簡易ガス事業って何のこと?簡易ガスのメリットと安全対策について

毎日の生活に欠かせないガスですが、都市ガスとプロパンガス(LPガス)、簡易ガスの3種類の供給方法があるのはご存じでしょうか? ガス自由化にともない消費者の選択肢も増えましたが、最良の選択のためには、それぞれの特徴を知っておくことが大切です。ここでは3つめの簡易ガスについて、詳しくご紹介していきます。

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そもそも簡易ガスとは?

簡易的なガス発生設備により作り出し、都市ガスのように導管によって各家庭に供給されるガスのことを、「簡易ガス」といいます。“簡易ガス”とはいってもガスの種類を指しているのではなく、ガス供給形態の1つを意味しています。簡易ガスとして供給されるガスそのものはほとんどの場合、LPガスの原料と同じ「液化石油ガス」です。

簡易な設備でガスが供給できるため、需要があればすぐに対応できるのが大きなメリットです。そのためこれまでにも、ガス導管網が発達していない地域において、大いに活用されてきました。

簡易ガスは特に、団地やマンションなどに適しています。通常、ガス導管がなくても各家庭にボンベを設置してLPガスを使用できますが、団地やマンションなどの場合、1つ1つの家庭にボンベを設置するのは難しいからです。

ただし、供給地点(供給を受ける家庭など)が70戸以上の場合にのみ、「簡易ガス」と呼ばれます。供給先が69戸以下の場合は小規模導管供給方式によるLPガス販売事業に区分されるので、ガスの供給法の種類としては、「プロパンガス(=LPガス)」に分類されるといえるでしょう。

一般的な簡易ガスの発生設備には、大型のLPガスボンベが設置されており、タンクローリーでガスが運ばれてきます。そこから各家庭へ、都市ガスのようにガス管を通してガスが供給されます。

“簡易”というだけあって設備が小規模なため、災害時にはすぐに供給を停止して、二次災害の発生を防止することが可能です。災害後も、迅速な点検や対応が可能で、復旧は比較的早いと見込まれます。

簡易ガス事業とは、ガス小売り事業の一形態

都市部周辺で住宅団地が急激に増加するにつれ、多くの場所で、LPガスを導管から供給するシステムが導入されるようになっていきました。そのため、1970年のガス事業法改正にともない、70戸以上の供給地点へのガス供給事業が、公益事業としてガス事業法の対象になりました。

これにより、簡易ガス事業者はガス事業法にもとづき許可を受ける必要があり、さらに、ガス発生設備は、高圧ガス保安法や液化石油ガス法などの基準を満たさなければならなくなりました。また、簡易ガス事業者には、認可を受けた料金と供給条件にてガスを供給する義務も課されていました。

しかし、2017年4月に改正ガス事業法が施行されたことにより、簡易ガス事業は「ガス小売り事業」の一形態となります。これにともない、簡易ガス事業は「コミュニティーガス事業」とも呼ばれるようになりました。

地域によっては、団地の老朽化により簡易ガス事業が廃止されるところもあるなど、簡易ガス事業の需要は減少傾向にあります。しかし、ガス自由化にともない、これまで都市ガスしか選べなかった場所に簡易ガス事業が参入する可能性も考えられます。

簡易ガス供給システムの安全を守る調査員について

各ガス事業者は、ガスの供給にかかわる消費機器が経済産業省の定める基準を満たしているかを調査する義務を負っています。しかし、これを調査する調査員としての国家資格は存在しないため、日本ガス協会は、消費機器調査の適切な実施と保安水準の維持・向上を目指して、「需要家ガス設備点検員」の資格を運用しています。

日本ガス協会では、ガス事業者ごとにトレーナーを養成する役割を担います。そして、各事業者のトレーナーは、日本ガス協会が策定したカリキュラムにもとづき、講習を実施します。

需要家ガス設備点検員の資格のうち、ガス小売り事業者のための資格が「消費機器調査員」です。この資格を取得するには、消費機器調査に必要な知識と技能を身に着けなければなりません。そこで、講習において、ガスの組成や性質、設備に関する基礎知識に加え、ガス漏れへの対処法や災害時復旧対応などの基礎知識も学びます。また、調査の基準や方法、結果の記録方法などの実務や自主保安に関する講習もあります。

日本ガス機器検査協会でも、日本ガス協会の委託を受け、各事業者のトレーナーを養成する講習を開催しています。ただし、資格を取得するためには、講習修了後にガス小売り事業者を通じて、日本ガス協会に認定を申請しなければなりません。

新規資格取得の場合は、3日間の一般講習を修了し、修了試験と検定試験に合格すれば、認定申請をおこなえます。実務経験がある場合は、検定試験を受ける必要はありません。また、「液化石油ガス設備士」や「第二種販売主任者」など、特定の資格保有者であれば、1日間の特別講習と修了試験のみで認定申請をおこなえます。

資格の有効期間は3年で、更新認定を受ければさらに3年延長されます。

まとめ

ここまで、簡易ガス事業の仕組みや変遷についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?調査員の資格が運用されているなど、ガスを安心して使えるように消費機器の調査制度も整ってきています。ガスの自由化にともなって簡易ガス事業も活性化し、消費者が適正価格で、より安全にガスを利用できるようになるといいですね。

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