「アキレス腱」断裂が30代から増える理由は? アスレティックトレーナーに聞いた3つの予防法

アキレス腱断裂はスポーツを楽しむ人によく見られるケガの一つ。一度断裂してしまうと痛みが長期間続き、日常生活に支障をきたします。予防のためのポイントをご紹介します。

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アキレス腱はどこにある? 体の中で最も太い腱

アキレス腱はふくらはぎの筋肉である腓腹筋・ヒラメ筋とかかとの骨とをつなぐ、体の中で最も太い「腱」です。ギリシア神話に登場する英雄アキレウスは唯一の弱点であるかかと部分を射貫かれて命を落としますが、このことから、この箇所を「アキレス腱」と呼ぶようになり、致命的な弱点という意味も持つようになりました。

アキレス腱は筋肉とかかとの骨をつないでいるため、歩くことはもちろん、走ったり、跳んだりといった動作をスムーズに行うために欠かせないものです。その分負荷もかかりやすいと考えられています。

「アキレス腱断裂」とはこのアキレス腱を切ってしまうことで、若いアスリートから高齢者まで幅広い年代で見られますが、特に30代~50代のスポーツが好きな人に起こりやすいと言われています。

なぜ30代から増加? アキレス腱の柔軟性が加齢とともに低下するのが原因

アキレス腱断裂の原因は、若いアスリートの場合は激しい運動によることが多いです。しかし30代を超えて中高年層になると、加齢によってアキレス腱の柔軟性が低下することが一因と考えられています。

アキレス腱はタンパク質の一種であるコラーゲン繊維を多く含むため、普段から適度に動かすことで柔軟性を保つことができます。普段はあまり運動をしない人が、休みの日に張り切って体を動かそうと急に大きな負荷をかけてしまうと、その負荷に耐えきれずにアキレス腱を切ってしまうことがあるのです。

アキレス腱断裂の痛み・音……後ろから蹴られたような強い衝撃も

アキレス腱が切れたときは、「後ろから蹴られた」「バットで叩かれたような」と表現されるような強い衝撃を感じます。明らかに「バチッ」「ブチッ」という音がすることもあります。

ダッシュやジャンプ動作だけではなく、急に止まったり、強く踏ん張ったりした瞬間に断裂してしまい、立っていられずにしゃがみ込んでしまったり、足をついて歩けなくなったりすることがあります。

また、断裂が起こりやすい動作として、つま先をあげる動作(背屈)もよく挙げられます。つま先を挙げるとすねの筋肉は収縮し、反対側にあるふくらはぎの筋肉は急激に伸ばされるため、アキレス腱にも牽引ストレスがかかります。アキレス腱の柔軟性が低下していると、この牽引ストレスに耐えられずに断裂が起きてしまいます。

これは特別な運動シーンだけで起こるものではありません。日常生活でも、たとえば通勤であわてて坂道を駆け上がろうとしたときなどに、つま先がややあがる背屈動作になるため、ちょっとしたことでアキレス腱を切ってしまうリスクが高くなると考えられます。

アキレス腱断裂の予防法・ストレッチ…「普段からよく動かし、よく伸ばす」

アキレス腱の断裂を予防するためにはどのようなことを心がければ良いでしょうか。まずはふくらはぎの筋肉をよく動かしながら、アキレス腱のストレッチを行う習慣をつけましょう。

特に意識して欲しいのは、伸ばす方の足はかかとを必ず地面につけることです。かかとが浮いてしまうとアキレス腱を十分に伸ばすことができませんので、かかとが地面から浮かないように注意しながら行いましょう。膝を伸ばした状態で行うと腓腹筋、膝を曲げた状態で行うとヒラメ筋のストレッチになります。

アキレス腱のストレッチ

また足首まわりの動きをよくすためにもよく足首を回しておきましょう。特にオススメしたいのが足指と手指を交互に組み合わせて足首を固定してゆっくり回す方法です。立った状態で足首をまわすよりも丁寧に、しっかりと足首周辺部を動かすことができます。

足首回し

さらに運動前だけではなく日頃から歩く、活動することでふくらはぎの筋肉を使うことを心がけましょう。筋肉を縮めたり、伸ばしたりすることは加齢による柔軟性の低下をおさえる効果が期待できます。日常的にウオーキングを行う、もしくはその場でかかとの上げ下げ運動を行うことでもよいでしょう。

アキレス腱の断裂は突然起こってしまうものですが、ちょっとしたことに気を付けるだけでも予防効果があります。

・急に激しい運動を行わない
・運動前のウォームアップは入念に行う
・普段からふくらはぎの筋肉を使う運動習慣をつける

といったポイントを、楽しく運動を続けるためにも、ぜひ心に留めておいていただければと思います。

※参考:アキレス腱断裂(日本整形外科学会)

西村 典子プロフィール

20年以上に渡り、スポーツ現場でのトレーナー活動に従事する日本体育協会公認アスレティックトレーナー。NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。選手へのトレーナー活動だけでなく、幅広い年齢層を対象としたストレッチ講習会やトレーニング指導経験も豊富。スポーツ傷害予防や応急処置などの教育啓蒙活動も行い、毎日の健康づくりに役立つ運動に関する情報発信を精力的に行っている。

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