地震保険はどうやって査定される?査定のポイントや保険金の基礎知識をご紹介

発生した地震によって、建物や家財が何らかの損害を受けたときに補償してくれる地震保険。地震保険では地震以外に、津波や噴火によって発生した損害も対象となります。また、自然災害によって火災が発生した際にも、火災保険ではなく地震保険がその被害を補償します。日本に住んでいるならば、ぜひとも加入しておきたい保険の1つと言えるでしょう。ところで、そんな地震保険の査定方法をご存じでしょうか? 今回は地震保険の査定方法などをご紹介します。

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補償の対象となる家財は?

家財とはいわゆる「家具」のことであり、テレビやソファ、冷蔵庫、電子レンジなどが当てはまります。

また、机や本棚、衣類、仏壇、骨董品なども家財に含まれます。

地震保険では、これら家財に関して補償対象と補償対象外の2つに分けられています。

基本的には家にある家具のほとんどが補償対象ですが、自動車や300,000円を超える家財は補償対象外です。

自動車については、自家用・社用問わず補償してもらえません。300,000円を超える家財としては宝石や骨董品、美術品、有価証券などが挙げられます。

また、店舗や事務所にある家財も地震保険の補償対象外です。

例えば店舗の商品や製品、設備などに関しては地震保険が適用されません。これらの補償対象の基準は、保険会社の規定ではなく「国の規定」により定められています。

【家財査定による分類】

地震保険の家財査定は以下の5つのジャンルに分けられています。

・食器陶器類
・電気器具類
・家具類
・その他身の回り品
・衣類寝具類

そして上記それぞれを細分化して、さらに項目ごとに分けられています。電気器具類であれば以下の項目が挙げられます。

・テレビ
・パソコン
・冷蔵庫
・電子レンジ
・洗濯機
・エアコン
・掃除機
・ステレオ など

上記のように項目ごとに分けて、「いくつ損害が生じているか?」といった加算方式で数えます。加算方式に関しては、後述で詳しくご紹介していきましょう。

家財では購入金額や購入時期ではなく、「家財が何種類壊れてしまったのか?」という部分が重要になってくるので覚えておきましょう。

地震保険の仕組みを把握しよう! 保険金に関する基礎知識

地震保険では、一定の基準に達した場合にのみ保険金が支払われます。2016年12月までは、一定の基準が以下の3区分に分けられていました。

・全損
・半損
・一部損

しかし、2017年1月に制度が改定されたことによって、上記の3区分が以下のように変更されています。

・全損
・大半損
・小半損
・一部損

【保険金支払いの目安】

それでは上記の区分のいずれかに認定された場合、保険金は実際にいくら支払われるのでしょうか?

・全損
地震保険の保険金額×100%
(限度額は時価額の100%)

・大半損
地震保険の保険金額×60%
(限度額は時価額の60%)

・小半損
地震保険の保険金額×30%
(限度額は時価額の30%)

・一部損
地震保険の保険金額×5%
(限度額は時価額の5%)

上記の時価額については、以下の式によって算出することができます。

■時価額=(家財の再購入に必要な金額)-(経過年数などにより劣化した家財の価値)

【家財の4区分認定】

どのような家財であっても、被害を受ければ上記の区分に認定されるわけではありません。認定されるには、以下のように損害額と時価額の比率が重要なポイントになります。

・全損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の80%を超えた場合

・大半損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の60%~80%未満になった場合

・小半損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の30%~60%未満になった場合

・一部損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の10%~30%未満になった場合

つまり、地震保険では損害額が家財全体の時価額の10%を超えない限りは、補償の対象外になってしまいます。このようなケースでは、仮に地震保険に加入していても保険金が支払われないため注意してください。

【保険金が支払われないケース】

上記の区分に該当しても、保険金が支払われないケースもあるので要注意です。

地震などの災害が発生した翌日から11日が経過している場合は、その後に損害を受けても補償の対象には含まれません。つまり、災害発生から10日以内が補償の対象です。

例えば、1月1日に地震が発生したと仮定します。

この場合は翌日の1月2日から数えて10日後が1月11日となりますが、それまでは損害補償の期間です。1月12日以降に家財が壊れても、地震保険の損害対象外となってしまいます。

また、紛失や盗難によって生じた損害の場合でも、保険金が支払われません。緊急事態であっても、このようにきちんと保険金支払いの条件が定められています。泣き寝入りしないように十分気を付けてください。

【保険金が削減されるケース】

地震の規模によっては、保険金が全て支払われない場合もあるため覚えておきましょう。

2016年9月時点では、損害保険会社全社で算出された1回の地震等による保険金総額が「11,300,000,000,000円」を超えた場合、保険会社は保険金を削減できることが定められています。

また、頻繁に起こった地震による損害に関しては、72時間以内の地震をまとめて「1回」と数えられます。

複数回の地震による影響で家財が損傷しても、72時間以内ならば1回とカウントしてチェックされるのが地震保険です。

建物の査定ポイントを把握しておこう!

地震保険の加入対象は居住用の建物です。

したがって建築物にも保険は適用されますが、家財とは査定方法が異なるので注意が必要です。査定の上限については建物が50,000,000円、家財が10,000,000円となります。

【建物の査定方法】

柱や外壁、屋根、基礎など、主要構造部の損害が「各主要構造部においてどれくらいの割合で損害を受けたのか?」がチェックされます。以下では、一戸建ての建物を例に挙げて見ていきましょう。

例えば「地震により外壁に亀裂が入った」と仮定します。このとき、「外壁全体と比較して、亀裂の大きさはどの程度なのか?」を確認するのが建物の査定方法です。損害が主要構造部の3%以上に及ぶと一部損と判断されます。

【建物の4区分認定】

家財の場合と同様に、地震保険では建物に関しても以下の4区分に分けられています。

■全損
1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の50%を超えた場合
2.延床面積の70%以上の床が、災害によって流失や焼失してしまった場合

■大半損
1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の40%~50%未満になった場合
2.延床面積の50%~70%未満の床が、災害によって流失や焼失してしまった場合

■小半損
1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の20%~40%未満になった場合
2.延床面積の20%~50%未満の床が、災害によって流失や焼失してしまった場合

■一部損
1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の3%~20%未満になった場合
2.地盤面より45cmを超える浸水が発生し、建物に損害を受けたとき
3.床上浸水によって建物に損害を受けたとき

【建物査定の注意点】

門や塀、給排水設備など、主要構造部に該当しない部分だけが損害を受けても、残念ながら補償されません。

地震保険の補償対象となるのは、建物を支える主要構造部です。主要構造部に問題がなければ、それ以外の構造部が損害を受けても保険が適用されないため注意してください。

【家財の査定方法】

では、次からは査定の際に行われる「加算方式」について以下で詳しく見ていきましょう。

例えば「地震によりテレビ1台、パソコン1台が壊れてしまった」と仮定します。電気器具類には以下の項目がありました。

・テレビ
・パソコン
・冷蔵庫
・電子レンジ
・洗濯機
・エアコン
・掃除機
・ステレオなど

これらの項目のうち、何か1つでも使用不能になっていれば損害割合を2.5%と計算します。今回のケースではテレビ1台とパソコン1台が壊れてしまったため、「2.5%×2=5.0%」が損害割合です。

次に、テレビとパソコン以外にも「お皿が2枚割れてしまった」「食器戸棚1つが壊れてしまった」と仮定します。

電気器具類は損害割合を1つ2.5%で計算していましたが、食器陶器類なら1つ1.0%、家具類なら1つ4.0%で計算します。

お皿は食器陶器類のため「1.0%×2=2.0%」

食器戸棚は家具類のため「4.0%×1=4.0%」

と計算できます。
以上より、上記の例の損害割合は

「5.0%+2.0%+4.0%=11.0%」となります。

損害割合の合計が10%以上30%未満であれば、「一部損」として地震保険金額の5%が適用されます。今回のケースでは11.0%のため、一部損として認定されるはずです。

【家財査定の注意点】

家財の査定はその場で行われます。説明や保険金の支払い額に問題がなければ、必要書類に署名して地震保険金支払いの手続きへと移ります。

損害認定については、鑑定人によって基準が変わることもあるでしょう。

大したことのない被害であっても、鑑定人によっては一部損の認定基準を満たす可能性があります。

そのため地震保険に加入している方は、とりあえず家財査定を申請してみることが望ましいでしょう。

また、損害状況を撮影しておくことも大切です。家財では紛失や盗難の補償が適用されません。保険金の請求にも役立つため、映像としてしっかり残しておきましょう。

マンションの地震保険での査定基準・査定方法は?

マンションは一戸建てとは異なり、同じ建物内に複数の居住者がいます。では、マンションはどのような方法で査定されるのでしょうか?まずは、マンションの「専有部分」と「共用部分」について理解を深めましょう。

【専有部分】

専有部分とはいわゆる居住空間のことです。厳密に言えば、コンクリート表面から部屋側の空間を指します。

【共用部分】

共用部分は専有部分以外の場所であり、エントランスやエレベーター、屋上などが該当します。

ベランダやバルコニー、窓、サッシ、玄関ドアも共用部分です。マンションの地震保険が適用されるのは専有部分であり、査定箇所が限定されるため注意しましょう。

【一戸建てと異なる査定ポイント】

共用部分の損害に関しては、原則話し合いが求められます。

また、注意しなければいけないのが「共用部分の損害区分が決まると、専有部分も同じ損害区分になる」という点です。

マンションの地震保険ではマンション全体の損害状況、すなわち「共用部分の損害の程度」によって判定されます。

もし建物の自分の専有部分が「大半損認定」であったとしても、共用部分が小半損の認定をされた場合、専有部分も「小半損」と判断されてしまいます。一戸建てと大きく異なる特徴なので気を付けてください。

【マンションの保険適用部分】

マンション居住者が各自で保険契約をするのは、「建物の専有部分」と「家財」です。

共用部分に関しては、マンションの管理者が火災保険に加入しているケースが一般的です。地震保険に加入しているかどうかは、各自で確認しなければなりません。

各自で保険契約をしており、建物の専有部分と家財に保険金が発生した場合は、契約者本人が保険金を受け取ります。

共用部分で発生した保険金に関しては、マンション管理者を通じて居住者に分配されます。専有部分と共用部分で契約者が異なるため、きちんと覚えておきましょう。

【マンションの査定方法】

建物の査定方法は一戸建ての場合と同様です。主要構造部ではない門や塀、ガラスだけの破損などは補償対象外です。

家財の査定方法も、一戸建てと同様に計算します。建物のほうは共用部分の査定結果に左右されますが、家財ならば損害区分の変更も少ないでしょう。

【マンション内での取り決め】

マンションの保険金は、1棟単位で分けられます。

割り振られた保険金に関して単純に戸数で割るのか、面積などによる持分で分けるのか、きちんと決めておきたいところです。マンション内での取り決めがなければトラブルに発展してしまいます。

【すぐに支払い手続きをしない】

地震保険では一部損の基準に満たなければ、被害があっても保険金が発生しません。マンションでは特に専有部分と共用部分の問題があるため、鑑定結果によって大きく左右されます。

鑑定結果に関してはその日のうちに判明します。よく説明を聞いて、納得がいかなければ再鑑定を依頼しましょう。

すぐにその場で支払い手続きをすると、「実は損をしていた…」なんてこともあり得ます。泣き寝入りしないように十分注意してください。

まとめ

一戸建てとマンションでは、地震保険の査定方法が若干異なります。地震により被害を受けた後に、まずは映像に残しておいたほうが良いでしょう。

また2017年から、地震保険料が支払われる区分が細かくなりました。大した被害ではなくても、申請すれば建物や家財を補償してもらえるかもしれません。鑑定結果に納得できなければ再鑑定も依頼できるため、時間をかけて見てもらいましょう。

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