
医療保険の通院保障はつけるべき?医療の変革に対応できるようにしよう
医療保険は「入院や手術をしたときに、保険金を受け取れるもの」というイメージを持つ人も多いかもしれません。実際には、通院まで保障するタイプの医療保険が増えてきています。医療の変革によって入院期間が短縮されてきていますが、がんなど定期的な通院が必要な疾病も多いのが現実です。通院保障の必要性について、私たちはどう考えればいいのでしょうか?
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医療保険の通院保障で保障される「通院」とは?
医療保険に加入すると、入院や手術をした場合に「入院給付金」「手術給付金」などを受け取ることができます。
とはいえ、医療の進歩は非常に早く、医療保険の保障内容が、いつの間にか時代遅れな内容になってしまう場合も。医療の変革に合わせ、各保険会社はさまざまな保障、特約を次々と開発しています。
通院保障は、基本的な保障に含まれている商品と、特約として提供される商品があります。
ほとんどの保険で、「通院」のすべてが保障されるのではなく、入院給付金を受け取るような入院をした場合、それに伴う通院についても保障するというケースが多いです。風邪のために数日間、通院だけをしたような場合には保障の対象外となることがほとんどです。
また、入院前の通院についても保障が受けられる医療保険と、入院後の通院に限って保障が受けられる商品があります。前者は保険料が高くなる傾向がありますが、もしもの場合に備える預貯金が全くない人には、心強い保障内容です。逆に、預貯金が十分あって、数日の通院ならば経済的な問題は生じないという人には、後者の医療保険が向いているでしょう。
医療保険の通院保障が役立つ場面
通院保障が実際に役立つのは、どんなときでしょうか?
●入院後に通院が必要となる疾病
入院したり、手術を受けたりする場合、退院後の生活のことが心配ですね。経過観察のために数度の通院をするだけで受診の必要がなくなるなら、経済的な心配も少ないです。でも、長期間の通院が必要となる場合には、医療保険の通院保障が支えとなってくれるでしょう。たとえば、がんの治療は長期入院をするケースが減り、外来に通院して抗がん剤治療や放射線治療を受けることも可能な時代です。このような病気に備えて医療保険に加入するなら、通院保障も受けられると心強いですね。
●通院保障以外に受けられる給付や保障は?
私たちが病気やケガで働けなくなった場合、家計は次の2つの影響を受けることになります。
1. 医療を受けるための支出や、患者の付き添いのための費用など、出費が続く
2. 休業が長引けば、給料や報酬をもらえなくなる
医療保険や通院保障は1の影響をカバーするための商品です。いっぽう、2の影響をカバーするための制度や商品もあります。病気やケガへの備えを考えるには、1と2のどちらの影響に備えたいのか、預貯金などでどのくらい持ちこたえられるか、など収支や資産の状況を総合的に考えなければなりません。
2の影響をカバーするための制度や保険商品についてご紹介しますので、参考にしてください。
●傷病手当金
会社員や公務員が加入する健康保険には「傷病手当金」の制度があります。自営業者などが加入する国民健康保険には傷病手当金の制度がありませんのでご注意ください。
傷病手当金を受け取ることができるのは、業務外の事由による病気やケガの療養のために休業することになった場合で(※)、4日以上仕事に就けず、休業した期間について、給与の支払いが受けられないときに給付されることとなっています。ただし、美容整形などが理由で休業する場合は、傷病手当金の対象とはなりません。
(※)業務上の病気やケガは労災保険が適用されます。
傷病手当金の1日あたりの金額は次のように計算されます。
・支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)
健康なとき受け取っているお給料のおよそ3分の2を、傷病手当金として受け取ることができる、とおぼえておきましょう。傷病手当金を受け取っても、家計に不安がある人は、医療保険や通院保障の必要性が高いでしょう。一方で、傷病手当金を受け取りながら、預貯金などを生活費にあてることで、家計が成り立つという人は、保険料を負担してまで医療保険に加入するのがよいのかを、よくお考えください。
●就業不能保険・所得補償保険など他の保険
就業不能保険は主に生命会社が取り扱う商品で、所得補償保険は損害保険会社が取り扱う商品です。どちらも、病気やケガ等で保険会社所定の就業不能状態になったときに、給付金を受け取ることができます。
また、保険会社が定める要介護状態になったときに、介護一時金、介護年金などを受け取ることができる民間の介護保険があります。公的な介護保険も存在する現代ですが、実は40~64歳までの「第二号被保険者」が要介護状態になった場合には、経済的負担が重くなってしまう可能性があります。なぜなら、第二号被保険者が要介護状態になったとしても、その原因が「特定疾病」である場合しか、公的介護保険が利用できないのです。
40歳といえば、働き盛りで収入も充実してくる時期ながら、お子さんの高校や大学入学が視野に入り、お金のかかる段階を迎える人もいます。その時点で、大けがをして要介護状態になり、収入が途絶え、公的な介護保険も利用できない状況になったら家計が心配だ、という人は民間の介護保険を活用するとよいでしょう。
医療保険の通院保障で起こりうるトラブルは?
●気が動転して給付金をもらい忘れる!
医療保険は「入院や手術をする予定で、給付金を受け取りたい」ということを、受取人から保険会社に連絡しなければなりません。でも、急な病気やケガで病院に運ばれたとき、冷静に「どこの医療保険に加入していたか」「連絡先はどこか」など思い出せる人は意外に少ないです。実際の手続きはご家族に頼らなければならないことも多いものです。医療保険や通院保障に加入したら、ご家族全体でその情報を共有し、滞りなく請求できるようにしましょう。
●保険料が高くなる
どのような保険でも、保障を充実させると保険料は高くなります。入院給付金や手術給付金など医療保険の基本的な保障のみの契約をする場合と比べ、通院保障も得たい場合は、毎月支払う保険料が高くなります。もしも「医療保険の保険料が高い」と感じているなら、通院については保障されないプランに変更する、という方法も考えられます。
医療保険や通院保障の必要性を検討しよう
入院や手術をした場合だけではなく、通院の保障も欲しい人には通院保障をつける方法があります。ただし、すべての通院が保障されるのではなく、入院の前後(あるいは入院後)の通院について保障が受けられるという商品が多いことに注意しましょう。
入院や通院が必要になった上、仕事も休まなければならない事態に備える方法は、医療保険への加入だけではありません。健康保険の傷病手当金や、収入保障保険や所得補償保険、民間の介護保険などの選択肢もあります。預貯金の状況や他の保険の加入状況などもふまえ、医療保険や通院保障が本当に必要か検討しましょう。
プロフィール
河野陽炎
3級FP技能士資格を持つライター、コラムニストとして、生命保険や医療保険、金融、経済などの執筆実績が多い。次々と発売される商品や、改正の相次ぐ税制、法律が1人の生活者にどう影響を与えるかの視点を大切にする。
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