
違う使用目的で自動車保険を契約すると事故の時の補償はどうなる?
自動車保険を契約するときに必ず聞かれるのが「普段どのようにお車をお使いですか?」という「使用目的」です。特に最近はダイレクト系の自動車保険が増え、自分でネット申し込みをするので、「自分の場合はどれに当てはまるのか?」と考えてしまうこともあるかと思います。実はこの「使用目的」、自動車保険を契約するためにはとても大切な項目の一つで、使用目的をどう保険会社に伝えるかで保険料が変わったり、時には事故が起こっても補償されないケースさえあるのです。そこで今回の記事では、なぜ自動車保険に「使用目的」が深く関わってくるのか、本来の使用目的と違うことを保険会社に伝えていたらどうなるのかなどの疑問を解説します。最後まで読んでいただければ、次回の自動車保険の契約・更新では、自信を持って申し込むことができるはずです。
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- 自動車保険における「使用目的」とは
- <多くの保険会社では車の「使用目的」を3つに分類する>
- 補償範囲は「日常・レジャー<通勤・通学<業務」の順
- なぜ車の「使用目的」が自動車保険に関係があるのか
- 使用目的によって保険料が変わる
- リスク細分型自動車保険とは
- 「使用目的」が違えばリスク度合いがかわる
- 分類は2つだけにして、走行距離で保険料を決める会社もある
- 実際にどれくらい保険料が変わるのかをシミュレーション
- ときどき通勤にも使う場合はどうなる? 使用目的の判断基準
- 「年間を通じて月15日以上(週5日以上の会社も)」がボーダー
- この場合の使用目的は?
- 異なる使用目的で事故を起こした場合は補償される?
- 使用目的の告知義務違反と通知義務違反
- 異なる使用目的を申告していた場合は? 「告知義務違反」
- 保険会社に使用目的変更の報告を忘れた! 「通知義務違反」
- 告知義務・通知義務に違反すると契約解除の可能性がある
- 保険会社から契約を解除されると、こんなデメリットが!
- 使用目的の変更手続き
- 正しい使用目的の告知・通知が「安心でお得」の基本!
- プロフィール
自動車保険における「使用目的」とは
<多くの保険会社では車の「使用目的」を3つに分類する>
多くの保険会社では、自動車保険における車の「使用目的」を次の3つに分類しています。
①業務
「業務」とは、仕事をするためには車の運転が不可欠な状態のことをいいます。例えば得意先の会社を車で訪問したり、お客様のところまで自社の商品を届ける、また農業だと収穫物を自宅や倉庫まで運ぶことなどが業務に当たります。
②通勤・通学
「通勤・通学」とは車を運転して会社や学校に通っている状態を指します。最寄りの駅まで仕事に行く夫や学校へ行く子供を送る「送迎」が通勤・通学に含まれるかどうかは保険会社によって判断が分かれます。この場合、契約時に保険会社にしっかりと確認しておくことが重要です。
③日常・レジャー
業務、通勤・通学に含まれない車の使用法が「日常・レジャー」に分類されます。平日はあまり車を運転せず、休日にドライブへ行ったり、ショッピングセンターに買い物に行くといったイメージです。
補償範囲は「日常・レジャー<通勤・通学<業務」の順
補償される範囲は、日常・レジャー、通勤・通学、業務の順に広くなっていきます。そのため一番補償範囲の広い「業務」を自動車保険の使用目的として契約していれば、通勤・通学や、日常・レジャーでの使用も補償されます。
同様に、「通勤・通学」で契約していれば、休日の買い物やドライブなどもカバーされます。
なぜ車の「使用目的」が自動車保険に関係があるのか
ではなぜ自動車保険の契約時に必ず使用目的を聞かれるのでしょうか?
使用目的によって保険料が変わる
現在の自動車保険は「リスク細分型」と呼ばれる事故リスクの判断法を採用しており、「使用目的によって保険料が変わる」ために重要視されています。
リスク細分型自動車保険とは
昔の自動車保険はどんな人でも保険料はほぼ一律でした。しかしこの状態だと事故を起こしやすい人と事故を起こしにくい人の保険料が同じになり、不公平になります。そこで事故を起こしそうな要因を細かく分け、それによって細かく保険料に差を付けられるようにしたのです。
代表的なのは「ゴールド免許」や「運転する人の年齢」です。ゴールド免許を所持している人や、30歳以上の人は、ブルー免許の人や30歳以下の若い人より「事故を起こしにくい」と考えられますよね。そのため保険料が安くなるという仕組みです。
「使用目的」が違えばリスク度合いがかわる
業務、通勤・通学、日常・レジャーといった使用目的でリスクが測れるのは、「使用頻度」と「走行距離」の2つです。
業務で車を使用する人は、休日に買い物やドライブ程度の日常・レジャー使用の人に比べると、「頻繁に車を運転」し、「距離も長く乗る」と考えられます。そのため事故に合うリスクが高いと判断され、保険料が高く設定されます。
分類は2つだけにして、走行距離で保険料を決める会社もある
使用目的を、「主に業務用」と「主に家庭用(日常・レジャーの他に、通勤・通学も含む)」の2つに大まかに分類し、年間走行距離を重視してリスクを測り、保険料を設定する保険会社もあります。
実際にどれくらい保険料が変わるのかをシミュレーション
使用目的で実際にどれくらい保険料が変わるのかシミュレーションしてみました。
業務―通勤・通学で約15,000円、通勤・通学―日常・レジャーで10,000円強の差がでます。
ときどき通勤にも使う場合はどうなる? 使用目的の判断基準
「年間を通じて月15日以上(週5日以上の会社も)」がボーダー
基本的に休日にしか車に乗らないが、たまに会社や学校へ通う時に乗っていくという場合、「日常・レジャー」と「通勤・通学」のどちらで申し込んだら良いのでしょうか?
基準は「年間で平均して、月に15日以上その目的で使用したか」で判断します。
例えば週に4日、パート先に車で通っている場合は、月15日を超えるので、通勤・通学で契約する必要があります。雪が降った時だけ車で通勤するといった場合は、一年に平均すれば月15日は超えないので、日常・レジャーで契約可能です。
この場合の使用目的は?
●ケース1:会社に車で通勤した後、取引先まで商品を届けた
商品を届ける頻度で判断します。日常的に商品を届けているなら業務ですし、月15日以内であれば通勤・通学で契約できます。
●ケース2:雨が降った時だけ、子供を通学のため最寄り駅まで乗せていく
梅雨の時期などは回数が増えますが、一年を平均すれば月15日以内に収まるので、日常・レジャーで契約できます。
●ケース3:夏の暑い時期だけ車で通勤する
6月~9月まで車で通勤したとしても、後の時期に自動車通勤をしなければ、日常・レジャー契約でOKです。
●「送り迎え」保育園と幼稚園で異なる使用目的
保育園の送り迎えは「通学」に当たらないため、日常・レジャーで契約できます。
一方幼稚園は学校教育法により「教育機関」とされているので学校扱いとなり、送り迎えをする場合、「通勤・通学」で契約する必要があります。
異なる使用目的で事故を起こした場合は補償される?
日常・レジャーで契約していた人が日常的に自動車通勤をして事故を起こした場合、保険で補償されるのでしょうか?結論から言うと、補償されません。それどころか保険会社に対する告知義務違反、通知義務違反で保険契約を解除される可能性すらあります。
保険会社によっては「悪質ではない」と判断した場合、保険料の差額を納めれば補償をするという対応をしてくれることがありますが、ラッキーだっただけであって、正確な使用目的で契約することが大前提です。
使用目的の告知義務違反と通知義務違反
異なる使用目的を申告していた場合は? 「告知義務違反」
契約を申し込む際、契約者は「免許証の色」や「年齢」、「使用目的」などを保険会社に「告知」する義務を負います。
この義務を怠ったり、故意に偽ったりすると、告知義務違反として処理されます。
保険会社に使用目的変更の報告を忘れた! 「通知義務違反」
契約者は契約の途中で転職などをして自動車通勤を始めた場合、「使用目的」の変更を保険会社に「通知」する義務を負います。
この通知を怠ったり、故意に偽ったりすると、通知義務違反として処理されます。
告知義務・通知義務に違反すると契約解除の可能性がある
告知義務違反、通知義務違反は発覚した場合、保険会社から自動車保険の契約を解除される可能性があります。
保険会社から契約を解除されると、こんなデメリットが!
●再契約を拒否される場合がある
契約を解除された場合、もう一度自動車保険を契約しようとしても引受を拒否されることがあります。この場合、他の保険会社にも情報は共有されているので、そちらでも契約できない可能性が高くなります。
●再契約できても等級は引き継がれない
たとえ再契約できたとしても、それまでのノンフリート等級は引き継がれず、初期値である6等級に戻されてしまいます。
使用目的の変更手続き
使用目的の変更手続きは、保険会社や代理店に連絡を入れるだけです。必要な書類が送られてくるので、記入して返送します。
変更内容によって保険料が高くなった場合は差額の保険料を払い込み、安くなった場合は差額を指定口座に振り込んでもらえば、手続きは完了です。
正しい使用目的の告知・通知が「安心でお得」の基本!
シミュレーションでは使用目的による保険料の差は年間で10,000~15,000円程度でした。しかし使用目的を誤魔化して事故の時に補償されなかったり、契約を解除されせっかく維持してきたノンフリート等級を降り出しに戻されて保険料の割引を受けられないようになれば、損失はその程度では済みません。
一方ほとんど休日にしか車に乗らないのに、「通勤・通学」で契約をして無駄な保険料を払う必要はありません。
正しい告知・通知をして、安心でお得な補償を手に入れましょう。
プロフィール
杉浦 直樹
AFP FP2級
元歌舞伎役者のファイナンシャルプランナー。以前ソニー生命に勤務していたため保険商品に強い。
JSA認定ソムリエの資格も持つ
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