二世帯住宅リフォームのポイント!間取り・施工例・費用・失敗例を徹底解説

高齢化や共働き家族の増加で、二世帯住宅へのリフォームを実施する方が増えていますが、お互いに気を使ったり、プライベート空間を分けたくても予算が限られていたりと、何かと不安もありますよね。そこで、二世帯住宅の間取りを考えるためのポイントや施工例、リフォームする際の費用相場と税金対策、二世帯住宅のよくある失敗とその対策について、詳しくご紹介します。

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二世帯住宅とは

「二世帯住宅」とは、一般的には親・子の2世帯の家族が、同一棟の中に一緒に住むための住宅です。
それぞれの世帯の居室やキッチン・玄関などを別にするタイプから、上と下の階に分かれて暮らすタイプ、すべてのスペースを共同で使うタイプなど、住み方は実に様々です。

核家族化が進んでいる近年、珍しく思う方もいるかもしれませんが、都市部でも二世帯住宅にリフォームする家庭が増えています。
家族で共に過ごす時間が増えたり、光熱費を削減できたりと、あらためて注目されてきた暮らし方の一つなのです。

二世帯住宅のメリット

親子世帯が一緒に住むメリットは、おおまかに言えば3つあります。
1つ目に、子の世帯が共働きであれば、親世帯の手助けによって、家事や育児の負担を減らすことができます。

2つ目に、一緒に住むことで生活費を節約できるというメリットもあります。
3つ目に、両親が高齢になってくると、体調や生活のことが心配になりますよね。
親子世帯が一緒に住むことで、近くにいて様子をみながらサポートできれば安心できます。

二世帯住宅の間取りの考え方・ポイント

それではここで、二世帯住宅を購入・リフォームするときの間取りを考える上で、軸にすべきことは何かをチェックしていきましょう。
それぞれの優先順位も決めておき、予算と相談しながら最適な間取りプランを探したいですね。

一緒に食事をするか

二世帯住宅で暮らす場合に、まず決めておきたいのが食事の時間をどうするか、です。
特に夕食は、家族全員で一緒に食べるでしょうか。
夫婦共働きで帰りが遅いという家庭なら、食事はそれぞれの世帯で別々に済ます方が良いかもしれませんね。
リビングやダイニングを一緒にするか、別にするかを決めておきましょう。

キッチンを共用するか

食事を二世帯で一緒にするかどうかで、キッチンの共有の仕方も変わってきます。
一つのキッチンだけで良い、別々に使いたい、それぞれ独立させなくても良いけどお茶を飲みたいときのためにミニキッチンは欲しい、などキッチンだけでも色々な考え方ができます。
炊事や洗い物を一緒にしたいというご家族なら、2人以上が立てる広さのあるキッチン一つで充分ですね。
キッチンからそれぞれの食卓へ行き来する動線も、忘れずに考えておきましょう。

浴室・トイレを共用するか

浴室やトイレを共用にすると、水道・光熱費が節約できます。
しかし、人数が多いと朝のトイレや夜の入浴時間が大変になるものです。
それぞれの世帯で浴室を独立させる間取りもありますが、シャワー室だけ別置したり、洗面所と洗濯機だけ世帯別にしたりという方もいます。
水まわりは、不便にならないよう上手に使い分けたいところです。

玄関を共用するか

キッチンや浴室を独立させる場合には、玄関を共用にするかどうかも決めましょう。
玄関を一緒にするか分けるかで、間取りのタイプが大幅に変わってきます。
玄関を分ける場合は、2階に玄関をつくり、外階段を取り付ける方法などがあります。
玄関は共用でも、勝手口を別々にするという設計の仕方もありますよ。

廊下を共用するか

玄関も別々に設置するときは、それぞれの廊下を行き来できるようにするかどうか、という点も考えなくてはいけません。
玄関は分かれていても、内部でお互いのスペースに行き来できると、家事を手伝いに行くときなどには便利ですね。

二世帯住宅の間取りのタイプ

では、実際に二世帯住宅のプランを立てるとき、間取りはどんな風に決めればいいのでしょうか?
二世帯住宅の間取りプランは、どこまでの空間を共有するかで大きく3種類に分けることができます。
それぞれのメリットとデメリットをご紹介しましょう。

完全分離型 二世帯住宅(独立二世帯)の間取り

まずは「完全分離型」二世帯住宅です。
玄関やキッチンなどの生活空間を、世帯ごとにすべて分離するスタイルです。

間取りとしては、世帯ごとの居住スペースを左右や上下階に分けるパターンが多いです。
親世帯と子世帯で生活時間帯が大きく違う方や、価値観やライフスタイルが異なり、プライバシーを重視したい場合はこの方法がおすすめです。

ただし、分離同居の場合は生活空間をまったく共有しないので、家の構造としては1軒なのですが、キッチンや浴室などの水まわり設備は2世帯分必要になります。

そのため、単純に建築コストが他の同居スタイルよりも割高になってしまいます。空間も分かれている以上、エアコンや電気代などの光熱費も高くなり、あまり経済的な恩恵は受けられません。

しかし、二世帯住宅の中では最もトラブルが少ないタイプです。
敷地面積や経済的に余裕がある場合には、検討してみる価値があります。

部分共有型 二世帯住宅(共用二世帯)の間取り

部分共有型」二世帯住宅とは、キッチンや浴室などの一部の設備を別々に設けつつ、玄関は一緒にするなど、住宅の中のある部分を共有するスタイルです。

リビング・キッチン・浴室のどこを共有するかは、それぞれの生活様式に合わせて考えましょう。
光熱費のことを考えると、浴室はやはり一つにしたほうが効率的です。

例えば、リビングや浴室といったリラックス空間は別々に設け、ダイニングやキッチンを一緒にしてコミュニケーションを取れる場をつくれば、バランスが取れますね。

水まわりも食事の場所も一緒で気にならないけど、世帯だけでのんびりくつろげる空間が欲しい、という方にはリビングだけを分けるのがおすすめです。
好きなテレビを見て、ゆっくり過ごすときに気兼ねせずに済みます。

食事の好みや生活リズムが大きく違う場合は、玄関のみを共有して、お互いの生活時間を大切にすると良いでしょう。


完全同居型 二世帯住宅(融合二世帯)の間取り

「完全同居型」の二世帯住宅は、玄関、リビングやキッチンなど基本的な生活空間をすべて共有し、二世帯が一つ屋根の下で一緒に暮らすスタイルです。

メリットはなんといっても、建築費用やランニングコストを削減できることです。
また、大家族でにぎやかな生活を送れるのも魅力かもしれません。

ただし、あまりにも生活スタイルや価値観が異なる場合はお互いのストレスになるので、プライバシーを確保できる工夫も必要です。

構想の一つとして、2階に簡易的なシャワーとコンパクトなサブキッチンを設けるという事例もあります。
メインの浴室とキッチンは親世帯の1階にありますが、ちょっとした家事などを自分達だけのスポットで済ませられることが重要だったりしますよね。

二世帯住宅リフォームの価格・費用相場・実例

二世帯住宅にリフォームするときの価格・費用は、だいたい約50万円以下、51万円~150万円以下、それ以上といった価格帯に分けられます。

当然のことながら、世帯ごとの分離スペースが多いほど、工事内容が増えるため、リフォーム価格は高額になっていきます。

しかし二世帯住宅に住む際は、お互いの世帯のプライバシーや生活時間などを考慮した上で、予算とリフォーム内容を決めていきましょう。

また大掛かりなリフォームをする場合には、仮住まいになる可能性もあります。一時的な賃料や引越し費用なども別途必要になることも思慮しておきましょう。

以下では、価格帯ごとにできる二世帯住宅リフォームの内容をご紹介しています。
実際に二世帯住宅にした事例も3つ紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

10~50万円の二世帯住宅リフォーム

二世帯住宅リフォームの際には、バリアフリーを検討される家庭が多いでしょう。
階段や廊下に手すりを設置するなら10万円程度で可能で、玄関の周囲の段差を解消して手すりを取り付ける場合でも35万円位で施工可能です。

また、キッチンのガスコンロをIHクッキングヒーターへ交換する工事の場合、9~25万円が相場です。
世帯ごとに分けるためにトイレをもう一つ増設する場合、給排水管の設置も含めて50万円程度の工事費になります。

バリアフリー工事の際には、介護保険やバリアフリー改修向けの補助金制度もあるので、活用してみましょう。

50~150万円の二世帯住宅リフォーム

玄関まわりを断熱化する場合や、収納棚も余裕のある広々とした玄関へ改修する場合などは、50~70万円必要になることが多いです。

廊下から共有部を分けるために、玄関を広くして廊下にドアを増設するような工事なら、ドア材や玄関の拡張工事で100万円程度かかります。

なおタイル張りの在来工法の浴室をユニットバスへとリフォームする際には100万円以上、バリアフリー仕様のユニットバスにリフォームする場合や、浴室を1つ増設する際には80~160万円前後かかります。

キッチンを増設する場合の費用は120~150万円位と考えておきましょう。
ただし、コンパクトタイプのキッチンの設置や、大規模な配管工事を伴わない工事であれば100万円未満で施工可能な場合もあります。

以下、施工費用68万円での二世帯住宅リフォーム事例です。

150~250万円の二世帯住宅リフォーム

キッチンを一新するときや、リビング・ダイニングを全面的に改装する場合は、150万円以上はみておきましょう。
介護のために、浴室を寝室の近くへ移動する場合には、200万円以上必要になることが多いです。

250~500万円の二世帯住宅リフォーム

浴室のリフォームと同時に、洗面所や寝室のリフォームを行う家庭も増えており、この場合の施工費用は250~300万円位必要です。
また、二世帯で食事をするため、LDK全体を300~400万円でリフォームする方も多く見られます。

500~1000万円の二世帯住宅リフォーム

世帯ごとのプライベート空間を分けたいという場合には、500~1000万円位のコストがかかるケースが多いです。
たとえば、個室を増やすために増築工事を行う場合や、大規模な間取り変更リフォームを行う際には、500万円以上の予算を検討しておく必要があります。

既存の倉庫や離れを、一世帯の生活の場として900万円前後でリノベーションするパターンもあります。
なお家族の健康に配慮して、リビング全体に自然素材を取り入れるときにも、500万円以上かかる場合があります。

以下、施工費用670万円での二世帯住宅リフォーム事例です。

1000万円~の二世帯住宅リフォーム

戸建ての1階と2階を、それぞれの世帯の居住空間として完全に分けるため、2階部分にトイレ・キッチン・寝室・洗面所などを増設して大々的に改装する場合には、1000万円以上かかりやすいです。

それでも建て替えるときに比べれば低コストで済むので、確保したい部屋の優先順位をあらかじめ決めておき、予算と照らし合わせながらリフォーム会社と一緒にプランニングしていきましょう。

以下、施工費用1700万円での二世帯住宅リフォーム事例です。

二世帯住宅リフォームによる税金対策

二世帯住宅は税金の観点から見てもお得なことがあります。

相続税の控除

二世帯住宅が流行し始めた背景の一つとして、相続税の軽減対策があります。
相続税の対象として多いのは土地です。
これは具体的には、土地の価値を下げる「小規模宅地の特例」というものに基づくのですが、親と一緒に住んでいる二世帯住宅は、土地の評価額が80%も減額されます。

2015年1月から相続税の基礎控除額が縮小され、対象となる土地面積が240㎡から330㎡に広がったので、二世帯住宅の土地は、実質100坪まで相続税削減が可能です。

つまり、二世帯住宅にして子が親と同居をし、親名義の自宅土地を相続すれば、その税金が80%も減額されることがあるのです。

不動産取得税の軽減

中古住宅を購入してリフォームするときや新築購入をするときは、不動産取得税がかかります。
これは通常、50㎡以上240㎡以下の床面積で要件を満たす場合、1世帯あたりの不動産価格から1200万円が控除されますが、それぞれ独立した二世帯住宅と認められた場合、この控除を2戸分、つまり2倍の額で受けることができます。

この、独立した二世帯住宅という要件は、各自治体によって異なりますが主に以下のような内容が挙げられます。

・世帯ごとに専用の玄関がある。(※勝手口は該当しないので注意)
・別々のキッチンがある(簡易な設備は対象外)
・トイレが別々にある
・世帯間の通路が、扉などで仕切られている

といったポイントで、構造上の独立性があるかどうかがチェックされます。

固定資産税の軽減

1世帯当たりの土地の固定資産税は、 200㎡までの小規模住宅用地の場合、土地の評価額の6分の1まで軽減されます。
しかし200㎡を超える場合は、評価額の3分の1までしか軽減されません。
この固定資産税も、それぞれ独立している二世帯住宅と認められた場合は2戸分で計算されるため、税制の対策になるのです。

三世代同居リフォーム減税

リフォームを行うことにより、キッチン・浴室・トイレ・玄関の内の2設備が、結果的に2つ以上になる場合、リフォーム費用もしくはリフォームローンが減税対象になります。
ただし、リフォーム後の住宅に「三世代が実際に居住すること」が条件なので、注意してください。

二世帯住宅のよくある失敗とその対策

それでは、二世帯住宅でよく聞く失敗例と、そのための対策について確認しておきたいと思います。
以下のことの参考にしながら、完全分離型、部分共有型、完全同居型のどのタイプが適切か、あるいは二世帯住宅での暮らしに向くか否か、しっかり判断しましょう。

プライバシーの確保

完全分離型でない場合に一番起こりがちなのが、プライバシーの確保の難しさです。
例えば、それぞれに分けたはずの寝室に、断りなく入られたのがストレスになった、ということがあるようです。
また、家族と会話する時間が好きな方、ひとりで静かにゆっくり過ごすのが好きな方など、個性も多種多様ですよね。

予算などの関係で完全分離型の二世帯住宅にできない場合は、同居を始める前に遠慮せず、「この部屋には入らないでほしい」「読書をしているときは集中したいから話しかけないでほしい」など、価値観のすり合わせをしておくようにしましょう。

光熱費の折半

特に完全同居型の二世帯住宅で住む場合、節約できるはずの光熱費。
水道、電気、ガスの他にも、電話代や住宅ローンなど、かかる経費は多々あります。
しかし「在宅している時間は親世帯なのに、半分ずつ払うのは納得いかない」という意見になったというパターンがあります。

これを回避するためには、やはり同居する前に負担の割合を相談し合い、建築の構造的に可能であれば、それぞれにメーターを設置し、使った分だけ精算するという方法も考えておきましょう。

テレビなどの占有

リビングを共用にしている二世帯住宅では、テレビも問題になることが多いです。
好きな番組が共通していれば良いのですが、誰か一人が占有して観続けてしまうという話もあります。

部屋やキッチンなどの設備は共用でも、テレビや冷蔵庫などの家電は2つ用意するなどして、うまく対処したいですね。

掃除・洗濯などの分担

共用場所が多い二世帯住宅に住む場合、メリットになると考えられるのが家事の分担です。
料理好きの家族なら、一緒にキッチンに立つのも楽しくなりそうですよね。
しかし、忙しいと役割分担がうまくいかないこともあります。
また、水まわりの使い方や汚れ方も、人によっては気になってしまうものです。

きれい好きな家族がいる場合は、水まわりは独立させてしまう方が無難です。
さらに、炊事や洗濯は共同作業にするかどうか、掃除場所はそれぞれどこを担当するか、あらかじめはっきりさせておくのが良いですね。

生活時間のギャップ

親世帯と子世帯で、一番違うのは恐らく生活時間になるでしょう。
玄関が共用の場合や、親世帯の寝室が玄関やリビング、浴室に近い場合、深夜に帰宅することが多い子世帯が気を遣うということも想像できますね。
木造住宅だと、隣接する部屋に音が響きやすく、よけいにトラブルになりがちです。

音より、臭いが気になるというパターンもあります。
換気扇や吸気口の位置を変更・増設すれば軽減できるので、リフォーム内容を決める際、一緒に検討しておくと良いでしょう。

朝の時間に混雑

上記とは逆に、生活時間が被ることによるデメリットもあります。
朝、家を出る時間が同じ家族が多いと、洗面所や食卓、キッチン、玄関、トイレで混雑してしまうのです。
洗濯物を干すときの作業スペースが一人分しかない、家族全員分の量を干せないという例もあります。
毎日続くことなので、ストレスが蓄積していってしまいますね。

キッチンや洗面所を一緒に使うとしたら、生活動線にも配慮し、通路幅を広くする、洗面ボウルが2つ以上ある洗面台を採用する、物干し場を2箇所以上に設置する、という工夫をしておくのが理想的です。

全員が気持ち良く過ごすためには、朝起きてから夜寝るまでの、それぞれの行動の流れをよく理解して、ベストな間取りを選択しなくてはいけません。

二世帯住宅は、提案上手な業者を選ぶ

たくさんの課題が想定できる二世帯住宅ですが、将来的な経済・生活や介護など、二世帯住宅で暮らすべきだと思う方もきっと数多くいらっしゃるでしょう。

家族全員が納得できる二世帯住宅にするためには、多方面から提案できる業者に依頼するのが一番です。
二世帯住宅の設計・デザインに慣れている会社や担当者なら、一人一人の思いを大切にし、皆の意見に折り合いをつけてくれるでしょう。
逆に親身にならず、あまり提案してくれないような業者は避けるべきです。

また増築や建て替えの場合、建ぺい率や容積率の問題も生じるため、詳しい業者に設計・施工してもらうようにしましょう。
資金計画の相談やリフォームローンの紹介もしてもらえる会社も、選択肢の一つです。
中古住宅を購入してリフォームをする場合には、物件探しから協力してくれるワンストップ会社もおすすめです。
第三者も間に立って、楽しく暮らすためのアイデアを出し合えると良いですね。

大家族でにぎやかに過ごしたい方も、少し二世帯住宅に不安がある方も、ライフスタイルに合わせて共用度を選択すれば、ストレスを感じることもなく快適に暮らせそうです。
ぜひ、誰もが満足できる家づくりを目指したいですね。

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