愛用の割れた食器はゴールドで復元!?古来の伝統修復「金継ぎ」にトライできるワークショップ
みなさん、「金継ぎ」という言葉をご存知でしょうか? なかなか聞きなれない言葉なので、初めて耳にする方も多いのではないかと思います。この「金継ぎ」というものは、割れたり欠けてしまったりした器を修復する技法で、古くから日本で培われてきた独自の修復方法です。今回は、あまり馴染みがないこの修復技法が自分でも出来るということで体験してきました!
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古くから伝わる修復方法「金継ぎ」
割れてしまった器。タイムマシンがない今の時代は、そのまま我慢して使うか、捨てるかしか選択肢がない人が多いのではないでしょうか?
しかし、日本古来の伝統技術は欠けてしまったり、割れてしまった器を修復して使っていました。まず、割れてしまった部分に漆を使い接着剤として付着。後から破片をくっ付けて修復する、といった技法です。割れだけでなく、ちょっとした欠けについても、その部分に足りない分だけ足すことで元の状態に復元することができます。
ちなみに、今回修復する器はこの通り、側面が2点欠けています。祖父から母、そして私へと譲り受けた思い入れのある茶碗。捨てたくない、ということで修復業者に見積もっていただいたところ、かなりの高額に。祖父からは、「家族の器なんだから自分で修復してみたら?」とアドバイスをもらいましたが、どうやって修復すればいいのか途方にくれていました。
そんな中、〔東急ハンズ渋谷店〕で開催された「金継ぎのワークショップ」に伺うことになりました。当日は、播与膝行(はりよしっこう)という漆や、金継ぎ教室を開催されている、器補修の先生が金継ぎのセットを使いながら実演してくれました。
さっそく金継ぎに挑戦
「金継ぎ」はまず接着剤を自分で作ることから始まります。金継ぎの方法は何種類かありますが、今回は刻苧付け(こくそつけ)と呼ばれる技法でした。すべて天然の材料を使用し、漆を混ぜたペースト状の接着剤となるものを作っていきます。
透漆(すきうるし)、ご飯粒、刻苧綿(こくそわた)、木粉を混ぜてペースト状にします。ご飯粒が古くから接着剤になるのは知っていましたが、まさか器の補修にも使えるとは、驚きです。ご飯粒を除き、これらの材料は金継ぎセットの中に入っているとことでした。
ペースト状になったら、ヘラを使って欠けた部分に付けていきます。
はみ出た部分を削り取り、器の形を整えます。
こういった欠けた器であれば、まずはパーツを組み合わせ、穴がないかを念入りにチェックします。
足りない部分に多めに漆をつけ、器としての機能を復元します。
その工程が終わったら、2週間乾燥させます。
金継ぎの由来の金装飾
乾燥が済んだら、ここからは金をつける作業です。使用するのは、本物の金粉です。勘違いされがちですが、金自体には接着能力がなく漆をそのままに補修して放置すると美しくない、ということで金装飾されるようになったそうです。
はじめに、弁柄漆(べんがらうるし)を欠けた部分に薄く均一に塗っていきます。これが器(漆部分)と金をつなぎ合わせる接着剤になります。その後30分乾燥させ、真綿に金粉をつけて、そっと乗せるように金を付けていきます。
金粉は、今でこそ購入できる高価な材料ですが、古くは入手すら難しい貴重な材料でした。そのため、白い紙などを敷いて金がこぼれてもわかりやすいような状態で作業します。
余って落ちた金は再利用できるとのことで、最後のひとつまみまで大切にしながら補修をしていきます。3日ほど乾燥させたら完成です。
捨てるしかなかった器が再び復活する
ずっと愛用していきたい器は多くのひとにあるはず。このように美しく、きれいに修復できるのは本当に嬉しいです。今回の体験を通して、金継ぎすることで一度壊れてしまったものでも新たな美しさを添えられる、ということに感動しました。
こうした洋風のお皿や、陶磁器などでも金継ぎはできるとのこと。
完全に割れてしまったコップを持ってきた人もいらっしゃいましたが、ジグゾーパズルを作るかのように、見事に修復していました。
さいごに
お気に入りの茶碗や、頂いた茶器、はたまた引き出物など、壊れてしまったけれど捨てることができない食器は眠っていませんか?
ちょっとしたヒビや欠けはもちろん、先ほどのコップのように激しく割れた物も金継ぎによって修復することができます。しかも、破片が全てなくても小さいものなら漆で隙間を埋めることもできるので、大抵のものは修復可能です。割れた部分を自分で修復できれば、より愛着が湧くもの。日本古来の修復技法をあなたも体験してみませんか?
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