
必読!医療保険と介護保険の基礎知識。家族の高齢化に備えて
30代になるとご家族の年齢も高くなり、そろそろ医療保険や介護保険の知識を備えなくてはならない頃かもしれません。高齢者の医療費や介護費は想像以上に高額になることがありますが、こういった費用は公的な保険では保障されないものもあります。しかし民間の医療保険や介護保険を利用することで、これらの出費に対する準備ができます。
今回は、医療保険と介護保険についての基本的な知識を身につけていただけるよう、医療保険と介護保険の違いや、これらの保険がどのようなときに適用されるのかについて解説します。
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医療保険と介護保険の違い
医療保険と介護保険の違いを理解するために、まずそれぞれの保険がどのような保険なのかお話しします。医療保険と介護保険の違いは、保障する内容です。医療保険は、病気やけがの治療のために必要な費用を保障する保険です。介護保険は、要介護となった人が介護サービスを受けやすくするための保険です。医療保険と介護保険はともに、公的な保険と民間の保険が存在しますので、この2つの違いについても注意して見ていきましょう。
まずは公的医療保険について説明します。公的医療保険とは、簡単に言うと健康保険のことです。皆さんが病院に行ったとき、保険証を提出することで3割の負担額で医療を受けられるようになります。これは皆さんが健康保険に加入して、保険料を払っているからです。
公的医療保険は、プライベートで発生した病気やけがなどについて医療費を助成してくれます。しかし、入院した場合の食事代や差額ベッド代については保障されません。差額ベッド代とは室料のようなもので、4人以下の人数の部屋に入院した場合に発生します。入院が長期におよぶと、高額な食事代と差額ベッド代がかかってしまいます。
民間医療保険は、この自己負担分を保障してくれるものです。民間医療保険には、生命保険と同様に定期型と終身型があります。定期型は自動更新ですが、保険料は年齢によって再計算され変化します。医療保険は、入院1回あたりの日数による保険金支払い制限があることが一般的です。保険会社によって異なりますが、入院日数60日まで保障してくれるものや、120日までのものがあります。退院してから180日以内に同じ病気で再入院した場合には、前回の入院と合わせて1回の入院とカウントします。
介護保険にも公的介護保険と民間介護保険の2つが存在します。公的介護保険は市区町村が運営し、以下の2つのいずれかに当てはまる場合、保険金が受け取れます。
●65歳以上で要介護・要支援状態である場合
●40歳以上65歳未満で特定疾病により要介護、要支援状態である場合
特定疾病は以下の16種類が指定されています。
・初老期の認知症
・脳血管疾患
・骨折をともなう骨粗鬆症
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症
・閉塞性動脈硬化症
・パーキンソン病関連疾患
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・筋萎縮性側索硬化症(ALS)
・両側のひざ関節か股関節に著しい変形をともなう変形性関節症
・関節リウマチ
・後縦靱帯骨化症
・多系統萎縮症
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・早老症
・末期ガン
介護には特に高額な資金が必要になるので、公的介護だけでは費用がまかなえない可能性が高いです。しかし民間介護保険に加入していれば、一時金や年金が支給されます。民間の介護保険で一時金を受け取ることのできる条件は、以下のケースに分類できます。
●介護が必要な状態や寝たきりになり、その状態が一定期間継続した場合
●公的介護保険の要介護認定を受けた場合
医療保険を適用するケースと介護保険を適用するケース
これまで医療保険と介護保険の保障内容や違いについて説明してきました。続いて、民間医療保険と民間介護保険、それぞれを適用すべきケースについて考えてみましょう。
●医療保険を適用するケース
まず民間医療保険は、基本的に入院か手術が必要になった場合に適用されます。たとえば、けがをして5日以上入院した場合には、医療保険が適用される可能性が高いので申請しましょう。病気の場合には8日以上入院をすると適用されることが多いです。民間医療保険には、日帰りや1泊の入院でも保険金が発生するものもあります。
●介護保険を適用するケース
次に、民間介護保険を適用すべきケースについて見ていきます。民間介護保険は、公的介護保険に連動するタイプのもの以外は保険会社独自の基準により運営されます。そのため、保険会社によって一時金・年金の支払い基準は異なります。公的年金保険に連動するタイプの民間介護保険は、前の部分で箇条書きで示した条件を満たした場合に一時金・年金を受け取ることができます。
また基本的に、介護保険を受給することができるのは「治療」を目的としない場合です。たとえばリハビリも、機能の回復を目的として行う場合には医療保険のくくりになりますが、リハビリをしないと体がどんどん衰えていってしまうため、現状を維持する目的でリハビリをするという場合には介護保険の対象になります。
ガンの場合も、治癒が見込めるかそうでないかによって適用する保険が変わります。治る見込みのあるガンには医療保険が適用されるのに対して、完治の見込みがない末期ガンには介護保険が適用されます。
医療保険と介護保険の違いは保障する目的
医療保険と介護保険の違いは保障する目的です。医療保険と介護保険のどちらが適用されるか考えるには、「治療」を目的としているかどうかで考えます。治療を目的としている場合には医療保険が適用されますが、治療を目的としていない場合には介護保険が適用されます。
医療保険と介護保険はともに公的保険と民間保険があり、民間保険は公的保険の補助が主な目的です。公的保険だけでは医療費・介護費の全額をカバーできないことがありますが、民間の医療保険と介護保険に加入すればその負担をやわらげることができます。医療保険は年齢にかかわらず適用されるので、加入しておけばもし入院したときに負担を減らすことができます。民間の介護保険は、被保険者が元気であれば健康祝い金が支給されるものもあるので、選ぶ際の基準に加えてみてください。
プロフィール
諏訪竜生
3級FP技能士資格を持ち、住宅ローンおよび教育資金に関する相談を中心に業務を行っています。また、新社会人向けに社会保険や知っておきたいお金に関する知識を教えています。予備校および金融機関で勤務した知見を生かし、アドバイスを行っています。
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