
生命保険の見直しは離婚後では遅い!離婚する前に知っておきたい、生命保険のこと
厚生労働省が発表した調査によると、平成29年の離婚者数は212,000組。平成28年の離婚数は216,798組だったので、やや減少しているようです。しかし、婚姻数が607,000組なので約3組に1組が離婚していることになります。
離婚するときは、離婚届を出すだけでなく社会保険・厚生年金の扶養変更の手続きをするなど、やるべきことがたくさんあります。そのため生命保険についてはつい後回しにしてしまったり、忘れてしまったりしがちです。そうならないためにも、離婚したときの生命保険の変更手続きや見直しについて確認しておきましょう。すぐに必要な知識でなくても、知っておくだけでもためになりますよ。
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離婚してしまったら、すぐに生命保険の変更手続きをしよう
離婚をしたら、以下の変更手続きが必要です。変更手続きをしないと大変なことになってしまう恐れがありますので、しっかりと漏れがないように確認しましょう。
【住所や電話番号を変更する】
引越しなどで住所や電話番号が変わった場合は、手続きをしましょう。
【名義の変更をする】
契約の改姓やフリガナ訂正、性別等の変更手続きを行います。
【契約者や保険金の受取人を変更する】
契約者や保険金受取人を夫婦お互いにしている場合は、変更する必要があります。詳しくは、以下の「生命保険を見直すポイント」で説明します。
・指定代理請求人を変更する
指定代理請求人に配偶者を指定している場合は、両親などに変更する手続きを行いましょう。
・特約の型を変更する
医療、災害、がんなどを保障する特約の保障対象者を、本人型、本人・妻型、本人・子型、本人・妻子型などに変更する手続きを行います。
・保険料の引落し口座や支払い方法を変更する
保険料の振込を一緒にしているといった場合は、口座の変更をしましょう。
手続きしなければいけないことが多く大変ですが、各種の手続きをインターネットでできる保険会社もあるので、確認してみましょう。
生命保険の変更手続きを忘れてしまったら、どうなるの?
もし、離婚後も生命保険の名義変更をせずそのままにしてしまった場合はどうなってしまうのでしょうか?
・生命保険料の控除が受けられなくなる
契約者や保険受取人を変更していないと、生命保険料控除を受けることができなくなってしまいます。これは、生命保険料控除を受けるためには「保険金等の受取人の全てをその保険料等の払込みをする方又はその配偶者その他の親族とするもの」と決められているためです。
・万が一のことが起きたとき、遺族が保険金を受け取れなくなってしまう
生命保険では、被保険者が死亡した際に、保険受取人が保険金を受け取ることができます。もし変更手続きをせず、保険受取人を元配偶者のままにしてしまっていると、新しい配偶者がいてもその人が保険金を受け取る権利を得ることができず、トラブルの原因になってしまいます。
専業主婦(夫)の場合、離婚後は医療保険の保障内容を充実させよう
婚姻していたときに専業主婦(夫)だったか、共働きであったかで離婚後の保険の見直し方も変化します。
子どもがいてどちらかが専業主婦(夫)であるというように、片方の収入に頼っていた場合、収入の担い手に死亡保険をかけてることが一般的でしょう。しかし、離婚となると医療保険を見直す必要があります。専業主婦(夫)だった人は死亡保障を手厚くする必要があります。
離婚したとき、生命保険を見直すポイント
離婚するときには、今後の保険の契約内容や、保険の財産分与についても協議・検討しなくてはいけません。ここでは、生命保険を見直す重要なポイントを3つご紹介します。
⒈ 契約者と保険金受取人を誰にするのか話し合う
例えば、以下のように契約者と被保険者を夫婦で契約しているとします。
・契約者:夫
・被保険者:妻
・保険金の受取人:子ども
これを以下のように変更する必要があります。
・契約者:妻
・被保険者:妻
・保険金の受取人:子ども
そして、保険受取人を夫婦お互いにしている場合も変更が必要です。
・契約者:夫
・被保険者:夫
・保険受取人:妻
この場合も、保険受取人を子ども、もしくは夫自身に変更しておく必要があります。加入中の生命保険の契約内容を離婚前にしっかりと話し合い、手続きを行うことが望ましいです。
⒉ 貯蓄型の保険の場合は、財産分与をどうするか決める
終身保険・養老保険・学資保険は貯蓄型の保険なので、解約返戻金が支払われます。解約返戻金は、保険受取人の名義がどちらか一方だったとしても、共有財産としてみなされるものです。満期を迎えていないときでも中途解約することで解約返戻金を受け取ることができるので、これをどう分け合うか協議する必要があります。
⒊ 医療保険の見直し
親権者となった方が万が一のことに備え、子どもたちが困窮することがないよう医療保険を見直しておくことも大切です。子どもたちの生活を守れるように死亡保険には加入しておきましょう。そのほか、もし月々の支払に余裕があるのなら、死亡保険に加えて就業不能保険などにも加入しておくと、より保障が手厚くなります。子どもがいない場合は、死亡保険よりも医療保険や就業不能保険を重視したほうがいいでしょう。
現在加入している保険を確認し、自分たちの将来や現状を考えながら、今後どのような保障にしていくのか、しっかりと検討していきましょう。
現在の自分の保障内容を確認したいときは?
「離婚するから、保険も見直したい」と思ったときは、自分の保障内容の確認をしなくてはいけません。自分がどんな保険に加入していたか調べるには、加入している保険会社から届く通知ハガキで確認したり、インターネット、または電話で問い合わせることが出来ます。
正確に、かつ漏れがないように変更手続きや保険の見直しをするためにも、事前に確認しておくことが大切です。分からないことがあれば、自分が加入している保険会社に連絡してみましょう。
離婚の際には必ず生命保険の見直しを
離婚は精神的にも体力的にも負担がかかるもの。その上、役所などに提出する書類や変更手続き、会社への変更手続きや引越しの準備など、しなくてはいけないことが多くあります。すぐに生命保険まで手がまわらないかもしれません。
ですが、生命保険は万が一のときに遺産として大きく残るものです。生命保険の変更手続きを怠ることで、あとから大きな事態になってしまうこともあります。離婚前には、親権なども含めて保険内容をどうするのかしっかりと話し合うことも大事です。今後の子どもたちの生活や自分たちを守るために、必要なときはほったらかしにせず保険を見直しましょう。
プロフィール
川添典子
元ハウスメーカーの営業職として、5年間勤務。前職の経験を活かして、暮らしやお金、不動産に関するライターとして役立つ知識をお届けしています。得意分野は、不動産・住宅ローン・税金・住宅に関することです。ファイナンシャルプランナー2級と住宅ローンアドバイザーの資格を保有。
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