今日のいってらっしゃいが最後になることもあると知った…3600万PV超【16歳で帰らなくなった弟】話題の著者インタビュー

いつも当たり前のようにそばにいた、きょうだい。いつものように家を出て行ったはずなのに…。現在保育士のきむらかずよさんが、...

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いつも当たり前のようにそばにいた、きょうだい。いつものように家を出て行ったはずなのに…。
【画像86枚】「孝、もう死んでるやん!」身元不明のままバイク事故で逝った16歳の弟。事故の瞬間何があったのか
現在保育士のきむらかずよさんが、17歳・高校三年生だった夏の暑い日、16歳の弟さんがバイク事故で突然亡くなりました。

「最後」は突然やってくる / (C)きむらかずよ

職人気質でお酒を飲むと財布のヒモがゆるくなる父、肝が据わっていてよその子でも平気でしかり飛ばす母、思春期をこじらせて素直になれない姉、そして自由奔放でヤンチャだけど誰からも好かれた弟。
そんな家族の「普通の暮らし」が一瞬にして変わってしまいます。

事故にあった弟と対面を… / (C)きむらかずよ

警察から「息子さんが事故に遭われまして…。もしかしたら容体が危ないかもしれません…」との連絡が入り、きむらさん、父と母が慌てて病院に駆けつけるも、そこには冷たくなった弟さんがいました。
実は、警察が電話してきた時にはすでに亡くなっていたのです。
現実を受け入れられない家族でしたが、事故のことは小さな地域であっという間に知れ渡り、信じていた人から無神経な言葉をかけられたり、思いもよらないようなことを言われたりすることもあったそうです。きむらさんは、「当時は崩れ行く家族をただ見ていることしかできませんでした」と語ります。

元気な16歳だったのに / (C)きむらかずよ

肉親を突然失ったある家族が、再び歩き出せるようになるまでをつづった実話コミックエッセイ『16歳で帰らなくなった弟』。WEBの連載でも3600万PV超という反響を呼び、話題を集めています。
著者のきむらかずよさんに、当時の状況や心境についてお話しを聞きました。

弟の死でバラバラになった家族が元の形に戻るまで

家族の間にぽっかり開いた穴 / (C)きむらかずよ
心のバランスを失って… / (C)きむらかずよ
先生があたたかく迎えてくれた / (C)きむらかずよ

――17歳という多感な時期に家族の死を受け止めるのは並大抵のことではなかったと思います。徐々にご自分を取り戻していくまでのことをお聞かせください。

きむらかずよ 弟の死の直後は、家族全員がバラバラの方向を向いているような感じで、両親の姿を見るのがとても辛かったのを覚えています。私は学校や友達の存在に救われていた部分が大きかったですね。学校に行ってもなんでもないように、『おはよー!』って声をかけてくれたり、一緒に泣いてくれたり、何も言わずに隣に座っていてくれたり。
両親は、周囲の人間関係に助けられていたようですね…。母と喋っていたときに、「周りの人に生かされてるな。ありがたいな」と2人で泣いた記憶があります。自分一人では立ち上がれなかったです。

友達もいつも通り / (C)きむらかずよ

私だって明日生きているかわからない。死を見つめて今日も生きる

出かけるときは必ず挨拶 / (C)きむらかずよ
最後のいってらっしゃいが言えなかった / (C)きむらかずよ
人を守る力がある言葉 / (C)きむらかずよ

――現在のきむらさん、そしてご両親はどう過ごされていらっしゃいますか?

きむらかずよ 子どもが3人いるのですが、実家の近くに住んでいて、両親に子育てを手伝ってもらったりしながらすごく穏やかに暮らしています。両親は2人ともまだまだ現役で仕事をしていますし、たまに喧嘩をすることもあるけど仲良くやっています。
『16歳で帰らなくなった弟』を描いたことで、母とたくさん話ができてより近くに感じるようになりました。本当に知らないことがいっぱいだったんです。そういう意味では、私もこの作品に助けられたんだと思います。

――家族の突然の死を経験したきむらさんが今思うこと、大切にしたいことを教えてください。

きむらかずよ 弟を亡くして以来、私の中で「死」がとても身近なものとして存在しています。だから朝、子どもにいってらっしゃいをするときは、どんなに機嫌が悪くても気持ちよく見送るようにしています。だってもしかしたらそれが最後になるかもしれないじゃないですか。
それに、子どもたちが外に遊びに行く時には、想像したくもないですが、万が一何かがあったときに誰かわからないと困るから名前の入った物を持たせるようにしています。
私自身、明日生きているかわからないというのは常に頭にあるので、エンディングノートを書いています。子どもにも「お母さんになんかあったらこのノート見てな」と伝えています。
エンディングノートを書いていると、逆に「生きること」に目が向くようになるんです。自分のことを全部使い切ってから死にたいな、じゃあどう生きるべきかなって。だから死と向き合うことは全然ネガティブなことじゃない。むしろ自分の内面が充実していくような感覚ですね。

思い出すのはなんでもない日常ばかり / (C)きむらかずよ
弟の死と向き合って / (C)きむらかずよ

きむらさんは「最後は普通の日常と地続きで突然やってくる。弟の死と向き合ったことで、誰にとっても人生は有限で今をどう生きていくかわたしにできることは何かを考えるようになった」と著書で綴られています。
いま家族がそばにいるということや、大切な人と「日常」を過ごしているということは、実はとてもありがたい時間なんだ、ということを改めて考えさせられますね。


【プロフィール】
きむらかずよ
イラストレーター。小学1年生の時にプレゼントされた漫画『うわさの姫子』に衝撃を受け、漫画やイラストを描くように。現在は3人の子育てをしながら、新米保育士としても奮闘中。交通事故で亡くなった弟のことを綴った「16歳で帰らなくなった弟」が話題に



取材・文=宇都宮 薫







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