省エネ住宅ってどんな家なの?メリット・デメリットもしっかり理解して検討しましょう
地球温暖化を緩和させるためにさまざまなエコ活動が見られますが、その活動を住宅に応用したものが「省エネ住宅」です。しかし「実際に住人にはどのようなメリットがあるのかいまいちよくわからない」という方もいるのではないでしょうか。そこで今回は省エネ住宅について詳しくご紹介します。
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省エネ住宅って?
そもそも省エネ住宅とはどのような住宅なのでしょうか。簡単に言うと、消費エネルギーを極力抑えた家のこと。
家庭では冷暖房や給湯器などさまざまなものにエネルギーを使っていて、日本で1年に発生する二酸化炭素は12億トンにものぼると言われています。そして、そのうちの1割が住宅から出ていると言われているのです。
こうした点から、消費エネルギーの削減とともに二酸化炭素の排出量を減らすことが省エネ住宅の目的となっています。
また、単純にエネルギー消費を抑えれば良いのではなく、省エネでありながら快適であるという点が省エネ住宅におけるポイントとなります。
「快適な住宅」とは、真冬や真夏でも過ごしやすい家のこと。中でも、部屋の暖かさを逃さない「断熱」、外からの熱気を入れない「日射遮蔽」が快適さを決めるカギとなります。
断熱と日射遮蔽の機能が高い家であれば、冷暖房に頼る必要がなくなり、自然と消費エネルギーの削減にもつながるためです。
家の中ではさまざまなことにエネルギーを消費しますが、全体の30%を冷暖房が占めていると言われています。そのためこの部分を改善することで大幅な省エネも見込めるのです。
省エネ住宅で利用される自然エネルギー
省エネ住宅において欠かせないのが「自然エネルギー」というもの。あまり聞きなれない言葉ですが、太陽光や風、水の力を活用したエネルギーのこと。
これらを二酸化炭素の原因となる電気やガス、石油などのエネルギーの代わりに使うことで省エネにつながります。
自然エネルギーは、主に「太陽熱」「風」「地熱」の3つが重宝されています。以下でそれぞれのエネルギーの活用法を見てみましょう。
【太陽エネルギーの活用】
太陽エネルギーは主に太陽光発電に活用されていて、屋根や庭に太陽光パネルを設置して電気に変換するという方法が採用されています。
実際につくられた電気は家庭で使うことができるほか、余ったら電力会社に買い取ってもらうこともできます。また、太陽光とオール電化を併用すれば、節約にもつながるでしょう。
つくられた太陽光熱は、冬と夏で異なる活用法が考えられます。
例えば冬は、外気を専用のダクトで取り込んで屋根に設置したガラスで暖め、それを床下に送って放出することで家を暖めることができます。夜は外気の取り込みを中止して、床下に貯めた暖かい空気を放出すれば家中が暖かいまま夜を過ごすこともできるでしょう。
一方、夏には暑い空気が家に溜まらないように屋外に熱気を放出することもできます。さらに、放出した空気や太陽熱を活用してお湯を沸かす仕組みにしておけば、お風呂や給湯などに活用することもできます。
【地熱エネルギーの活用】
地熱エネルギーとは、日本の豊かな地熱資源を活用したもの。地下5メートルの地中は一年中安定した温度を保っているため、太陽光発電や風力発電のように天気に左右されることがないという強みを持ったエネルギーです。
地中熱の活用法にはいくつかありますが、ひとつめは「空気循環」、ふたつめは「熱伝導」です。
空気循環には「クールチューブ方式」と「ヒートポンプ方式」があります。
クールチューブ方式は建物の外から地中にかけて管を埋め、地中から建物内にもその管を通すというもの。夏に30度の外気を管に通すと、15度ほどの地中で冷やされます。
そしてそれを屋内に持ち込んで室内を冷やすという仕組みです。しかしこの方法にはデメリットもあります。高温多湿な地中で冷やすため結露が生じカビが生えてしまうのです。
そこで採用されるのが「ヒートポンプ方式」。管の中には外気ではなく気体の冷媒を通して熱を取り除くことで結露を防ぐことができるのです。
また、熱伝導に利用する場合は「伝導型地中熱利用方法」というものが採用されています。
床下システムというものを設置しておき、春から夏にかけて暖められた地中熱を冬まで持ち越します。そして冬になると床下に暖気を送り込み家を暖めるという仕組みです。
そのほかにも、風車の回転を利用した風力エネルギーや、水の力を利用した水力エネルギーなどが挙げられます。
省エネ住宅の設計ポイント
実際に省エネ住宅の建設を考える際に、どんなところに気をつけたら良いのでしょうか。
住宅が省エネ住宅に該当するかどうかを判断するには「住宅の省エネルギー基準」というものが基準とされていて、一般的にはこれを満たすと省エネ住宅とみなされています。
これは1980年に制定されて以来、法律の改正に合わせて強化されていて、2013年の改正時からは外皮性能と住宅全体で使用するエネルギー量の二面から住宅の省エネルギー性能が評価されるようになりました。
また、この基準は日本全国を8地域に分け、エリアごとに基準値を定めています。さらに、省エネ基準を上回る基準として「住宅事業建築主の判断の基準」、「低炭素建築物の認定基準」というものもあります。
これらの基準を満たすためには高度な設計が求められますが、以下のような点に気をつけておくと良いでしょう。
【断熱】
まず大切なのが断熱を意識することです。床、外壁、天井、屋根など外気に接している部分を断熱材で隙間なく包みましょう。室内から熱を逃さず温度を下げないことが大切です。
もし断熱材に隙間があると熱が室外へと逃げてしまうだけでなく、逆に外から熱が侵入しやすくなってしまいます。
すると室内の温度を一定に保つことが難しくなり、結果的に結露ができやすくなってしまうのです。
特に大切なのが、窓など開口部の断熱。冬の暖房時に室外へ出てしまう熱の5割が開口部から、夏の冷房時に外から侵入する熱の7割が開口部からと言われていることからも、断熱のキーポイントであることが窺えます。
二重窓にしたり複層ガラスの窓にしたりすることも効果的です。
【遮熱】
次に大切なのが遮熱です。断熱が進むと今度は熱を外に出すことが難しくなってしまうため、直射日光による熱が入り込むのを避ける必要があるのです。
遮熱をすると冷暖房の効きが良くなるというメリットがあります。
遮熱の具体的な方法には、窓の内外にブラインドや遮熱ガラス、ひさしなどを設置して太陽熱を遮断する方法が考えられます。
ブラインドなどは、窓の内側より外側につける方が効果がぐんと上がります。
【換気】
そして換気も非常に重要です。絶えず空気が流れる環境をつくっておくことで部屋間の温度を一定に保つことができるようになり、快適性が向上するだけでなく結露予防にもなります。
省エネ住宅のメリット
省エネ住宅にすると快適な住まいが手に入ることがわかりましたが、実際にはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で見てみましょう。
【コストが削減できる】
まずは省エネが実現することによってコスト削減につながるという点がもっとも大きなメリットだと言えるでしょう。
住宅の環境が整うことによって冷暖房に使う費用を削減することができます。さらに太陽光発電などでつくった電気を売ればお金をつくることも可能です。
【家の中の寒暖差が少ない】
前述の通り、省エネ住宅には断熱材が使われていて、家の中の温度差を少なくするように努めています。機密性にも優れているため、外の寒さや気温の変化に影響を受けることが少なくなります。
家の中の部屋間の温度差も少なくなるので、高齢者やペット、赤ちゃんにとっても住みやすい住宅が実現します。
【空気がきれい】
省エネ住宅は気密性にも優れていますが、一方で空気が外へ出て行きにくくなり淀んでしまうというデメリットも考えられます。
そこで現在の省エネ住宅では、室内の空気を効率よく換気するシステムを採用。計画的に空気を循環し、いつでも家の中の空気をきれいに保つことができるようになりました。
【遮音性、耐久性が高い】
気密性の高さゆえに、外からの騒音をシャットアウトするとともに、家の中で発生した音も外に漏れにくいつくりにもなっています。結果、遮音性の高さも兼ね備えた住宅になります。
また、断熱性が高く結露を防いでくれるのも省エネ住宅のポイントのひとつ。そのため構造部に腐食が出ることもなく家自体の耐久性も向上します。
【環境にやさしい】
そして忘れてはならないのが、本来の目的である地球にやさしい家であるという点。
自然エネルギーを駆使しているので、問題となっている二酸化炭素や有害物質の排出量を抑えることに成功し、人間だけでなく、環境にもやさしい住宅が実現します。
省エネ住宅のデメリット
良いところだらけのように思える省エネ住宅ですが、デメリットもあるのでしょうか。実は使うエネルギーやつくりが通常とは異なっているために初期費用が高くなってしまうのです。
例えばオール電化にする場合、自然エネルギーを使った設計にすることからも、一般的にガスの設備に比べると費用は高く設定されています。
新築で省エネ住宅にする際はもちろん、リフォームで省エネ住宅を実現する場合でもコストは高くついてしまうでしょう。
そのため、窓などの開口部だけに絞ってリフォームをするなど部分的なリフォームからはじめるという方も多く見られます。
しかし、初期費用が高いからと言って省エネ住宅を諦める必要はありません。日本では省エネ住宅の普及に力を入れていることからも省エネ住宅に対する補助を拡大しています。
実際に以下のような補助があるので、一度検討してみると良いでしょう。
【エコキュート補助金】
給湯に使用するエネルギーは、家庭で消費するエネルギー量の3分の1を占めていると言われています。
そのためエコキュートは省エネ効果の高い給湯器として国から認定され、補助金の交付対象になっています。
しかし、国の補助はすでに終了していて、全国一律の補助は存在していません。現在は自治体ごとに補助を行なっていて、補助金額も自治体によって異なります。
また、自治体によっては補助を終了しているところもあるので注意が必要です。補助を希望する場合は、まず自治体が補助を行なっているかどうか確認しましょう。
さらに補助は先着順となっているため、見つけたら早めに申し込んでおくと良いでしょう。
【省エネリフォーム減税】
また、省エネ機能が向上するリフォームを行う場合は税の控除が受けられます。
例えばすべての窓に二重サッシやペアガラスを取り付けるなどの断熱リフォームと、天井裏に断熱材を設置するなどのリフォームを行った場合などが対象となります。
減税には主に、「ローン型減税」、「投資型減税」、「固定資産税の減税」の3つがあり、状況に応じて併用することも可能です。
ローン型減税の場合は5年以上の住宅ローンを借りて一定の省エネリフォームをした場合に利用することができ、一方の投資型減税の場合は住宅ローンの借り入れがなくても利用することができるもの。
太陽光発電も設置する場合は控除額が増額されます。また、リフォーム完了の翌年にかかる固定資産税を3分の1減額することも可能となります。
もし省エネリフォームを検討している場合は、これらを上手に使って賢く省エネ住宅をつくりましょう。
まとめ
省エネ住宅は環境にやさしいだけでなく人間にとっても快適で住みやすい家を実現してくれるものであることがわかりました。初期費用が高いというネックは補助金を活用しながら解決すれば、通常のリフォームと大差ない費用で行うことも可能です。家での時間をより心地よいものにするためにも一度検討してみるのも良いでしょう。
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