にとってメリットの多い方法です。しかし、同時にデメリットもある方法です。メリットとデメリットを把握し、愛するペットを守るためにより良い使い方をすることが重要です。

ペット信託のメリット

ペット信託のメリットは「ペットに財産を残すことができること」「ペットの世話をしてくれる人を準備することができること」「飼い主のもしもに対応できること」です。

ペット信託の最大のメリットは、飼い主の急な病気や死によってペットの生活や命が脅かされないように、ペットの未来を守ることができることです。ペット信託の信託財産は相続財産に含まれないため、しっかりとペットが生活するためのお金を用意することができます。

また、ペット信託は飼い主が亡くなったケースだけでなく、急な病気で世話が難しくなったケースにおいても、ペットの世話をお願いすることができます。「もしも」に備えることができる、飼い主がペットのためにかける保険のような方法が「ペット信託」なのです。

ペット信託のデメリット

ペット信託のデメリットには、「不安」や「悔い」があります。また、一定額を信託財産として準備することの難しさもデメリットとして挙げられます。

きちんと世話してくれるだろうと思っても、飼い主にとってはやはり他人に世話をお願いすることは不安です。ペットが天国に旅立つその日まで、飼い主である自分がお世話したかったという悔いが残るかもしれません。ペットを愛する飼い主だからこその悔いや不安ではないでしょうか。しかし、飼い主にも命がある以上、何時どうなるかわかりません。

不安や悔いがあっても「ペットの未来を守る方法がペット信託だ」と考えて、気持ちの折り合いをつけることが大切です。

生命保険をかけることが死を思わせる。「不安」や「もしも」を想像して悲しくなるということと同じです。それでも家族のためを思って生命保険に加入する人はたくさんいます。ペット信託も同じように考えてみてはいかがでしょうか。

もう1つのデメリットとして、信託財産の準備が挙げられます。飼い主の急死や急病の後、ペットの生活資金になる大切なお金です。ある程度のまとまったお金が必要です。信託財産の相場は100万円から400万円くらいと言われています。積立方式で貯めるとしても、それなりの努力が必要になります。

最後に

ペット信託は、飼い主のもしもに備える保険のような存在です。人間のように自分でお金を使ったり、お金の管理をしたりすることができないペットだからこそ、飼い主の死や急病に備え、生活と命を守ることができるように備えておきたいものです。ペット信託を利用することによってもたらされる「より良いペットの未来」について考え、できることからはじめてみてはいかがでしょうか。

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