
医療保険に入ってないけど問題ある?医療保険の必要性と自分にあったプランの探し方
医療保険に入ったほうがいいと勧められても、その必要性を感じないため、結局入ってないという方も少なくないのではないでしょうか。医療保険の必要性や医療保険に入ってないことで困ることなどを整理した上で、自分にあった医療保険を探す方法についてご紹介したいと思います
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医療保険に入っていない。入る必要はあるの?
医療保険とは、病気やケガで入院や手術をした際に、給付金を受けることができる保険商品のことをいいます。今まで、特に病気やケガで入院した経験がない方であれば、医療保険の必要性を感じず、医療保険に入ってない方も多いかもしれません。
厚生労働省の平成26年患者調査(※)によると、入院をした人は調査時点(平成26年10月時点)で約130万人存在します。その内、未成年が約3.5万人、20代が約2.6万人、30代が約4.8万人、40代が約6.8万人、50代が15万人、60代が約21万人と年齢を重ねるにつれて、その人数は多くなり、65歳以上が約7割を占めています。
また、同調査における平均在院日数(総数)を年齢層ごとに見てみると、14歳以下が8.4日、15歳~34歳が12日、35歳~64歳が24.4日、65歳以上が41.7日、というように、年齢を重ねるごとに長くなっていることがわかります。
つまり、年齢が比較的若いうちは、入院する可能性も低く、仮に入院したとしても短期間の入院で済む可能性が高いので、医療費負担もさほど大きな金額にならないかもしれません。
また、健康保険に加入していると医療費が多くかかった場合にも、高額療養費制度の適用をうけることができます。さらに健康保険の傷病手当金により、入院中の収入減少についてもカバーすることができます。会社員の方であれば、有給休暇も活用できますね。
こう考えると、いよいよ医療保険に入ってなくてもいいのではないかと感じる人もいらっしゃるかもしれません。しかし問題は、年を重ねた後の入院リスクです。65歳以降に入院リスクが高まるので、そのタイミングで医療保険に入っても遅くはないといえるのでしょうか。
年齢を重ねるにつれて、高血圧や糖尿病と言った持病のある方の割合は増えます。年齢を重ね、必要性を感じ始めてから、いざ医療保険に加入しようと思ったときに、持病があるために加入できないというケースは少なくありません。
確かに、持病があっても加入できる緩和型医療保険(告知内容が少ないため持病があっても加入しやすい医療保険)はありますが、一般の医療保険に比べると保障内容が限定的で、保険料は割高になります。
また、そもそも保険料は年齢を重ねるにつれて、上がっていきます。そのため60代ごろの保険料は、20代、30代のときの保険料と比べると、保険会社としては支払いリスクが大きいため、非常に高い保険料設定になっています。そのためコストバランスを考えて、終身タイプの医療保険ではなく、定期(更新)タイプの医療保険を選ばざるを得ないということも考えられます。ただし、定期(更新)タイプの医療保険は更新可能年齢が決まっており、生涯に渡って更新することはできません。
また、終身タイプの医療保険について、保険料払込期間の設定も若い時であれば、60歳や65歳時点で終了させる選択をすることもできます。そのため、収入が老齢年金のみとなったときには保険料の負担なく、生涯に渡り保障を受けるように設定することができるのも早めに医療保険に加入することで受けられる恩恵です。
つまり将来、年齢を重ねた時の入院リスクに対して、健康で若いうちから医療保険への加入を検討しておくことで、広い選択肢の中から有利な備えを選ぶことができるわけです。
医療保険に入ってないと何が困るの?
医療保険に入らない場合に、どのような費用負担に困る可能性があるのでしょうか。
医療にかかるお金が多額になった場合に、高額療養費制度を利用できることについて先ほどもお話をしました。この対象になるのは、あくまでも健康保険の対象となる医療費についてのみです。
健康保険の対象とならず、全額自己負担となるものには、以下のようなものが挙げられます。
●入院時の食事代
標準負担額は、1食460円とされています。3食ありますので、1日あたり1,380円かかることになります。仮に1か月(30日)入院するとしたら、約4万円。食費は入院していなくてもかかるお金とはいえ、将来年金収入のみの生活においては大きな割合を占める出費になる可能性があります。
●差額ベッド代(自ら希望した場合)
大部屋ではなく、個室などを希望した場合にかかる費用です。治療に必要なため病院の都合により大部屋ではない病室に入院をすることになった場合には負担する必要はありません。書面で本人の同意を得ることになっているため、知らないうちに差額ベッドについての同意書にサインしていたということのないように、入院手続きの書類はよく確認しておきましょう。
入院中の生活はイメージしづらいと思いますが、特に女性の場合、あまり化粧ができなかったり、療養着での生活となったり、カーテン1枚で仕切られたプライベート空間だったり等々、病室環境にストレスを感じる方もいらっしゃる可能性はあります。できるだけストレスを排除して治療に集中するために個室を希望される方もあります。
●保険適用外の治療費や手術代(先進医療など)
特に大きな病気で入院した場合、厚生労働省の認可を得られていないものの、効果が高い治療方法を医師から勧められることもあるかもしれません。その場合には、健康保険の対象とならないため、治療費は全額自己負担となります。なお、混合診療、つまり健康保険の対象となる治療と対象外となる治療を同時に受けた場合、健康保険の対象となる治療も含めて全額自己負担となることには注意が必要です。
ただし、厚生労働省が定める先進医療(※厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養)については、その技術料は全額自己負担となりますが、混合診療の原則の例外とされています。なお、先進医療の中には、数百万円かかるものもあります。
いざ、病気やケガで治療を受ける際に、必要な費用を預貯金の中から捻出することができるのであれば、医療保険に加入する必要はないでしょう。しかし、いつ発生するかわからない病気やケガのために、預貯金を常にプールしておくことも難しいことです。また、先述した通り、先進医療の中には数百万円かかるケースもあります。
預貯金はライフプランの実現のために計画的に利用し、いつ発生するか分からない、かつ多額となる可能性のある医療費については医療保険でカバーしておくと考えておく方が合理的といえるのではないでしょうか。
自分にあった医療保険を探すには?
将来の入院リスクに備え、若く健康なうちから加入したほうが有利であることをご理解頂けたでしょうか。自分にあった医療保険を探すために、まずはインターネットを活用してみましょう。たくさんの保険会社の見積もりを一括でとることができるサイトもあり、そのまま詳細について相談できるサービスを設けているケースもあります。将来の入院リスクに備えて、合理的な保障の準備の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
プロフィール
キムラミキ
株式会社ラフデッサン代表取締役。外資系生名保険会社での営業経験を経て、FPとして独立。保険代理店のスタッフ指導を行うなど企業アドバイザリー業務に携わる他、保険や住宅ローンなど身近なお金についての執筆、講演も多数行っている。
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