団体信用生命保険(団信)とは?住宅ローンを組む方必見!

住宅ローンの借入を検討している人であれば、「団信」あるいは「団体信用生命保険」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。団信とはどのような生命保険なのでしょうか。またどのようなことに注意すればいいのでしょうか。今回は住宅ローンと深いかかわりのある団信について解説します。

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団体信用生命保険とは?

団体信用生命保険、通称「団信」は、住宅ローンの返済中に、ローンの契約者が死亡したり高度障害になったりした場合に、生命保険会社が住宅ローン残高に相当する保険金を支払う制度です。民間金融機関の多くは、団信の加入を住宅ローン借入の条件としています。

団信の加入が住宅ローン借入の条件である場合は、保険料は金利に含まれることが一般的です。保険料として、0.3%程度金利が上乗せされます。掛け金が安く、また年齢によって保険料が変わらない点が特徴です。

ただし、別途保険料を支払う必要のある金融機関もあるため、よく確認しましょう。たとえばフラット35の場合は、住宅ローンの返済額とは別に保険料を年に一度支払います。保険料はローン残高によって決まり、10,000,000円あたり年間36,000円の割合で計算される仕組みです。したがって、繰り上げ返済をして元金が減れば、団信の保険料も下がります。さらに早期にローンを完済した場合には、支払い済み保険料のうちで未経過の保障月数があれば、払い戻しがある点も特徴です。

なお団信の保険料は保険金の受取人が金融機関であるため、生命保険料控除の対象にはなりません。年末調整や確定申告の際には申告できませんので注意しましょう。

【団信に加入できる条件】
団信に加入できるための条件には、「満15歳以上満70歳未満であること」および「生命保険会社の加入承諾があること」が挙げられます。「生命保険会社の加入承諾」は、契約者の健康状態が良好であるかによって可否が決まります。

病気をしていて通院、投薬をしている場合は団信に加入できないことがあります。たとえば高血圧症やがん、糖尿病といった生活習慣病にかかっていると団信に加入できない可能性が濃厚です。またうつ病といった精神疾患についても、通院中・投薬中の場合は団信加入の支障になります。

【ワイド団信】
もし健康上の理由から通常の団信に加入できない場合には、引受基準が緩和された「ワイド団信」に申し込んでみるのも手です。金利が0.2~0.3%程度高くなりますが、加入できる場合があります。

ワイド団信の告知項目は通常の団信とほぼ同じです。「3か月以内に医師の診察を受けていないか」、「3年以内に2週間以上の治療をしていないか」、「障害はないか」といったことを問われます。「一般の団信に比べてこの程度入りやすい」というはっきりとした基準はありませんが、引受範囲が広いため通りやすいという認識を持っていてよいでしょう。

ワイド団信は、年齢制限が50歳までと狭まっている点が特徴です。条件が合えば活用してみるとよいでしょう。

【団信と連帯債務者の関係】
夫婦共働き世帯や親子で住宅ローンを借りる際は、ローン契約の仕方と団信の入り方に注意が必要です。

夫と妻、または親と子がそれぞれ住宅ローンを借り、それぞれが団信に加入した場合は、たとえば夫に万が一のことがあった場合、夫の分のローンは団信で完済されますが、妻の分のローンは残ってしまいます。親子の場合も同様です。

夫または妻がローンを借り、もう片方が連帯債務者となって、主債務者のみ団信に加入している場合は、主債務者に万が一のことがあった場合は、住宅ローンは団信で完済されますが、連帯債務者に万が一のことがあっても住宅ローンはそのまま残ります。親子の場合も同様のことがいえます。

以上2つのケースでは、収入合算などをして多めのローンを組んでいる場合、片方の収入がなくなるとローンの返済が苦しくなったり、生活が圧迫されたりする可能性があります。共働き世帯でローンを組む際のリスクとして認識しておきましょう。

夫婦共働き世帯でローンを組み、団信に加入する場合のリスクについては、フラット35を借入れ、機構団信の「デュエット(夫婦連生団信)」に加入することで対処可能です。この場合だと、主債務者・連帯債務者のいずれかに万が一のことがあった際には、不動産の持分や返済額にかかわらず、住宅ローンがすべて相殺されます。ただし、保険料は単独加入の約1.56倍になる点は留意しておきましょう。以上2つのケースでは、収入合算などをして多めのローンを組んでいる場合、片方の収入がなくなるとローンの返済が苦しくなったり、生活が圧迫されたりする可能性があります。共働き世帯でローンを組む際のリスクとして認識しておきましょう。

【他の生命保険との兼ね合い】
すでに他の生命保険に加入している場合は、そのなかに住宅資金の保障額が含まれているかどうかをチェックしましょう。もし含まれている場合は保障が重複していることになります。住宅ローンの借入を機に、生命保険の見直しも行っておいてください。

就業不能状態になった場合はどうする?団信で気をつけるポイント

冒頭で述べたとおり、住宅ローンの契約者が死亡したり高度障害状態になったりした場合は、団信が支払われてローンは完済になります。ただしその他の理由で長期間働けない状態になった場合には、団信は支払われません。就業不能状態にあっても住宅ローンを返済し続けなければならない点に注意が必要です。

以下で、就業不能状態になった場合の住宅ローン対策についてご紹介しましょう。

【疾病特約付きの団信】
最近では、通常の団信の保障に加え、特定の疾病に対する特約付きの団信も多く出ています。たとえば、三大疾病保障は「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」になった場合、住宅ローンの残高を団信が支払ってくれるものです。ほかにも七大疾病特約や11大疾病特約といったものがあります。

保険金の支払いについてはいくつかのパターンがあります。ひとつは、指定の病気になったらすぐに保険金が支払われ、住宅ローンが完済されるものです。一方、一定期間は毎月のローン返済額分だけ保険金が支払われ、その状態が続いたらローン残高が清算されるものもあります。

なお一般の生命保険とは違い、あくまでローン残高を支払ってもらえる制度ですから、入院や手術の際に保険金は出ません。一般の生命保険・医療保険における補償内容との違いをはっきりさせておきましょう。

【傷病手当金】
協会けんぽや共済組合の加入者であれば、病気やケガで仕事を4日以上休んでいる場合に、傷病手当金を受け取れます。生活費を工面しつつローンを返済するのに役立つでしょう。

傷病手当金の受取額は、以下のように計算します。
1日当たりの金額=(支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額)÷30日×3分の2

なおひとつの病気やケガについての傷病手当金支給期間は、支給を開始した日から最長1年6か月間です。やや期間が短い点には注意しておくべきでしょう。

【債務返済支援保険】
債務返済支援保険とは、病気やケガのため長期間就業不能状態になった場合、住宅ローンの契約者を被保険者として、一定期間、契約で定められた金額を補償する制度です。保険契約者は銀行などの金融機関、被保険者は住宅ローンの契約者であり、団体契約であることから、保険料が割安になっています。

なお、「就業不能状態」とは入院の場合だけでなく、医師の指示による自宅療養の場合も指します。

債務返済支援保険は、一般的に保険の対象外となる免責期間が30日程度設定されています。したがって保険金が支払われるのは、就業不能状態になってから30日を過ぎたあとです。支払われる保険金の額は、契約時に被保険者が設定し、それによって月々の保険料も変わってきます。なお団信の疾病特約とは違い、保険金はローンの返済以外の生活費などにあてても問題ありません。

債務返済支援保険は住宅ローン加入時だけでなく、返済の途中でも加入が可能です。健康であることが必須ですが、家計が落ち着いてから加入を検討してもよいでしょう。

【就業不能保険】
一般の保険会社が展開している就業不能保険も、傷病による就業困難状態に備える対策として有効です。

就業不能保険における就業不能状態については、入院または自宅療養している期間の指定などが保険会社によって異なります。よくチェックしてから加入するようにしましょう。

就業不能保険の特徴は、最長支払期間が65歳までとなっていることが一般的です。最長支払期間が2年程度の所得補償保険よりも支払期間が大幅に長い点がポイントだといえるでしょう。

就業不能保険では、60日程度の支払対象外期間ののち、保険金の支払いが開始されます。保険金の額は契約時に設定しましょう。返済額が増えた場合にも備えて保険金を設定しておくのがおすすめです。

住宅ローンを団信なしで借りる方法はある?

健康状態などが理由で、団信に加入できないこともあるかと思います。その場合にも住宅ローンは借りられるのでしょうか。

以下で、団信なしで住宅ローンを借りる方法とその注意点をご紹介します。

【フラット35など】
一部の民間金融機関とフラット35では、団信への加入が任意となっています。つまり加入が必須条件ではないということです。

フラット35には、団信加入が不要であるほかにも、借入者の勤続年数などが問われなかったり、年収が低めでも借りやすかったりするという特徴があります。また借入に際して保証人および保証料は必要ありません。

ただし、一般的な住宅ローンよりも担保評価が厳しくなっています。建物の土台・基礎の安全性や住宅の耐久性といった、住宅金融支援機構の技術基準をクリアしなければなりません。フラット35を借入れることを検討する場合は、購入を予定している物件が技術基準を満たすかどうか、不動産業者や施工業者に確認しておきましょう。

なおフラット35の技術基準に加え、耐震性や省エネルギー性などにすぐれた住宅を購入する場合には、「フラット35S」が利用できます。一定期間フラット35の金利を引き下げられるため、基準をクリアできそうな場合は活用してみるとよいでしょう。

【団信に加入しない場合の注意点】
団信に加入しない場合は、万が一のことがあっても、住宅ローンは相殺されない点には注意しておきましょう。ローン契約者が死亡または高度障害になった場合にも、住宅ローン遺族が返済し続けなければなりません。

団信に加入しない場合に、万が一に備えるための対策としては、まず加入済みの生命保険が十分あるかを確認することが必要です。万が一のことがあった場合も、生命保険の保険金で住宅ローンを返済できるでしょう。団信なしで住宅ローンを借りる場合は、どれだけの保険があるかを確認してから申し込むようにしてください。

また返済にあてられる貯蓄をしておく必要もあるでしょう。さらに世帯で収入を増やせるよう考えておくことも必要です。

このような対策に加え、誰が責任を持って返済の継続を行うのかといったこともはっきりさせておくべきでしょう。

まとめ

今回は、住宅ローンを借入する際に加入が条件となっていることの多い団体信用生命保険(団信)について解説しました。いかがでしたか。団信は加入できないこともありますし、また加入してもすべてをカバーしてくれるわけではありません。今回ご紹介した内容を参考に、団信にきちんと入れるかどうか、団信がカバーしてくれない部分にどう備えるか、また団信には入れなかった場合はどうするかといったことを考えて、住宅ローンの借入に臨んでください。

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