冬のガーデニングに最適なビオラ。花言葉と上手な育て方、砂糖漬けの作り方
花の少なくなる冬の時期に、可憐な花を咲かせてくれるビオラ。ヨーロッパで昔から愛されてきた花で、オーストリア皇妃エリザベートは、その花の砂糖漬けを好んだとか。花言葉もロマンチックで、ギリシャ神話にも登場します。育て方から砂糖漬けの作り方まで、ビオラの楽しみ方を紹介します。
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ビオラ、パンジー、すみれ…種類の違いは?
植物学的に言うと、学名がViola(ヴィオラ)、それが日本では菫(すみれ)と呼ばれています。春先に小さな紫色の花を咲かせる野生種が原種で、日本でも北海道から鹿児島県の諸島部にまで広がっています。
すみれの語源は「墨入れ(すみいれ)」とも言われます。それは、花の形が、墨入れのツボのような形状をしているから。日本では山菜のひとつとしても親しまれてきた歴史があり、葉を天ぷらやおひたしにして食べていました。花をお吸い物に浮かべて、その可憐な姿を愛でる風流な楽しみ方もあります。
ビオラとパンジーの違い
ビオラとパンジーは、実は同じすみれの仲間です。花の大きさによって、呼び名が変わってくるだけです。パンジーは5cm以上、ビオラは5cm未満で、それ以外の色や形に大きな違いはありません。
現在では、園芸用にさまざまな品種が生み出されています。パンジーやビオラとして日本で親しまれているものは、主に、ヨーロッパに原生していたものを品種改良した園芸品種です。
ギリシャ神話にも登場するビオラ
ビオラは、ヨーロッパでは春の訪れを告げる花として親しまれています。ギリシャ神話では、太陽神アポロンから愛された娘イアの化身。イアには羊飼いの婚約者がいたため、アポロンの求愛をこばんだのですが、それに怒ったアポロンがイアをビオラに変えてしまったという物語です。
ほかにも、アポロンの求愛に婚約者のいる身として困ってしまったイアが、貞操の女神アルテミスに自分の姿を人間以外に変えてくれるよう頼んだという言い伝えもあります。その願いを聞き入れたアルテミスが、彼女をビオラに変えたというもの。いずれにせよ、太陽神アポロンに愛されるほど美しく可憐な乙女の化身がビオラです。
冬のガーデニングにおすすめなワケ
ビオラは小ぶりな花の愛らしい1年草です。冬の花壇は花が少なくなりがち。でも、ビオラは、冬から春にかけてしっかりと咲いてくれるうえ、寒さにも強いのが特徴です。室内でも気温の下がる窓辺を飾るのに適しているほか、冬のガーデニング用の花としてもおすすめです。
ビオラは花が小さく、パンジーのように派手な印象を与えないので、寄せ植えにも向いています。同じ環境を好む植物と一緒に植えて楽しみましょう。甘い香りのあるスイートアリッサムやストックは、やわらかな花色もぴったり。また、ガーデンシクラメンもオススメです。花が長持ちするタイプなので、ビオラの花がない時でも窓辺や庭を華やかに彩り続けてくれるでしょう。
ビオラの上手な育て方
ビオラの開花期は、10月下旬から5月半ば頃までです。花の咲く時期が半年以上にも及ぶため、肥料をマメにあげたほうが長く花を楽しめるでしょう。月に1回ほどは、暖効性の固形肥料を置くようにします。
また、気温が高くなってくると虫がつきやすくなってきます。こまめに花がらを摘んで、病気を予防しましょう。液体の虫よけを用意しておくと、虫がつき始めた時、サッとスプレーできるので便利です。
水やりは朝!
ビオラの咲く時期は、夜間の温度が下がる時でもあります。そのため、夕方に水やりをすると、凍ってしまい、根が傷むことになりかねません。水やりは、朝のうちにしっかり行いましょう。鉢の下から水が流れ出るほどあげます。あとは、風通しの良い場所に置いて、多湿になるのを防げばOKです。
花がら摘みの仕方
ビオラの花は、種がつきやすいので、花が終わったらこまめに花がら摘みをするのも、長く楽しむためのポイント。花の部分だけでなく、その下の茎の部分も切ってしまいます。ビオラの茎は細いので、手でつまめば簡単に取ることができるでしょう。
思い切って刈り込む
ビオラの花を長く楽しむには、開花期の間に適切なタイミングで全体を刈り込む必要があります。ビオラは上へ上へと成長していくので、放っておくと自立できなくなることも。花が少なくなってきたら、1度思い切って刈り込んでしまいましょう。株元に近い部分、ふくらんだ節の上で切ると、株が元気を取り戻し、そこから新しい花芽が成長します。
刈り込んだ花は、せっかくなので水に生けて楽しみましょう。暑さに弱いので、トイレや洗面所など、冬の空調の影響が少ない場所に置きます。花が多くなってきて風通しが悪いような時も、花を切って、生け花として楽しむといいですね。
ロマンチックなビオラの花言葉
小さなかわいらしい姿から、ビオラにはロマンチックな花言葉が充てられています。「謙虚」「誠実」「信頼」「小さな愛」「少女の恋」「私のこと想ってください」などが全体に共通する花言葉。ギリシャ神話の太陽神アポロンに愛された乙女イアを彷彿とさせますね。
また、ビオラの色によって異なる花言葉もあります。
➢ 白いビオラ……「あどけない恋」「無邪気な恋」など。
➢ 紫色のビオラ……「貞節」「愛」など。
➢ 黄色いビオラ……「田園の幸福」「つつましい喜び」など。
歴史あるスイーツ、ビオラ(すみれ)の花の砂糖漬け
ヨーロッパでは、昔からビオラの花を砂糖漬けにしてスイーツとして親しんできました。美貌の皇妃エリザベートが愛したスイーツとしても有名です。ビオラの花の砂糖漬けをココアに浮かべて飲むのは、ショパンのお気に入りだったとか。日本では匂いすみれと呼ばれる品種で作るのがオススメ。農薬を使っているものはNGです。
1. 花を摘んで、よく水洗いし、水分をキッチンペーパーでふき取る。
2. そのまま完全に花びらが乾くまで、2~3時間ほど乾燥させる。
3. 乾いた花に、泡立てた卵白をハケなどでまんべんなく塗る。
4. そこへグラニュー糖をスプーンでかけながらたっぷりとまぶす。
5. 2時間~3時間ほど、完全に乾燥させたらできあがり。
ビオラの花びらはとても繊細なので、作業はていねいに注意深く行います。乾燥を早めるために、80度ほどの低温に予熱したオーブンに入れても良いでしょう。ただし、その際は、乾燥しすぎないように様子を見ながらやること。2の工程で乾かしすぎると、花びらがパリパリになり、壊れてしまいます。
かれんなビオラで冬を楽しく
小さなサイズがかわいらしいビオラ。パンジーのような華やかさはありませんが、清楚で可憐な美しさに、心が癒されるでしょう。丈夫で花がつきやすいので、切って生け花として楽しむこともできます。空き瓶や小さなグラスに生けるとちょっとしたインテリアに。
ビオラを砂糖漬けにして紅茶やココアに浮かべたり、手づくりスイーツにトッピングしたりするのもオススメ。冬のガーデニングにぴったりなだけでなく、さまざまな楽しみ方のできるのもビオラの大きな魅力です。
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