厚生年金でも「ひと月15万円未満のケース」男女それぞれ何パーセントか

年金をいくら受け取れるか、その年金だけで暮らしていけそうか。これらは老後の暮らしを考える上で最も気になる部分です。今回は、ひと月の年金が15万円以上の人の割合や、老後の収入に関するデータを見ていきます。

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年金が収入に占める割合の平均は「6割」という現実

「年金生活」という響きに、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

悠々自適な暮らしを想像する人、漠然とした不安を覚える人、それぞれかと思います。

「年金をどのくらい受け取れるか、そして年金だけで暮らしていけそうか」。これらは老後の暮らしを考える上で、とりわけ気になる部分ではないでしょうか。

老後に必要な生活費は世帯の状況により異なりますが、総務省の家計調査報告の結果によると、65歳以上の単身無職世帯の月の支出は「14万4747円」でした(※)。

今回は、こちらの「約15万円」を一つの目安として、ひと月の年金がこの金額を超えている人はどのくらいいるのかを見ていきます。

※総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」

【注目記事】働き続けるか、もう辞めるか。65歳時点の平均余命は約20年間「65歳以上・無職世帯」の貯蓄はいくらか

1. 【厚生年金・国民年金】公的年金制度のおさらい

さいしょに、日本の公的年金制度のしくみをおさらいします。

1階部分は「国民年金」、2階部分は「厚生年金」

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

日本の年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」から成り立つため、「2階建て制度」などといわれますね。

1.1 1階部分:国民年金(基礎年金)

1階部分にあたる国民年金は、年金制度のベース部分で「基礎年金」とも呼ばれます。国内に住む20歳から60歳までの方に加入が義務づけられており、年金保険料は一律です。

国民年金保険料を40年間(480月)支払った場合、老後に満額を受け取ることができます。保険料の未納月に応じて、満額から差し引かれて支給されます。

1.2 2階部分:厚生年金

2階部分にあたる厚生年金は、会社員や公務員などのサラリーマンが、国民年金に上乗せで加入します。年金保険料は収入に応じて決まり、給与からの天引きで納付します。

現役時代に納めた保険料が多いほど、老後に受け取る年金額も増えます。年金加入期間とともに在職中の収入が、将来の年金額を左右するのです。

2. 【厚生年金の平均月額】月15万円は何パーセントか

ここからは、厚生労働省が公表する「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金の平均月額や受給額の分布を見ていきます。

冒頭でフォーカスした「15万円」を受け取っている人の割合にも注目してみましょう。

なお、こちらの「厚生年金保険(第1号)」の年金月額には、国民年金の金額も含みます。

【男女全体】厚生年金保険(第1号)受給額分布(出所:厚生労働省)

出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

2.1 厚生年金の平均年金月額

男子:16万4742円

女子:10万3808円

男女全体:14万4366円

男女全体の平均月額は14万4366円。と目安の15万円には届いていません。15万円を超えているのは全体の46%と半分に満たないことが分かります。

3. 【グラフで見る】男女別・厚生年金保険(第1号)受給額分布

厚生年金保険(第1号)の平均年金月額は、男女で6万円ほどの差があることが分かりました。

今度は、さきほどの表をグラフ化したものを見てみましょう。視覚的にも、その男女差を把握しやすいかと思います。

【厚生年金・男女差まるわかり】ひと月の年金額の分布

出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

3.1 【男性】厚生年金の年金月額・1万円刻みで受給権者数をチェック!

1万円未満:7万2507人

1万円以上~2万円未満 1万2071人

2万円以上~3万円未満 5395人

3万円以上~4万円未満 1万170人

4万円以上~5万円未満 3万714人

5万円以上~6万円未満 6万7421人

6万円以上~7万円未満 16万3063人

7万円以上~8万円未満 24万4810人

8万円以上~9万円未満 24万2657人

9万円以上~10万円未満 27万3243人

10万円以上~11万円未満 35万350人

11万円以上~12万円未満 43万8683人

12万円以上~13万円未満 51万8659人

13万円以上~14万円未満 60万8992人

14万円以上~15万円未満 70万4371人

15万円以上~16万円未満 79万3583人

16万円以上~17万円未満 88万4219人

17万円以上~18万円未満 94万8543人

18万円以上~19万円未満 94万2288人

19万円以上~20万円未満 87万9047人

20万円以上~21万円未満 75万7129人

21万円以上~22万円未満 59万345人

22万円以上~23万円未満 41万4195人

23万円以上~24万円未満 28万2665人

24万円以上~25万円未満 19万63人

25万円以上~26万円未満 12万1426人

26万円以上~27万円未満 7万5194人

27万円以上~28万円未満 4万4547人

28万円以上~29万円未満 2万2741人

29万円以上~30万円未満 1万807人

30万円以上~ 1万6346人

男性のボリュームゾーンは15万円~20万円未満となっています。

男性で15万円以上受け取っている方の割合は約65%ですが、3人に1人は受け取れていません。

3.2 【女性】厚生年金の年金月額・1万円刻みで受給権者数をチェック!

1万円未満:2万8004人

1万円以上~2万円未満 6884人

2万円以上~3万円未満 6万1267人

3万円以上~4万円未満 10万9541人

4万円以上~5万円未満 9万4941人

5万円以上~6万円未満 10万3206人

6万円以上~7万円未満 23万8112人

7万円以上~8万円未満 44万9205人

8万円以上~9万円未満 69万2135人

9万円以上~10万円未満 85万2017人

10万円以上~11万円未満 76万8808人

11万円以上~12万円未満 57万9740人

12万円以上~13万円未満 40万7435人

13万円以上~14万円未満 28万8035人

14万円以上~15万円未満 20万8976人

15万円以上~16万円未満 15万2367人

16万円以上~17万円未満 10万9888人

17万円以上~18万円未満 7万5929人

18万円以上~19万円未満 5万1905人

19万円以上~20万円未満 3万7458人

20万円以上~21万円未満 2万4850人

21万円以上~22万円未満 1万6796人

22万円以上~23万円未満 1万976人

23万円以上~24万円未満 6934人

24万円以上~25万円未満 3951人

25万円以上~26万円未満 2188人

26万円以上~27万円未満 1098人

27万円以上~28万円未満 516人

28万円以上~29万円未満 208人

29万円以上~30万円未満 144人

30万円以上~ 375人

女性のボリュームゾーンは5万円~10万円未満です。15万円以上受け取っている方の割合は約9%と、同じ厚生年金でも男女間で受給平均は大きく変わります。

厚生年金の場合、現役時代の稼ぎや勤続年数により、老後の受給額に個人差が出ます。ご自身がどのくらい年金を受け取れそうか、ねんきん定期便やねんきんネットで把握しておきましょう。

4. 【年金生活】公的年金が収入に占める割合は何パーセント?

ここからは、シニア世帯の収入の内訳をみてみましょう。年間収入のうち、年金が占める割合は何パーセントほどなのでしょうか。

高齢者世帯の年収と、年収に占める年金の割合を厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」を参考に確認します。

資料によると、高齢者世帯の平均所得は332万9000円でした。

年金世代の年間所得は、300万円前後で推移

厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」

高齢者世帯の総所得は、2011~2020年まで300万円台前後で推移しています。

年金世代「収入の何パーセントが公的年金なのか」

厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」

同調査より、総所得の内訳を見ると、年金は207万4000円と全体の62%にとどまります。

公的年金で不足する部分は、働いて収入を得る、貯蓄を切り崩す、資産運用などによる不労所得を得る、などでカバーしている様子がうかがえますね。

ただし、こちらはあくまでも平均値。老後に必要な生活費はライフスタイルや健康状態により世帯差が出ます。

とはいえ、「年金だけで」暮らしていくのが難しい世帯は決して少数派ではないでしょう。

5. 「老後の収入」を見据えた準備は、早めのスタートを意識して

今回は、厚生年金を「ひと月15万円以上」を受け取る人の割合を男女別に見たあと、高齢者世帯の年収に関するデータも確認しました。

高齢者世帯の収入のうち、年金が占める割合は平均約60%。公的年金以外の収入源の確保は暮らしの安心に直結するものといってよいかもしれません。

働き盛りの現役世代のころから、「長く働き続ける努力」「老後資金の準備」「不労所得が入る工夫」といった、老後対策が求められるでしょう。

働くためには心身の健康がたいせつです。ときに数千万円ともいわれる老後資金はコツコツと時間をかけて貯めていく必要があります。

iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)や、つみたてNISAといった税制優遇制度にも目を向け、上手にお金を貯めて増やしていけるとよいですね。

参考資料

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2021年12月)」

厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」

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