タンスの肥やしがアートになる。 〜伝統文化再生「着物アート」〜
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今では着る人も少なくなってしまった日本伝統の「着物」。祖父母や親の代から引き継いだ着物が、タンスの中で眠っているという方も多いのではないでしょうか。しかし、この着物が「畳み込み」という技術をもってアート作品として生まれ変わり、海外を中心に今注目を集めているという。そんな着物アートの第一人者である「和宝」の金森さんにスポットを当て、その魅力について伺いました。
着物アートを始めたきっかけ
編集部(以下編):何をきっかけに着物アートを始めたのですか?
金森さん(以下金森):海外の友人にプレゼントをしようと留袖でガウンを作ってみたら全然ダメで、スカーフを作ってみても同じ結果。ではと思い、とある綺麗な着物を持ってきて何を作ろうか考えている時に、外国人の主人から「こんな美しい物、絶対に切ったらダメ」と言われて。それでタペストリー(掛け軸)を作ろうかと思い、いろいろ試行錯誤しているうちにこの形になりました。
編:それは何と呼ばれている製法なんですか?
金森:「畳み込み」と呼んでいます。自分の私物を最初に試して着物を何十枚も畳み込んで、ようやく今の形になりました。現在、特許も出願しています。
着物を生かす技術
編:製作前にメンテナンスはしているんですか? そして傷みは出ないのですか?
金森:もちろんメンテナンスが必要です。最初はとにかく匂いがひどいのでプラズマクラスターで匂いをまず排除しています。額に収める時にUVカットのアクリル板で保護すれば酸化も劣化もほとんどしない状態にできます。そのため、またこの着物が着たいという日がくれば、「着物」として復活させることも可能です。
編:どういう思いでこの「畳み込み」をされてるんですか?
金森:職人技が詰まった素晴らしい日本の伝統工芸をタンスにしまっておくだけにしているのってもったいないですよね。こうしてアートとして復活させることで、滅びゆく文化を再生できるっていう使命感でやっています。昔の職人さんの腕はそこに生きていますし、私の手で命を吹きこむことによって再び輝きを取り戻せるということが喜びですね。
モダンなリビングに
金森:これは平安時代の小野小町をモチーフにした作品ですね。小野小町は愛の唄で有名で本人も絶世の美女と言われていましたね。幸運な柄として伝統工芸では定番です。友禅染めと言われる製法で染められていて扇子のところなんかは精巧な刺繍が施されていますね。金彩(金泊の装飾)もふんだんに使用されています。
金:こちらが元となった留袖です。こんな素晴らしい着物でさえ価値としてはかなり低いんです。それは当時オーダーで作られたものなので、背の高い現代人には着れる人がほとんどいなくて、「着るもの」としてのバリューが低いからなんです。
北欧ダイニングに
金森:キジのほうは留袖になります。1900年代前半頃の作品ですが相当高い技術を要する作品だと思います。青や緑、そして金をさすという鮮やかな模様で非常に派手ながらもデザインが梅とキジというシンプルな題材なんですよね。手振りミシンっていう手刺繍で施された柄です。
金森:元になっている留袖は、女性のフォーマルなドレス、第一礼装ですね。既婚の女性が着る第一礼装が留袖で、未婚の人は振袖が第一礼装になります。
金森:水色のほうは帯で、題材は冬の金閣寺ですね。全て織りでまとめられていて、光にうまく反応する豪華なつくりですね。袋帯って細かい柄をつなげていくものが多いんですけど、こんな大きな一つのテーマを扱っているのは非常に珍しいと思います
ワンポイントで
金森:これは水仙と源氏雲という描写。光沢のある黒絹地に顔料絵の具で直接描かれています。金彩も入った鮮やかな絵柄の作品です。
金森:元になっているのは黒絵羽織といって、私が子供の頃10~20年間に渡って流行した着物。だから70〜80歳くらいのお母さん方はみんな何着も持ってるものなんですよ。昭和40年前後に流行りましたが、今となっては誰も着ていないので全国のタンスにたくさん眠っているはずですね。ぜひその眠ってしまっている肥やしをアートとして復活させていきたいです。
一昔前に製作されたハイクオリティな作品が、現代において違う形として生まれ変わり、海外そして日本のモダンな空間で新しい価値を生み出す。このことは私たち日本人にとって誇るべきことではないでしょうか。作品は着物自体の柄や希少性などを考慮して価格を設定し、8万円程度のリーズナブルな作品もある。もちろん、自分の着物をたたみ込んでアートにしてもらうことも可能だ。和洋折衷どんなスタイルにも相性の良い和宝の「着物アート」でワンランク上の空間作りを目指していきましょう。
Photo:木下誠
Text:小久保直宣(LIMIA編集部)
着物アートの生みの親、
金森美穂さんのインタビュー記事はこちら
↓
⚫取材協力・問い合わせ
和宝(Wa-Dakara)
埼玉県所沢市こぶし町31−20
04-2907-3462
⚫撮影ロケ地協力
BoConcept南青山
〒107-0062
東京都港区南青山2-31-8
Tel. 03 5770 6565
今回和宝の着物アートと共演を果たし、モダンなインテリアで撮影協力をいただいたのはボーコンセプト南青山。ボーコンセプトは60年以上前にデンマークで生まれ、世界60カ国にて260店舗を構える生粋の北欧家具ブランドだ。デザイン性と機能性を兼ね備えたモダンなインテリアを目指すなら、一度訪れてみましょう。
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