
保険の転換、下取りはデメリットが大きい?知らないと損をするかも!
保険の更新がせまる中、保険会社の人から「保険の転換で下取りすれば、保険料がもっと安くなりますよ」なんて進められた経験がある人もいるのではないでしょうか。確かに保険料だけ見ると、ただ更新するよりも安く、お得に見える保険の転換。しかし、「そもそも転換や下取りってなに?」「本当にお得なの?」と感じている方も多いはず。
そこで今回は、気になる「保険の転換」について、その仕組みから注意点まで、わかりやすく解説します。保険の更新をひかえて悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
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「保険の下取り」? 気をつけたい保険の転換とは
保険の転換とは、保険の下取りとも表現されます。下取りとは、業者が、新たな商品の代金の一部として、古い商品を受け取ること。自動車でいえば、古い自動車を引き取ってもらい、その評価額の分を差し引いた金額で新しい自動車を買う、というようなことになります。
保険の転換もこれと同じで、現在の契約内容を活用して、新しい保険を契約することをいいます。つまり、契約している保険の積立金や積立配当金を「転換価格(下取り価格)」として、新たな契約の支払い金の一部に充てるのです。これを利用することによって、ただ契約を更新したり新規で契約しなおしたりするよりも、ひと月当たりの保険料を軽減できることになります。具体的には、次のような方法があります。
1. 基本転換
転換価格を主契約(終身保険)のみに充当する方法です。主保険(終身保険)の保険料負担が軽くなります。
2. 定特転換
転換価格を定期保険特約のみに充当する方法です。定期保険特約の保険料負担が軽減されますが、更新されるとこの軽減もなくなります。
3. 比例転換
転換価格を一定の割合で分け、主保険(終身保険)と定期保険特約に充当する方法です。主保険(終身保険)と定期保険特約の保険料負担が軽くなりますが、定期保険特約にかんしては、更新とともに負担の軽減もなくなります。
上記の方法では、現在の契約内容はすべて消滅し、新しい契約内容に変わることになります。しかし、一部の保険会社では、転換前の契約の一部を残し、一部を新しい保険に変える「分割転換」を取り扱っているところもあります。
保険の転換は、その積立金などを転換価格(下取り価格)とするため、同じ保険会社の中でしか行えません。会社によってそれぞれ違ったプランが用意されていますから、転換をすべきなのか、解約して新規契約すべきなのかは、あれこれ比べながら決めていくことになります。
お得な保険料に隠された盲点
契約を更新しても保険料が安いままと聞くと、お得に感じられる保険の転換。しかし、実はそのお得には、大きな落とし穴が2つも隠れているのです。その落とし穴とは、「予定利率」と「積立金(解約払戻金)」です。それぞれについて順番にみていきましょう。
1. 予定利率
予定利率とは、保険料の運用利回りのこと。金融庁が定める標準利率に従って定められています。保険の仕組みとしては、予定利率が高ければ、保険料が安く、さらに積立金はどんどん増えていきますが、予定率が低いと、保険料は高く、積立金もなかなか増えないということになります。
また、契約を解消しない限り、予定利率は契約時のものが引き続き適用されることになっています。反対にいえば、新たに契約をしなおすと、現在の予定利率が採用されてしまうのです。
ここで、予定利率の推移をみてみましょう。
これによると、予定利率は80年代後半をピークにどんどん下がっていっています。過去に契約した保険は、予定金利が高い「お宝保険」なのです。
もしこれを転換してしまうと、高い予定利率は破棄され、新たに「0.25%」という予定利率での契約になります。つまり、保険料は高くなり、利回りは小さくなるということです。
このことを考えると、わざわざ「お宝保険」を解約して保険の転換を行うメリットは小さいと考えられるでしょう。
2. 積立金(解約払戻金)
保険の転換、つまり下取りで転換価格(下取り価格)となるのは、これまでの保険料の支払いによって積み立ててきた部分です。これは、解約時に「解約払戻金」として支払われるものになります。
もし、「定特転換」や「比例転換」をすると、この積立金の全部、または一部が、定期保険特約の掛け捨て保険料に充てられてしまいます。つまり、今まで積み立てていた分がいつの間にか消滅してしまうということになるのです。
もちろん、本来払うはずの保険料を賄っているだけなので、損をしているわけではありません。しかし「見かけの保険料が安くなる代わりに、どこかでお金を払っている」という意識がないと、ダマされたような気分になってしまうのも確かでしょう。
保険更新の際にチェックすべきポイント
保険の更新を考える場合にチェックしておきたいのは、まず、下記の4つです。
・予定利率
・保証内容
・積立金(解約払い戻し金)
・払込期限
保険によって本当に大きく違ってきますから、損をしないためにも、多少面倒でも、しっかり比較検討した上で、自分に合ったものを選ぶ必要があります。
また、保険を見直すときにポイントとなるのは、主契約である終身保険よりも、それにくっついているさまざまな「特約」です。掛け金が掛け捨てであったり、支払いが一生涯続くものであったり、中には、当時はいると思ったけれど今は不要になったものもあるでしょう。これらを整理するだけでも、保険料はぐっと低く抑えられます。
主保険(終身保険)については、予定利率が高いころに契約した「お宝保険」。積立金も貯まっているでしょうから、できれば残しておきたいところです。
また、保険を乗り換える場合には、現在の保険を残したまま、次の契約をすることが大切です。保険は、契約してすぐ適用されるものではありません。もし現在の保険を解約してしまっていると、保険に入っていない空白の期間に大きな病気やけがをしてしまうおそれがあります。もちろん、保険金はもらえませんし、健康状態に変化があった場合、次の保険にも入れなくなってしまうかもしれません。しっかりと次の保険の適用が始まったのを確認してから、その前の保険を解約しましょう。
保険の転換とは、これまでの積立金などを下取り価格として新しく保険を契約する方法
いかがでしたか。「保険の転換」とは、これまでの積立金などを転換価格(下取り価格)として、新しく保険を契約する方法です。ただ更新するよりも保険料負担が軽くなったように感じられますが、それは見掛け上のもの。実際には、これまで積み立ててきたお金を使って、保険料を賄っているのです。
また、予定利率も下がるなど、多くの人にとってはメリットよりもデメリットの方が大きい仕組みになっています。保険会社の人ばかりに頼らず、このサイトなどで保険について学び、自分にとって一番いいものを選べるようになりたいですね。
プロフィール
清水みちよ
学生時代にアジア滞在中、現地で感染症を患い生死をさまよう。奇跡的に生還するも保険の大切さを痛感し、卒業後は保険の代理店窓口等で働く。趣味は懲りずにアジアの発展途上国を訪れて刺激をもらうこと。犬好きのアラフォー女子。
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