
生命保険は財産分与の対象?離婚後でも求めることはできる?
離婚するとき、必ず直面する問題が「財産分与」です。どんな理由であれ、婚姻生活を共にしていた期間に貯蓄していた財産や資産は、それぞれの貢献度に応じて受け取る(求める)権利があります。
財産分与は、住宅や預貯金、退職金などだけでなく、生命保険の契約も対象となる場合があることを知っていますか? 保険の契約期間によっては、解約返戻金が100万円を超える場合もあります。見逃して後から損をしないように、自分の生命保険についてしっかり確認しておく必要があります。
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生命保険の契約は財産分与の対象になる? 2つのポイントで確認
生命保険の契約が財産分与の対象になるかどうかは、その保険が「掛け捨てタイプ」か「積立(貯蓄型)タイプ」かで決まります。
「掛け捨てタイプ」の代表的な生命保険といえば、定期保険ですね。定期保険の場合、契約を終了したときや、途中で解約した時でもお金は返ってきません。そもそも財産とはみなされないので、財産分与の対象にはなりません。
「積立(貯蓄型)タイプ」の代表的な生命保険といえば、終身保険です。終身保険は契約が一生涯続く契約で、満期保険金はありませんが、途中で保険を解約した場合は解約返戻金として保険金を受け取れます。また、終身保険と同等に貯蓄性のある養老保険も、途中で解約した際には解約返戻金が発生し、満期を迎えた場合は満期保険金を受け取れます。
よって、終身保険や養老保険の契約は財産分与の対象になるのです。そのほかにも、お祝い金がある保険や、学資保険なども対象です。
婚姻中に生命保険が満期を迎え、保険金がすでに支払われた場合
読者の方の中には、婚姻中に生命保険が満期を迎え、保険金がすでに支払われているという状態の方もいるかもしれません。ですが、これもきちんと共有財産として財産分与の対象となります。さらにその中でも2つのケースに分かれるのでそれぞれ見ていきましょう。
1. 婚姻中に満期保険金を受け取り、1円も使ってない場合
→受け取った保険金の2分の1が対象となります。
2. 婚姻中に満期保険金を受け取り、その保険金を一部使っていた場合
→残りの保険金の2分の1が対象となります。
上記は、保険加入時から満期まで婚姻中であった場合です。
次に、婚姻前に生命保険に加入しており、満期保険金を受け取った後、離婚した場合についてご説明します。
例えば、Aさん(男性/20歳)は独身時代に満期保険金を20年後(40歳)に500万円、受け取れる生命保険に加入していたとします。保険の契約をしてから3年後に結婚し、それから17年が経ち満期保険金を受け取りました。そして1年後に離婚となりました。
このような場合、割合は少し変わってきますが、妻にも共有財産として一部求めることができます。その金額は、「満期保険金÷全契約年数×婚姻期間=共有財産対象額」という式で求めることができます。
上記の場合であれば、「500万÷20年×17年=425万」となり、妻側は425万円の2分の1(212万5千円)を財産分与として求めることができます。また夫側は、共有財産の2分の1と、独身時代から婚姻までの3年分の保険金も上乗せして受け取ることができます。夫側の場合の求め方は、「満期保険金÷全契約年数×独身時代年数+共有財産対象額の2分の1」です。実際に計算すると、「500万÷20年×3年+212万5千円=287万5千円」となります。
離婚時に生命保険がまだ満期ではなく、保険料支払中の場合
次に、生命保険料の支払中に離婚した場合を確認していきましょう。貯蓄性のない「掛け捨てタイプ」の場合は、離婚時に解約したとしても保険金などは発生しないため、特に問題はありません。ですが契約者と被保険者がそれぞれ違う可能性を考えて、離婚前に必ず一度、契約内容の見直しをしましょう。
例えば、契約者が夫で被保険者が妻の場合、離婚していても契約をしている限り、契約者が保険料を支払っていきます。被保険者の妻は、離婚後も契約期間中であれば保険対象者のままとなります。もし妻が離婚をしてもそのまま保険の契約を続けたい場合は、契約者を夫から妻に変更しましょう。
ちなみに、掛け捨てタイプの保険であればそのまま継続することをオススメします。一度保険を解約してしまうと、また加入したいと考えた場合、もしくは今後加入する可能性がある場合に、今と同じ条件で保険の加入ができなくなるためです。また、加入条件が変わるどころか、加入すらできない場合も考えられます。
保険を解約した後、すぐに新しい保険に加入できればいいのですが、離婚の手続きなどで忙しく、新しい保険のことを考えてる余裕がないという人はたくさんいると思います。そのときの勢いで掛け捨てタイプの保険を解約してしまうと、解約した次の日に病気になってしまった……なんて万が一のときに困りますよね。今後も保険に入る予定があるなら、その場で解約はせず、時間に余裕があるときによく考えてからにしましょう。
それでも離婚と同時に解約をする場合は、保険が適用されない空白の期間(解約をしてから新しい保険の保障開始日まで)をなるべく作らないように計画を立てましょう。
次に、貯蓄性のある「終身保険」や「養老保険」の2つに絞って見ていきます。保険の満期を迎える前に離婚となった場合は、契約を解約せずにそのまま継続するのか、解約するかによって財産分与の方法が決まります。継続や解約を決めるときには、現時点での解約返戻金や被保険者の健康状態、保険内容などをよく考えて、どちらがいいか決めましょう。
まず、保険の契約を継続する場合は、契約内容(契約者、被保険者、保険金受取人)と離婚時の解約返戻金を確認してください。その解約返戻金の2分の1を、被保険者が自分の資産から相手に支払いましょう。
例えば、契約者・被保険者共に夫だとします。保険契約は離婚しても継続することに決め、離婚時の解約返戻金を確認したところ、300万円でした。この場合、夫は妻に自分の資産から150万支払うことで、保険を解約せずにきちんと財産を平等に分けられます。
続いて、途中解約する場合についてです。生命保険を途中解約すると、解約返戻金を受け取ることができ、解約返戻金の金額の2分の1が財産分与として受け取れます。保険料を払ってきた時期が短いと、解約返戻金額が少なく場合によっては元本割れをしてしまい、損する可能性があります。きちんと確認したうえで解約の手続きをしましょう。また、一度解約してしまうと同じ保険内容では加入できませんのでご注意ください。
配偶者が生命保険の保険料を支払っていた場合の財産分与
ここで、保険料はすべて夫が支払っていた場合、妻に財産分与はあるのかという疑問をもつ人もいるかと思います。その答えは今までの内容を読んでいただけてれば、何となくわかるのではないでしょうか。
「生命保険だけではなく住宅や車、有価証券なども財産分与する際の原則ルールは夫婦で築き上げた財産や資産は、半分ずつにする」というルールがあるため、契約者や実際に保険料を支払っていた人は妻や夫であっても、財産分与の割合に変更はありません。
また、妻と夫が共同で保険料を支払っていたとしても変わりはありません。ですが、離婚原因(浮気、不倫、DV)によっては財産分与の割合が変わったりすることもあります。
離婚後でも生命保険の財産分与を求めることができます!
離婚後に、共有財産や財産分与がまだあったことに気づく、なんてことはわりとある話です。保険の契約も、病気や怪我などをしない場合はあまり触れる機会がなく、契約していた事を忘れている人もいたりします。そんな場合でも、離婚から2年以内であれば財産分与として請求することができます。2年を超えてしまうと求められなくなってしまいますので、離婚する前にお互いの財産や共有財産などの話し合いはできるだけしっかりしておきましょう。
プロフィール
根岸彩香
2級FP技能士資格を取得し、生命保険会社にて一人一人に合った保険商品をご提案していた実績があります。
また、皆さんの人生に必ず必要となる保険や税金、相続などを得意とし、この3つのジャンルを中心に執筆しております。
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