藤岡みなみ|縄文時代の中でも珍しいDIYに挑戦【思い立ったがDIY吉日】vol.88

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文筆家・ラジオパーソナリティの藤岡みなみさんが、モノづくりに対してのあれこれをつづるコラム連載!題字ももちろん本人。かわいくも愉快な世界観には、思わず引き込まれちゃいます。今回は、縄文時代のDIYについて!

藤岡みなみ
文筆家。暮らしの中の異文化をテーマにした『パンダのうんこはいい匂い』(左右社)が発売中。
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縄文時代の中でも珍しいDIYに挑戦

 ▲定期的にやりたい、無心のやすりがけ。

 

 

縄文時代を好きになって10年。

 

ある日、お気に入りスポットである函館市縄文文化交流センターに行くと、学芸員の方から「いいものありますよ」と小袋を手渡された。

 

中には、戸井貝塚から発見された角偶のようなものが入っていた。

 

土偶ではなく角偶。

それはシカの角を削って作られた、人の形をした珍しい遺物である。

 

全身に水玉模様があり、とぼけた表情で立っているように見えて縄文ファンの間でも人気が高い。

 

「角偶を作れるキットです。特別にさしあげます」

学芸員さんはにやりと笑った。

 

 

 ▲好きな人にはたまらないDIYキット。

 

 

本物のシカの角を角偶の形にカットしたものと紙やすりがセットになっている。

 

マーカーでガイドしてある線に合わせて削れば、自分だけの角偶が完成する。

 

あの角偶をDIYできるだと……?

私は静かに興奮した。

 

大事に持ち帰り、自宅でさっそく作業を開始。

 

添えられていた究極に粗目の紙やすりで削っていく。

 

シカの角は硬く、特に足の指の部分が細かくて難しい。

 

やすりを持たない縄文人にとってはさらに根気のいる作業だっただろう。

 

縄文人の人形への執着心みたいなものを、DIYによって現代の私の体でなぞる。

 

没入すればするほど魂が込められる気がする。

 

できあがった角偶は我が子のようにかわいく、そのあとポケットに入れて散歩に連れていったのだった。

 

 

 ▲持ち歩きにぴったり、と縄文人も思ったかも。

 

 

 

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