法事と法要の違いって?一般的には何回忌までやるべき?知っておきたい、法事の必要性
法事は、きちんとした理由のもとで行われています。それは、亡くなった方のためだけではなく、遺族、親族、友人、知人全員のためになるからです。こちらでは、法事を行う理由と共に、法要との違いや年回忌法要のポイントを見ていきます。
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■法事をする理由って?法事の種類は?
法事を行う際は、遺族は親戚だけではなく、亡くなった方の友人、知人など、大勢の人たちに連絡する必要があります。呼ばれた人たちも、仕事の予定を変更してまで集まります。では、一体なぜここまでして法事をする必要があるのでしょうか。まずは、法事をする理由についてご紹介します。
【法事をする理由】
法事は、遺族のために行うものです。亡くなった方の家族は、大切な人を失ったことで、とても大きな悲しみを抱いています。この喪失感を少しでも和らげるために、法事が存在します。遺族は法事があることで、喪失感を徐々に思い出へと転化させられます。「こんなに大勢の人たちが集まって、本当に幸せな人生だったんだな」と感じられる点が、法事の素晴らしいところです。
また、「故人をしのぶ」という言葉があるように、法事は亡くなった方の生前を懐かしんで、思い出すための行事でもあります。みなで集まり、亡くなった方の存在に感謝する貴重な機会であるともいえます。亡くなってから月日が経っても、法要は遺族だけで定期的に行われます。こちらは数ヶ月で終わらず、数年、数十年と続くものです。「もうあの人がいなくなってから、こんなに経つんだね」と、悲しい気持ちを前向きに捉えることができる大切な時間であるといえます。
【亡くなった方のためにも法事を行う】
法事は遺族のためだけでなく、亡くなった方のためにも行われています。法事のベースには、仏教特有の「輪廻転生(りんねてんせい、りんねてんしょう)」という考えがあります。輪廻転生とは、「亡くなった方は来世に生まれ変わる」という仏教用語です。
仏教によると、世のなかには6つの世界があるとされています。6つの世界とは、「天・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄」のこと。これらを「六道(りくどう、ろくどう)」と呼び、どの世界に生まれ変わるかは「死後に受ける裁き」によって決まります。
裁きは極楽浄土で行われ、亡くなってから7日後に判定が下されます。そして、最終的な判定は49日後に下される、というものが輪廻転生の考えです。法事でよく「四十九日」という言葉が使われるのはこのためです。ぜひ覚えておきましょう。
亡くなった方によりよい裁きが下るよう、私たちは仏様にお祈りをする必要があるのです。このように、「善」「功徳」を送ることが、法事を行う理由として挙げられています。
【法事の種類】
輪廻転生の考えに基づき、死後7日ごとに法要が行われます。このような日数を基準とした法要は「忌日法要(きにちほうよう)」と呼ばれます。法事には他にも「月忌法要(がっきほうよう)」「年忌法要(きじつほうよう)」などがあります。月忌法要はいわゆる命日であり、亡くなった日に毎月「善」「功徳」を送ることです。月忌法要は「月参り(つきまいり)」とも呼ばれ、遺族で墓参りをしたり、僧侶に読経をお願いしたりします。
年忌法要では、年単位で「善」「功徳」を送ります。また、亡くなった方は「13人の仏様に会う」とされています。仏教用語では「十三仏(じゅうさんぶつ)」と呼び、13回の追善供養のために年忌法要を行います。
■法事と法要の違い
ここまで「法事」や「法要」といった言葉が何度か出ていますが、実は少し意味が異なります。法要は亡くなった方を供養するものであり、法事は法要後の後席の会食までを含みます。
もう少し詳しく見ていきましょう。一般的に法要とは、住職にお経をあげてもらうことを指します。また、仏教儀式の総称としても使われており、「亡くなった方のために供養や回向(えこう)を行う」といった意味もあります。そして供養とは、亡くなった方の霊に「お供え」をして冥福を祈ることを指します。
【冥福とは?】
冥福とは、「冥途(めいど)の幸福」のことです。死後の世界である「冥途の旅」を無事に終えると、その魂は極楽浄土へと向かいます。「亡くなったあとも幸せになってください」と思いを込めるのが、法事や法要の目的です。
ただし、冥福は仏教用語であるため、キリスト教の方に対しては使わないようにしましょう。キリストの教えでは、「亡くなった方の魂は天国へ向かう」とされています。キリスト教の葬儀では「ご冥福をお祈りします」「お悔やみ申し上げます」ではなく、「安らかな眠りをお祈りいたします」と伝えましょう。
■忌日法要
法事の種類で紹介した「忌日法要(きじつほうよう)」について、もう少し詳しく見ていきます。忌日法要とは、死後7日ごとに49日間、計7回の法要を行うことです。
【7日目:初七日(しょなぬか)】
命日を含めて7日目の忌日法要を、「初七日(しょなぬか)」といいます。この日は亡くなった方が無事に三途の川を渡れるよう願いましょう。初七日では、遺族だけではなく親戚や友人、知人も列席します。僧侶が読経したあと、全員で焼香や御斎(おとき:法要後の食事会)を行います。
また最近では、火葬場からの遺骨を迎える「還骨勤行(かんこつごんぎょう)」も初七日で行われるようになっています。一般的な葬式をイメージすると分かりやすいでしょう。
【14日目:二七日(ふたなぬか)】
二七日は、亡くなった方の「殺生行為」に対する減罪を願う日とされています。遺族のみで営まれ、僧侶の読経や焼香に関しては省かれます。
【21日目:三七日(みなぬか)】
三七日は、亡くなった方の「邪淫」に対する減罪を願う日です。こちらも遺族のみで営まれ、僧侶の読経や焼香に関しては省かれます。
【28日目:四七日(よなぬか)】
四七日は、亡くなった方の「言動」に対する減罪を願う日とされています。遺族のみで営まれ、通例では僧侶の読経や焼香が省かれます。
【35日目:五七日(いつなぬか)】
五七日は、亡くなった方の「全ての悪行」に対する減罪を願う日です。二七日や三七日、四七日と同様、遺族のみで行われ、僧侶の読経や焼香は省略されます。
宗派や地域によっては、五七日で喪に服す期間を終える日、つまり「忌明け(きあけ、いみあけ)」になる場合があります。その場合には、後述の49日目(七七日)と同じ法要を行います。
【42日目:六七日(ろくしちにち)】
六七日は、亡くなった方の「全ての悪行」に対する減罪を願う日です。こちらも遺族のみでで、僧侶の読経や焼香は省略されます。
【49日目:七七日(しちしちにち)】
七七日は、極楽浄土に行けるかどうかの判定が下される日です。初七日と同様、遺族だけではなく、親族や友人、知人も列席します。僧侶が読経したあと、全員で焼香や御斎(おとき)を行います。
一般的には、この日が忌明けであり、納骨が行われることが多いです。また、本位牌を仏壇へ、白木の位牌を菩提寺(ぼだいじ:先祖代々のお墓がある寺院)へ納める作業も行います。親戚に訪ねてみるか、亡くなった方の地元周辺の寺院に問い合わせれば、菩提寺の場所も判別できるでしょう。
【100日目:百か日】
百か日とは、悲しみにくれることをやめる日です。卒哭忌(そっこくき)とも呼ばれており、残された遺族が「哭くことから卒する」べく法要を行います。遺族のみで営まれ、僧侶の読経や焼香は省かれます。
■年忌法要
年忌法要とは、亡くなった方の「同月同日の命日」に法要を行うことです。年忌法要の日を、「祥月命日(しょうつきめいにち)」ともいいます。私たちが「命日」 と口にするときは、この祥月命日を指します。年忌法要を行う目的は、「遺族が亡くなった方の思い出を振り返るため」だけではなく、「極楽浄土に行った故人が、さらなる精進の道へと進むため」ともされています。
年忌法要は一周忌から三十三回忌と続きます。長く続いた修行の終盤として、亡くなった方は「菩薩(ぼさつ)の道」へと進みます。菩薩の道へ進むことで「ご先祖様」、つまり「守り神」となるのです。代々受け継がれていく行事であるため、こちらもしっかりと覚えておきましょう。
【1年目:一周忌】
故人が亡くなってからちょうど1年経った日に、一周忌を行います。遺族や親族をはじめ、友人や知人も列席します。僧侶が読経を行ったあと、全員で焼香や御斎を行います。
【2年目:三回忌】
一周忌同様、遺族や親族、知人なども招かれます。僧侶が読経を行ったあとは、全員で焼香や御斎を行います。
【6年目:七回忌】
七回忌からは、遺族や親族のみで営まれます。また、七回忌以降は法要の規模が徐々に縮小されていきます。
【12年目:十三回忌】
こちらも遺族のみで営まれます。ここからは親族が参加することもなくなり、大切な方を亡くした家族だけで法要を行います。
【16年目:十七回忌、22年目:二十三回忌、26年目二十七回忌】
これら3つも遺族のみで営まれますが、省略されるケースが多いです。
【32年目:三十三回忌】
十三回忌以降同様、こちらも遺族のみで営まれます。また、三十三回忌に「弔い上げ(とむらいあげ)」となることが多いです。弔い上げとは「これ以降は年忌法要をしない」という意味であり、すなわち年忌法要の最後の年であるといえます。
なぜ三十三回忌に弔い上げを行うのかというと、そこには仏教の教えがあるからです。仏教では、「三十三回忌まで来ればどんな人でも無罪となり、極楽浄土へ旅立てる」といわれています。現代でもその教えを守り、32年目に年忌法要を終える家庭が多いです。
「弔い上げ」を終えたら、戒名が刻まれた位牌を仏壇から片付け、この日以降は「〇〇家先祖の霊」と記された位牌を安置します。地域や宗派によっては、三十三回忌以降も年忌法要が続き、永代供養をする場合があります。
【36年目:三十七回忌、42年目:四十三回忌、49年目:五十回忌、99年目:百回忌】
五十回忌で弔い上げとなる地域や宗派もあり、「いつまで年忌法要を行うのか?」は一概にはいえません。宗派の教えに沿うのか、個人の意思を尊重するのか、状況によって変わります。
■一般的に何回忌までやっている?
仏教の世界では、これまでにご紹介した法事や法要をきちんと行う必要がありますが、現代では忙しくて時間が作れない方も多いことでしょう。時代の変化とともに、法要も重要な日だけを行うケースが増えています。
忌日法要で重要な日は、「初七日(7日目)」「五七日(35日目)」「七七日(49日目)」の3回です。近年ではさらに少なくなり、初七日と七七日のみで法要される方も多いです。その他の法要では「遺族の礼拝のみ」にとどめている点が、一般的な忌日法要といえます。
また、年忌法要では「七回忌(6年目)」「十三回忌(12年目)」「三十三回忌(32年目)」の3回が重要です。ただし、地域や宗派によっては「五十回忌(49年目)」も重要な年忌法要となるため、こちらにも十分注意してください。
三十三回忌(32年目)と五十回忌(49年目)は、年忌法要のなかでも「弔い上げ」になる年です。法事の締めくくりであり、遺族の方々も日常生活を送れるようになる大切な年であるといえます。自分の家系がどこまで年忌法要を行っているのか、これを機会に確認してみてもよいでしょう。
【年忌法要を行うタイミング】
昔は命日に「年忌法要」を行っていましたが、現在では命日より少し前の土曜か日曜に行っています。これは、「みんなが集まりやすいように」という意思を尊重して、風習が変わってきたからです。
ただし、「命日後に年忌法要を行わない」という法要のマナーもあります。間違えてしまいがちですので、十分に気を付けましょう。なぜこのようなマナーがあるかというと、古くから「仏様のことは先延ばしにしない」との教えがあるからです。年忌法要が平日になる場合は、直前の土曜日か日曜日にずらしましょう。
■まとめ
法事は、遺族の喪失感を思い出に変えるため、人とのつながりを改めて確認するためのものです。同時に、亡くなった方が幸せに転生するための大切な儀式でもあります。単なる行事として受け止めるのではなく、故人へ感謝する貴重な機会にしましょう。
なお、「弔い上げ」は地域や宗派によって異なります。法要の取り決めに関しては親族だけではなく、周囲の方々にも相談してみることをおすすめします。
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