【DIYショップ巡り #7】ひんやりするけど温かい。タイルの新発見ができるお店〔Tile Style 深大寺〕
夏になると、猫じゃなくても冷たいところを求めてついつい移動してしまいますよね。大理石の床は無理でも、タイル敷きの床だったら、すぐにでも実現できそうです。DIYショップ巡り第7回は、夏に向けて取り入れたいタイルを取り扱っている〔Tile Style 深大寺〕をご紹介します。
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珍しいタイルも取り扱うタイル専門店
〔Tile Style 深大寺〕は京王線 調布駅からバスで10分程のところ、神代植物公園のすぐ近く。片側2車線の広い道路が目の前を通りますが、それに劣らずスペースのある歩行者用道路と自転車用道路、それに街路樹があるおかげで、のんびりお散歩を楽しむ人たちがお店をのぞいていきます。
店内は、壁も床もタイル張り。……といっても、壁の材質はまるで木の板のよう。「今、生産地では、アイデアを出しあいながら色んな種類のタイルを作っているんですよ」と教えてくれたのは、タイルスタイリストの上野京子さん。上品でやわらかな物腰が印象的な女性です。
その言葉のとおり、棚には見たこともないようなタイルがぎっしり。
最近人気があるのは、1ピースがとても小さなモザイクタイルと呼ばれるもの。これだけ小さなものを職人さんがひとつひとつ面に張るのは大変なので、30cm四方にネットで裏打ちした状態で、生産地である多治見から出荷されています。
上の写真にあるモザイクタイルは、ガラスや大理石をMIXしたものでイタリアからの輸入タイルなんだとか。
でも、こんな小さくて味のあるタイルなら、小物のリメイクにも使いたいですよね。そんな人には、四角いものを含め、ハート型やリーフ型などのモザイクタイルもグラム単位で販売してくれています。
こんなにステキなタイルたちでリメイクしたら、何気ない植木鉢や食事を運ぶトレーも味わい深くなって愛着が湧きそうです。
セミナーやワークショップでタイルを使った本格DIY体験
実は〔Tile Style 深大寺〕の母体は、タイル問屋の〔梅村タイル店〕。創業1930年、“タイル一筋80年”という老舗です。これからは海外のようにエンドユーザーがタイルを手に取って選べる、そして工事まで対応できるお店を、という梅村周造会長の想いから〔Tile Style 深大寺〕が生まれたんだそうです。
そしてINAXから転職してきた上野さんが、いちから仲間を集め、タイル1枚から副資材・工具の販売、タイルの工事まで、タイルに関することならすべて応えられるお店を作ってきました。
タイルを扱うプロの職人さんたちに、「どうやったら壁一面にタイルをうまく張れるのか」「タイルのサイズが合わないときにどうすればいいのか」など、きいてみたいと思いませんか? 実は、〔Tile Style 深大寺〕では、そんなプロたちからタイル張りの技術を教えてもらえるセミナーやワークショップを開催しているんです。
奇数月に開催しているというセミナーは、たっぷり2時間。映像と解説でしっかり施工方法を確認できます。
セミナー受講後は、偶数月に開催されるワークショップを受けることもできますよ。ワークショップでのレッスンは、講師役の職人さんたちとほぼマンツーマン。本物そっくりの壁やカウンターなどにタイル張りの“施工”をしていきます。
休憩時間を挟んで5時間の作業を終えたら、満足感に浸れること間違いなしです。これで自信を持って、自分のお家のリフォームに挑めますね。
「リフォーム途中で、仕上げるのが難しい、と感じても心配しないでほしい」と上野さん。「相談してもらえれば、途中からの工事も引き受けられます」と教えてくれました。
そもそも〔Tile Style 深大寺〕をオープンしたのは、「タイルのことで話を聞きたいのだけど、どこに行けばいいのかわからない」というエンドユーザーが多いからだと上野さんは言います。
「建築の世界でも流行りがあるから、『タイルを使ってリフォームしたい』というと、流行りのものでトータルに提案されてしまう、ということが往々にして起こります。でも、本当はそれぞれの空間に、それぞれのお客様に合ったタイルがある。お風呂だけ、キッチンだけのリフォームや、新築中の家でも『ここだけ変えたい』といった相談にも対応。そのほかにも、『通販でタイルを買ったはいいけど、どんなボンドを使えばいいのか』『張り方はどうするの?』といったお悩み相談も受け付けていますよ」とのこと。
「タイルのことで聞きたいことがあれば、どこに行こうかと悩まずとにかくここに来てほしい」という上野さんご自身も、店内に並ぶカタログのすべての内容が頭に入っているそうで、本当に心強いですね。
「タイルにはたくさんの人の愛が詰まっている」
そんな上野さんが提案したいのは、居住空間の中にタイルをプラスする「Plus Tile」な暮らし。DIY人気の高まりを受けて、タイルの需要も増えてきたけれど、小物のリメイクなどだけではなく、できるだけ“面”で使ってほしいと言います。
「タイルはデザインを考える人、実際に焼く人、それを流通させる人、使いかたの提案をする人、そして最後に張る人。たくさんの人の手が重なっています。タイルというのはそもそも素材であって、半製品という扱いで、これだけでは未完成の製品。でも、だからこそ完成品になるために、たくさんの人の愛情を受けられるんです。愛が詰まっているんです。
タイル張りの空間というと、多くの人は『冷たい感じ』を受けるかもしれませんが、実は温かい。その温かさは、面使いすることでさらに感じていただけると思うんです」
また、「多少不格好なほうが、手作り感が出ていいかな、と思いがちですが、整然と張ったほうが、後々のそこでの暮らしをワンランクアップさせてくれる、とわたしは信じています」と上野さん。
「『DIYだからこれでいいかな』という張り方だと、生活自体も『これでいいや』となってしまうんじゃないでしょうか。整理整頓されたお部屋だと居心地がよく、できるだけ長くそこで生活したいと感じるように、整然とタイルが張られた空間であれば、きっと今以上に『早く帰りたいな』『楽しいな』と感じてもらえる場所になりますよ」
できるだけ「面使い」で「整然と」――とどまるところを知らないタイル愛を抱く上野さん。〔Tile Style 深大寺〕はそんな彼女が店長なのだから、きっと悩める“タイル難民”を救ってくれるはず。そう感じさせてくれるショップでした。
【Tile Style 深大寺】
●住所 東京都調布市深大寺元町5-2-4
●電話 042-488-1726
●営業時間 10:30~17:00
●定休日 月・水・木曜日
●ライター 渡辺まりか
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