太陽光発電で曇りの日の発電量はどれくらい落ちるの?気になる疑問を解説します

太陽光発電システムは、太陽の光が必ず当たる場所に設置されています。大抵の場合は住宅の屋根の上やカーポートの上などです。設置する際には、太陽の光がきちんと当たるか、その障害となるものはないかなどについて、細かく業者がチェックの上取り付けてくれます。しかし、何も問題がない状態で設置したとしても天候などの状況によって発電量は変化します。そこで今回は、曇りの日の発電量の変化について解説していきます。

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曇りの日には、そもそも発電できるの?

太陽光発電とは太陽電池モジュールを使い、そこに太陽光を当てることで電気に変換するシステムを指しています。

太陽電池モジュールには「太陽電池セル」という小さな基盤を大量に接続したものが用いられており、それらが大きな電力を発生させています。この太陽電池セルにはシリコン(半導体)が使われており、このセルに光が当たると発電が行われるという仕組みになっています。

太陽の光が当たらないと発電できないのなら、太陽光発電は晴れの日にしか使えないのだろうか? 天気が悪ければ発電できないとなると、それほどお得にならないのでは……と、思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。確かに、今にも雨が降り出しそうな暗い空のときや雨の日などは、発電できそうに見えないこともあるでしょう。

しかし、曇っている日や雨の日も発電量は決してゼロにはなりません。昼間はどんなに悪天候でも夜のように真っ暗ではないことからわかるよう、太陽は天候にかかわらず光を地表に照射しているのです。とはいえ、晴れの日と比較すれば発電量は少なくなることも事実です。

では、うす曇りの日はどうでしょう。晴れた日と比較し、少しでも曇っていれば雲が太陽光をさえぎるため発電量は若干低下してしまいます。また、雲が厚くなるほど太陽光は弱くなってしまいますが、それでも発電がまったく行われなくなることはありません。

曇りの日に発電量を左右する要素とは?

太陽光は、照射の方向性によって以下の2種に分類されます。

・直達光…太陽から直接受ける光
・散乱光…太陽光が雲内部で反射や屈折、散乱した光

太陽が出ている間は直達光が強くなりますから、太陽光発電でも多くの電力を発生させることができます。その一方で、曇りの日には直達光が届きにくくなるため、散乱光が増加します。晴れの日は散乱光の割合が3~4割であることに対し、曇りの日には地上に届く太陽光のほとんどが散乱光となります。これが、曇りの日には太陽光は届いているものの太陽光発電の発電量は低下してしまうことの主な理由です。

直達光は太陽電池モジュールに太陽光が直角に入射したとき、発電量も最も大きくなります。しかし、散乱光の場合には空全体から光が入ってくるため、太陽の位置はあまり関係ありません。また、同じ天候でも周辺の環境によって光の強さも変わりますから、発電量も異なってきます。散乱光が多い曇りの日には、なおさらその傾向が強くなると言われています。

曇りの日の発電量は具体的にどのくらい?

では、うす曇りの日の発電量は晴れている日と比較してどのくらいの差があるのでしょうか? 晴天時の発電量を100%とした場合、各メーカーや性能、季節、雨や雲の程度によりますが、一般的には40%~60%程度まで低下すると言われています。この数値は、太陽光発電システムの中では最もポピュラーな「シリコン系太陽発電池」の場合です。

曇りの日の発電量を上げるには?

曇りの日には発電量が少なくなることはわかったけれど、せっかく太陽光発電システムを取り付けるなら、曇りの日にもできるだけ発電量を向上させたい! と、どなたでも考えるはずです。その場合はやはり、天候以外で発電に悪影響を与えているものをできるだけなくす方法を考えましょう。

・パネルのこまめな清掃
・パワーコンディショナーなど周辺機器の点検やメンテナンス
・パネルの設置角度の見直し

私たちができる対策と言えば、上記の3つが代表的でしょう。特にパネルは経年で汚れていたり、落ち葉などが付着していたりすることで知らないうちに発電効率を落としてしまっている場合があります。しかし、こまめな清掃が必要とはいえご自分で屋根に上って掃除すると危険ですから、専門業者にお願いして定期的にクリーニングしてもらうと良いでしょう。

次に、曇りの日の発電対策として期待されている次世代の太陽光発電システムについて見ていきましょう。現在最もポピュラーな太陽光発電システムは、先に述べた「シリコン系太陽発電池」ですが、最近注目され始めているのが「CIS系」「CIGS系」の太陽電池です。非シリコン系・化合物系で影や曇りに強く、生産コストもシリコン系より安く済むので経済的というメリットがあります。

また、CIS系の太陽電池はシリコン系太陽電池に比べて光吸収率が非常に高く、100分の1の厚みであっても同等の太陽光を発電に利用することができます。そして最大のメリットは、天候の関係で全体的に発電量が減るシリコン系太陽電池とは異なり、1部分が太陽光に当たってさえいれば、その部分で効率的に発電してくれるというところです。つまり曇りの日に少し太陽光が当たっているだけでも、より多くの発電量が期待できるのです。

CIS系の太陽電池のデメリットとしては、太陽電池変換効率が少ない点が指摘されていますが、シリコン系と同等の費用でより大きなパネルを設置できますから、結果的には多くの発電量を見込むことができるのです。また、CIGS太陽電池はCIS太陽電池よりも多くの光エネルギーを変換できるように工夫がされています。

まとめ

太陽光発電システムは日々研究が進んでいますから、性能の向上も日進月歩で行われています。最近では、赤外線を利用して発電する新しい発電モジュールも実用に向けて研究されていると言われています。現在の太陽光発電においては、雨の日や曇りの日に発電量が低下してしまうのは仕方がないこととされていますが、将来的には太陽光発電に天候が障害とならなくなる日がやってくるかもしれませんね。

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