管理栄養士が教える!夏のお弁当づくりで食中毒を防ぐための心得4つ
あなたがお弁当作りで気にしていることはなんですか? 彩り、栄養のバランス、食中毒対策などでしょうか。食中毒は一年じゅう発生していますが、とくに夏、5~9月にかけて多くなります。それは日本の夏が高温多湿で、食中毒菌にとって最高の環境だからです。食中毒予防の三原則「菌を付けない(清潔)」「菌を増やさない(温度管理・迅速)」「菌を死滅させる(加熱)」をすることで、食中毒予防ができます。今回は食中毒を防ぎながらお弁当づくりを楽しむコツをお伝えしていきます。
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食中毒を防ぐお弁当づくりのコツ
●調理前に手を洗う
私たちの手には食中毒菌や食べ物を腐らせてしまう菌などが、多数くっついています。まずは調理する前に石けんでしっかりと手を洗いましょう。また作業中も、こまめに手を洗いましょう。
●お弁当箱はいつも清潔に
お弁当箱って洗うのがけっこう大変ですよね。シンプルなものでも、お弁当箱、ふた、おはし箱、おはし……と洗うものがたくさんあります。お弁当箱をきれいに洗って、しっかり乾燥させておくことが食中毒を防ぐ基本となります。
ふたのゴムパッキンの部分は汚れが落ちにくいので、しっかりパッキンを外してから洗いましょう。スポンジで洗いにくいときは、スプレー状になった洗剤も販売されています。細かい部分は直接噴霧できるので、洗いやすいですよ。
洗ったあとはしっかり洗剤を洗い流し、乾いたふきんやキッチンペーパーで水分を拭きとったら、涼しいところで保管します。熱湯消毒やアルコール消毒をするとより清潔です。お弁当箱の材質によって熱湯消毒が不向きなときは、塩素系の漂白剤もおすすめです。
●水気を切って盛りつける
細菌は水分があると増殖しやすいです。ミニトマトはヘタを取ってキッチンペーパーでふいてから入れましょう。そのほか、ブロッコリーカリフラワーなども水気をふき取ってから入れます。レタスやキュウリなど生野菜は水分が多いので、お弁当に不向きです。もし入れるなら、別の容器に入れていき、ドレッシングは食べる直前にかけると水分が出にくくなります。
●味の濃いおかずを入れる
味が濃いおかずのほうが、細菌の増殖が抑えられます。
●しっかり冷ます
ご飯やおかずが温かいままでふたをしてしまうと、水滴がつくため細菌にとって最適な環境になります。また、温かいままふたをすると、お弁当の内部の温度が下がりにくくなって細菌が増えやすい状態になります。
●素手でさわらない
私たちの手には数多くの菌が存在しています。特に黄色ブドウ球菌は化膿した傷に存在しますが、鼻・皮膚・のどなどに存在し、健康な人でも20~30%もっています。お弁当を詰めるときは、おはしを使って詰めていきます。またおにぎりを作るときも素手ではなく、ラップに包んで作ります。
●加工食品も火を通す
ハムやかまぼこ、ちくわなどは調理をしなくても食べられますが、食中毒予防のためには炒め物や煮物などに入れ、火を通したおかずにします。
作りおきおかずの保存のコツ
作りおきのおかずはお弁当の強い味方です。保存するときは作りおきおかずを入れる容器もしっかりと熱湯消毒やアルコール消毒をして保存します。お弁当に入れるときは、電子レンジなどで加熱して使います。作りおきおかずでも過信は禁物です。夏場は傷みやすいので、2~3日以内に食べ切るようにしましょう。
夏の調理に関して特に注意したいこと
●中まで加熱する(中心温度75℃以上)
ほとんどの食中毒菌は加熱によって死滅します。ハンバーグや卵焼きなど、中までしっかり火が通っているか確認します。
●調理器具の洗浄、消毒をする
まな板や包丁などの調理器具類にも細菌は付着しています。できればまな板は、生食用、加熱調理済み用など使い分けをしていると、より食中毒予防につながります。また、まな板などは洗ったあと、熱湯消毒や塩素系の漂白剤でこまめに消毒をします。
便利グッズを活用する
●保冷剤を利用
お弁当箱を冷蔵庫にしまえればいいですが、入れられない時は涼しいところで保管します。100円ショップでもお弁当箱サイズの保冷剤が売られているので、保冷バックに保冷剤を入れておくだけでも温度が上がらず、細菌の増殖が抑えられます。
●使い捨てカップを利用
洗って何度も使用できるシリコンのカップもありますが、きちんと洗えていないと細菌などが残ってしまうことがあります。使い捨てのカップなら洗う手間もなく、清潔な状態でおかずが詰められます。カップを使うとおかずとおかずが直接触れ合わないので、二次汚染も防げます。
●抗菌シートを利用
抗菌シートは水と反応して抗菌成分が揮発することで細菌などの増殖を抑えてくれます。おかずへの臭いうつりもなく、ご飯やおかずの上にのせるだけなので、とても簡単で便利です。購入する時は品質表示に「カラシ抽出物」と記載されているものを選びます。
以上、夏に多くなる食中毒をしっかり予防して、お弁当などの手料理を楽しむコツをご紹介しました。ぜひ参考にしてみてくださいね。
●ライター 神田由佳
総合病院や介護老人保健施設で栄養士業務に10年携わる。現在はフリーランスの管理栄養士として、専門学校の講師、クリニックでの栄養指導、企業での特定保健指導・健康相談、介護予防教室、料理教室、レシピ作成(糖質制限、腎臓病、糖尿病、保育園、ファミリー向けなど)、コラム作成、オンラインのダイエットサポートなど活動中。
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