【レンガの町屋建築】
深谷の塚本商店さん。日本煉瓦製造株式会社に燃料の石炭を納めていた燃料屋さんだそうです。和風の様式に「うだつ」をあしらった両側のレンガ壁が特徴的です。そのレンガも当時の日本煉瓦製なので、数年前に東京駅の改修が行われた際に、関係者の方々が、レンガの視察に来られたそうです。
「うだつ」は隣地からの延焼を防ぐための防火壁のことで、(うだつがあがらないの語源です。)材料として、レンガが用いられたことも防火の面でピッタリです。
防火性は抜群なのですが、このレンガ壁と直行する壁が少ないので、揺れに弱い側面があり、昭和の初期に互いの壁をスチールバーでつなぐ補強が施されています。お隣が解体されてから、強風で建物が揺れやすくなったともおっしゃっていました。
組積造が多い西洋建築の場合は、建物の強度を保つために、外側に袖壁を設ける「バットレス」や「フライングバットレス」などの方法がありますが、間口が少ない町屋の敷地では、条件的になかなか壁をつくるのが難しいかったかもしれません。建物が並んでいるうちは、お互いの建物で共持ちしていたとも考えられます・・・。
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