深みを増したからこそ信頼し合えるふたりの関係【篠原涼子さん・西島秀俊さんインタビュー】

日々、子育てに追われていると、つい当たり前の幸せを見逃しがちですが、そんなときにこそ観ておきたい映画といえば、話題のヒューマンミステリー『人魚の眠る家』。本作では、ある事故によって我が子の悲劇に直面する夫婦の姿が描かれています。今回、鬼気迫る愛で娘を守り抜こうとする母親役には篠原涼子さん、そして妻の様子に苦悩する父親を西島秀俊さんが演じています。そこで、おふたりに本作を通して感じた思いから、ご自宅での過ごし方まで、幅広く語っていただきました。

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自分が親であるからこそのやりがい

――まずは題材的にもいろいろな思いを持って現場に入られたと思いますが、どのようなお気持ちで挑まれましたか?

篠原涼子さん(以下、篠原さん):今回の薫子という役を演じるにあたって、堤幸彦監督から言われていたのは、「薫子はすごく芯の強い女性なので、そこだけは守って欲しい」ということ。そのあたりは私自身も母親として同じところがあるなと思ったので、やりがいを感じました。そしてすごく感動的な内容でもあったので、「早く演じてみたい」という気持ちの方が強かったですね。

――ご自身もお子さんがいらっしゃるという意味では、共感される部分も多かったのではないでしょうか?

篠原さん:なるべく自分のプライベートと重ね合わせないようにしてはいましたが、演じるうえでは、自分自身も母親であるというところは隠し切れなかったと思います。特に、子どもへの想いの伝え方や抱きしめ方というのは、実際に自分の子どもと向き合って抱きしめたり、寝かしつけたり、といったことを日ごろしているおかげで、共感する部分もありました。それは、昔だったら想像だけでわからなかったことかもしれないですね。

――西島さんは台本を読まれたときに、どのようにお感じになりましたか?

西島秀俊さん(以下、西島さん):いわゆる「難病もの」と括られる作品とは違うこともあり、とにかくすごい展開なので、あっという間に読み終わりました。そこで、ぜひやらせていただきたいという気持ちになりましたが、それと同時に、これだけの深い人間ドラマを自分が演じ切ることができるのかというハードルの高さに臆した部分もありました。ただ、僕自身が人生で経験してきたことがこの作品ではプラスになるかもしれないと感じるところもあったので、やはり参加したいと思うようになりました。

自分も同じ立場になったら一線を越えてしまうかもしれない

©2018「人魚の眠る家」 製作委員会

――おふたりも同じ子を持つ親としては、「自分だったらどうするか?」という問いに向き合うことになったのではないでしょうか?

篠原さん:「もし自分が薫子の立場になったら……」と考えたとき、私も同じことをするだろうなと思います。というのも、今回はクランクイン前にご病気を抱えたお子さんがいらっしゃるお宅にお邪魔させていただいたのですが、ひとつひとつを目の当たりにしたときに、私も「子どもの成長を見届けたい」という気持ちが一番強いと感じたからなんです。

西島さん:僕も、もし自分がその状況に置かれてしまったら、劇中でも描かれているようにやれることは全部するだろうなとは思いましたね。人としての範囲を超えてしまうこともあるかもしれないですが、一線を越えてしまう気持ちというのもすごく理解できますし、個人的にはとても共感しました。

――少しずつ常軌を逸していく妻を見つめる夫の目線も印象的に感じましたが、どのような意識を持っていましたか?

西島さん:夫婦の形はいろいろあるので一概には言えないですが、この夫婦の場合は、父親の方が「社会から家族を守る」という一種の愛情を持っているんだと思います。もしかしたら、それは典型的な男性の愛情表現なのかもしれないですけど。ただ、今回のテーマとしては、社会も何も関係なく、子どもにすべてを捧げる母親の愛情というものが非常に感動的だと感じました。

昔から篠原さんには振り回される関係!?

――これまでに何度か共演されたこともあり、夫婦役も演じられたことがあるおふたりですが、今回はお互いにどのような印象を抱かれましたか?

篠原さん:西島さんは深みのある俳優さんだと思っていますが、それがどんどん増していっている感じがありますよね。一緒にお仕事をさせていただくうえで、やりがいもありますし、ものすごく助けられていると思っています。すごく上手な俳優さんなので……って、私、上から目線で言ってますよね(笑)。でも本当に、一緒に演じていると自分も上手になっていく感じなんです。お仕事をご一緒して勉強になる方はたくさんいますけど、西島さんもそのひとり。今回は実生活でそれぞれ結婚して、子どもがいるなかでまた夫婦役を演じることができたので、本当に楽しかったです。

西島さん:これまで篠原さんとの共演では、最初はアルコール依存の妻に大変な目に遭わされて、次は撃ち殺されるという役どころでしたが、今回は罵倒されるシーンも……。僕はわりと周りをめちゃくちゃにする役も多いんですけど、なぜか篠原さんのときは必ず振り回される側という関係性なんですよね(笑)。

篠原さん:だから、西島さんと一緒の作品だと、すっごく気持ちいいんですよ(笑)。初共演から10年以上経っていますけど、これからもずっと振り回させていただきたいです! あと10本くらいは一緒の作品に出たいですね。永遠に追いかけていきますから(笑)。

西島さん:そうですね(笑)。でも、そんな風にいろんな段階を経てずっと共演できているというのはすごくうれしいですし、そのときどきで篠原さんが女性としても人間としても、深みを増しているのはすごいなと思います。今回も演技を超えた存在として現場にいらっしゃったので、それには圧倒されましたね。

西島さんは子どものツボを押さえた面倒見のいいお父さん

――娘と息子を持つ親ということで、子役たちとのシーンも多かったですが、子どもたちとはどのように接するようにしていましたか?

篠原さん:2人とも賢いんですけど、すごく子どもらしくてかわいらしい子たちでした。私には娘がいないので、「女の子はピンク色がかわいいな」とか「いい匂いがするな」とか、新鮮でしたね。撮影中は自分の息子と会える時間が少なかったですし、男の子の扱いには慣れているので、息子役の汰鷹くんをずっとだっこして癒されたりもしていました。娘役の来泉ちゃんは西島さんのことが大好きで、ちょっと私をライバル視しているところがあったかも?(笑) 西島さんは本当に面倒見がよくて、子どものツボを心得ているので、飽きさせることなくずっと遊んであげていてすごいんです。

西島さん:自然と子どもたちと本当の家族みたいになれたのは、この作品にとってはよかったと思います。わざわざそうしようと思ったわけではないですが、家族役ではないはずの坂口健太郎くんも含めて家族みたいでしたし、その様子を松坂慶子さんが遠くでニコニコしながら見守ってくださっているのも、とてもいい雰囲気だったと思います。

自宅でくつろぎを感じる瞬間とは?

――おふたりとも、とにかくお忙しい日々をお過ごしだと思いますが、家でくつろぐための空間づくりなどでこだわっていることはありますか?

西島さん:インテリアには特に強いこだわりはないのですが、最近はアウトドア系の動画をよく見ていて、アウトドアグッズを好んで買いますね。徐々に寒くなってきていますが、天気のいい日はベランダにキャンプ用のイスを出してのんびりしたり、コーヒーを飲んだりしています。

――実際にアウトドアグッズを持って遠出されることもありますか?

西島さん:本当は行きたいんですけど、時間が全然ないので実は1度も行けてないんですよ。だから、せめて自宅でそういう気分を味わいたいなと思って(笑)。キャンプにも行けたらいいですね。

――ということは、アウトドア派なんですか?

西島さん:いえ、まったくのインドア派です(笑)。ただ、アウトドアやキャンプの動画にはおもしろいものがたくさんあって、ついつい見てしまうので、いつか行きたいなとは思っています。

――篠原さんは、ご自宅にお気に入りの場所などはありますか?

篠原さん:リビングのソファですね。最近購入したばかりのソファが気に入っているんですけど、L字で幅が広くて、背もたれも高くてゴロンとできるので、子どもが寝たあとにハーブティーを入れて、映画を観ながらそこでくつろぐのが好きな時間です。

ただ切ないだけではないおもしろさと感動を味わって欲しい

――それでは最後に、これからご覧になる方に向けてそれぞれ見どころなどをお願いします。

篠原さん:題材としては難しいところもあるかもしれませんが、ただ切なくて悲しいということではなく、どういう展開になるかわからないハラハラドキドキ感もあり、それこそが作品の魅力だと思っています。子どもが困難な状況に陥ってしまうのを見るのは辛いと思われがちですが、そうではなく、家族が一丸となる希望や夫婦がまた絆を取り戻そうとするところが描かれていて、いろんな人の解釈が生まれる作品です。すごく泣ける話でもあるので、思いっきり感動を体感しにぜひ劇場へ来てください。

西島さん:この映画は究極の母の愛の話ですが、「最後は一体どうなるんだろう?」というサスペンスの部分も堪能できる作品にもなっています。さすが東野圭吾さんだなと唸るくらい誰もが納得する結論にたどり着きますし、そこにはすごい感動もあるので、そういったエンターテインメント作品としてもお楽しみください。

映画『人魚の眠る家』作品詳細

©2018「人魚の眠る家」 製作委員会

2018年11月16日(金)から全国公開
●監督:堤 幸彦
●脚本:篠﨑絵里子
●原作:東野圭吾『人魚の眠る家』(幻冬舎文庫)
●出演:篠原涼子、西島秀俊、坂口健太郎、川栄李奈、田中泯、松坂慶子
●配給:松竹

●取材、文:志村昌美
●写真:土佐麻理子

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