鉢植えでも大丈夫、庭にあると嬉しい樹木

「手がかかる」と思い敬遠しがちな庭木ですが、種類を選べば手間をかけずに自然の恵みを楽しむことができます。また、植木は火災の際にも延焼を防ぐ効果があり、防災面からも注目され始めています。四季を感じられる樹種や実を楽しめる木、一年中葉をつけ目隠しとして役立つ樹種など、用途別にご紹介します。

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広い庭が無くても、ちょっとしたスペースで育つ庭木

日照が不足している土地でも、わずかでも土があれば、ちょっとした庭作りには十分です。あまり成長しすぎない木を選べば、剪定もほとんど必要ありません。「日当たりが悪いと育たないのではないか」など日照の問題を気にする人もいるかもしれませんが、むしろ南側にあると育ちすぎてしまう樹もあります。そういうった樹の場合は北側に植えると成長が遅くなるなど、植物の管理が楽になることもあります。植物の力はたくましいので、根がついてしまえば水やりは天気にまかせてもほとんど大丈夫です。

あると嬉しい庭木の種類

季節になると実をつけたり、花を咲かせたりするので楽しむことができ、そのうえ丈夫で育てやすい5つのおすすめ樹種をご紹介します。

「ブルーベリー」
落葉低木です。成長しても樹高・枝張りが2〜3mなので放任しても大きくなり過ぎず、剪定もあまり必要ありません。病害虫もつきにくいので、とても育てやすい果樹です。
小さな白い花を咲かせ、夏に実をつけます。秋には葉がきれいに紅葉します。自家受粉する能力が低いので、ほかの品種を混植すると実がつきやすくなります。地植えして2〜3年すると水やりをほとんどしなくても、たくさんの実をつけてくれるようになります。コンテナや鉢植えでも水切れに注意すれば栽培できます。

「アロニア」
バラ科の落葉低木です。春に梨の花に似た房状の白い花を咲かせます。葉が紅葉した後、冬に実がつくので、一年を通し四季を感じさせてくれます。黒い実がなる品種と赤い実がなる品種があり、黒い実はそのまま食べると渋みがありあますが、ポリフェノールやカテのロイドなどの成分の豊富さが注目されており、日本でも寒冷地で栽培されています。赤くなる品種は西洋カマツカとも呼ばれ、人の食用には向いていませんが、冬場の餌の少ない時期に鳥たちのご馳走になり、観賞用として楽しめます。樹高・枝張りが2〜3mなのであまり大きくならず、病害虫の心配もありません。地植えすると根からひこばえが出て株がどんどん増えてしまうので、適度に切りましょう。

「マートル」
地中海沿岸を原産とする常緑低木です。日本では“祝いの木”“ギンバイカ”とも呼ばれています。樹高・枝張りともに2〜3mで刈り込みにも耐えるため、生垣などにも適しています。葉を触ると香りがあり、ハーブとしても利用されます。初夏に花糸の目立つ純白の美しい花を咲かせ、楽しませてくれます。秋には実がなり食用にできますが、そのまま食べるよりは果実酒などに向いています。乾燥にも耐え、病害虫の心配もなく、育てやすい樹種です。耐暑性がある一方、寒さにはやや弱いため、寒冷地域では冬季に防寒対策が必要です。

「フェイジョア」
南アメリカ原産の常緑小高木です。シンボルツリーとして花や実を楽しめますが、常緑なので生垣や目隠しにもできます。葉の形は卵形で色が優しい黄緑色なので、植えておくだけで庭に雰囲気が出ます。高さは3〜5m、枝張りは5〜7mになりますが、剪定によって樹高を低く抑えることもできます。暑さ・寒さに強く、病害虫の心配もありません。地植えの場合、根付いてしまえば水やりは天気にまかせて大丈夫ですが、乾燥しすぎる時期は様子を見て水やりをします。鉢植えにする場合は水をあげ過ぎず、表面が乾いてから水やりをしましょう。6月に白い花弁に濃いピンクの雄しべの個性的な花が咲きます。10月に緑色をした甘い果実がなります。自家受粉する品種と、しにくい品種があるので、別の品種とペアになったポットで売られていることもあります。

「紫陽花」
観賞用として広く栽培される落葉低木です。もともと日本で園芸品種として育成されたので日本の気候風土に強く、挿し木でも簡単に増やすことができます。丈夫で、梅雨のジメジメした気分の落ち込みやすい時期に色とりどりのきれいな花を咲かせてくれるので、多くの人に親しまれています。鉢植えで育てやすい品種も多く、庭植えだけでなくベランダでの栽培も楽しめます。地植えすると枝が伸び、花の部分に雨を含むと重くなり倒れてしまうので、2年に一度は伸び過ぎた枝を切り詰めましょう。花が咲き終わった後も芽を3〜5つ残して剪定し、樹形を整えます。まれにうどんこ病や炭疽病の発生があり、ハダニなどの病害虫の被害もあるので、被害が著しい場合には薬剤を利用して駆除しましょう。

お手入れの仕方

シンボルツリーと一緒にグランドカバーになるアイビー類・多年草・球根などを植えておくと、ほとんど手入れしなくても毎年時期なると花を咲かせてくれる庭になります。さらに、グランドカバーの植物を植えておくと、そのままにしておくよりも土の表面も乾きにくく、雑草も生えにくくなります。
また、樹木は丈夫ではありますが、週に一度は植物の状態をチェックして、虫がついていたら取り除き、病気になっていたら葉を取ってあげましょう。ときには薬剤を使った対処が必要な場合もあります。

木が茂り過ぎたら、庭屋さんに頼んだり、庭木剪定の専門業者にお願いしたりするときれいに剪定してくれます。素人なりの剪定でも、時期を間違えたり切り過ぎたりしなければ枯れてしまうことはないので挑戦してみてもいいかもしれません。高価なものでなくてもよいので、剪定バサミと園芸用手袋をそろえたら、植物の様子を見ながら枝を剪定してあげましょう。不要な枝の見分け方は、ほかの枝にからむ枝・下向きや内向きで幹に向かって伸びる逆さ枝・交差した枝・枯れ枝・ほかより勢いよく伸びすぎて花が咲かない徒長枝などです。茂り過ぎた枝を剪定して枝数を減らすと、日当たりや風通しが良くなり、病害虫の予防にもつながります。

まとめ

冬の間は寒さに耐え、春になると一斉に芽吹く緑。夏の日差しを栄養にして、秋には実がなり葉を落とし、また次の年の準備をする。庭木と共に生活すると、慌ただしい毎日の中でおおらかな自然のリズムを教えられている気がしてきます。悩んでいるなら、まずは思い切って始めてみるのがお気に入りの庭づくりへの近道です。

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建築家としてコミュニケーションプランを作図。りんごスタジオとしてワークショップを各所で開催。「COOL WOOD JAPAN 木材がつくる居心地の良い空間」掲載…

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