グッドデザイン賞を受賞しました。

我々が設計した「六本木のリノベーション/空間の補助線」がGOOD DESIGN AWARD 2015を受賞いたしました。

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GOOD DESIGN AWARD 受賞

高田博章建築設計が設計した「六本木のリノベーション/空間の補助線」がGOOD DESIGN AWARD 2015を受賞いたしました。改めましてお施主様をはじめ、関係者の皆様には深く御礼申し上げます。この度の受賞を機に、さらに皆様のご愛顧を得られるよう、より一層の精進に努めてまいりますので、今後とも倍旧のご支援、ご鞭撻を賜わりますようよろしくお願い申し上げます。

掲載されている画像は、完成直後の写真ですので、全く生活感がありませんが、現在では間仕切り家具にたくさんの書籍が収納されていたり、飾り棚が様々なもので彩られています。また、彩度の抑えられた家具や、落ち着いた明度で生活されているため、室内はよりシックな印象になっており、設計の想像を超えた使いこなしと、空間演出には脱帽しています。

"Additional Line in Space" has won the GOOD DESIGN AWARD

"Additional Line in Space" has won the GOOD DESIGN AWARD in 2015. We designed this renovation of a building last year. We would like to sincerely thank all of you.
This project is the renovation of one room in complex building that is older than twenty years old at Tokyo. We have designed the furniture which substituted for the partitioning wall. This furniture has both bookshelf and display case and storing and the functions of the work desk. The partition furniture is floating in the air. The sliding door is provided under the partition furniture, and the glass partition (ranma) is provided on the partition furniture. We have realized the variability such as a papered sliding door (fusuma) used in Japanese-style buildings.

居間より寝室を見る。引戸を開放することで、一体感のある住戸へ変貌します。居間にあった既存の掘り炬燵を改良することで、現在でも使い続けられています。

背景

当該物件は繁華街の中心地に位置し、店舗や事務所などのテナントが入るビルの最上階にあり、間取りが1LDK、床面積19坪の住戸です。こうした建物の1室をリノベーションする場合、対象は主体構造から切り離されている部分が主となり、さらに効率的かつ画一的に設けられた開口部と外部に広がる繁華街との関係性も希薄なために、都市と切り離された操作可能な内部空間の充実化が1つの基調となります。いわば都市の反風景です。

概要

築20年以上経過した複合ビルの1住戸を改修しました。部屋を隔てる壁の代わりとして、本棚、飾り棚、収納、作業机の機能を併せ持った家具を配置しました。その重厚感のある家具を宙に持ち上げ、家具の下には引戸、上部にはガラスの欄間を設えることで、軽やかで柔らかな境界を実現しました。引戸を開放することで、通風を確保するという環境的性能の向上はもちろんのこと、屈めば人の往来も可能になっています。小さな子供や床に座るなど視点を下げると、住戸全体がワンルームへ拡張します。住宅内で繰り広げられる活動は、個々に切り取られたり、つなぎ合わすことができるため、ここでの暮らしは、間取りに囚われることがありません。

デザイン・コンセプト

部屋を間仕切る境界にゆとりをもたせて、冗長性のある室内計画を行いました。
また、間仕切り家具は1,000kgf(1t)の荷重で約10mmたわむ計算になっているため、家具が書籍で満たされても、家具の下部にある引戸が問題なく機能するように計画されています。

居間から寝室を見る。型板ガラスの框戸により、ほのかに視線を遮りつつも、家族の気配を透過させます。

創意工夫

間仕切り家具の下部にある引戸を開閉することで、境界としての強度を調節することができます。引戸を開放することで、通風を確保するという環境的性能の向上はもちろんのこと、屈めば人の往来も可能にします。小さな子供や猫の視点、または平座位など視点を低くすると、2つの居室と廊下や玄関までが1つの大きな部屋へと伸張します。引戸は型板ガラスの框戸になっており、視線をほのかに遮りつつも、光を充分に透過させるため、閉扉して部屋を区切った状態でも閉塞感のない居室となります。 欄間部分は採光や視覚的拡がりを得るばかりではありません。間仕切り家具の上部は、猫が歩けるように計画しており、猫の行き来を妨げぬように欄間のガラスを一部外しています。その名の通りキャットウォークとなっています。人も猫も、どこにいても住戸内の様子を感じるとることができます。

設計の想い

空間とは、間取りや断片的な視点などによる情報の集積ではなく、体験するシームレスな活動や、経験した視点を結び合わせた全体性の表れだと考えると、壁であり家具であり建具でもあるこの境界面は、ぼんやりとした曖昧なものです。こうした曖昧なもので、かつて日本家屋が部屋や屋内外を建具で柔らかく仕切ったように、ここでの暮らしを柔らかく包み込むことを目指しています。

寝室から居間を見る。引戸を開放することで、通風が十分に確保されるため、夏場にエアコンを利用せずとも快適に過ごせると、クライアントからご報告をいただきました。

計画・企画の意義

クライアントは多くの書籍や衣類を所有しており、それらを収納しつつ、生活空間を確保しなければなりませんでした。こうした条件は住宅の場合に多く見受けられる課題のため、こうした問題に対するポジティブな解法は個別解以上の提案になることを期待しています。また、従来のリフォームとは異なり、新たな価値を付加するリノベーションの可能性を示すことができたと考えています。

審査委員の評価

既存ビル内の住戸空間の改修手法として、部屋ごとに壁で仕切るのではなく、全体に吊り戸棚の形式で床を一体に連続させた点がユニーク。空間に広がりを生むアイディアである。

グッドデザイン賞とは?

グッドデザイン賞は、1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を発端とする、日本唯一の総合的なデザイン評価・推奨の運動です。これまで 59 年にわたり、デザインを通じて日本の産業や生活文化を向上させる運動として展開され、のべ受賞件数は40,000 件以上にのぼります。今日では国内外の多くの企業や団体などが参加する世界的なデザイン賞で、グッドデザイン賞受賞のシンボルである「G マーク」は、すぐれたデザインを示すシンボルとして広く親しまれています。

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建築士・建築デザイナー

高田博章が主宰する一級建築士事務所。略歴'78: 東京都生まれ '00: 東京理科大学卒業'02: 同大学院修士課程修了'02-'07: EDH遠藤設計室'07…

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