【クレマチスの育て方まとめ】剪定のコツやお手入れ方法に植え替えまで
クレマチスは、ガーデンプランツとしての人気が高く、愛好家が多い植物のひとつ。今回はそんなクレマチスを長く楽しむための、育て方や剪定のコツ、植え替え、増やし方、花言葉など、クレマチスに関する気になることを徹底的に紹介します! 上手に育ててガーデニングを楽しみましょう♪
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クレマチスってどんな植物?
クレマチスは北半球の各地を原産地とする植物で、日本でも約20種が自生しています。
「テッセン」という名で呼ばれることがありますが、テッセンは中国原産の原種。数あるクレマチスの1種です。以前は幻のクレマチスとしてなかなか目にする機会がなかったテッセンですが、最近は流通量が増えています。
クレマチスには、年に1回花を咲かせる「一季咲き」のものもあれば、剪定によって年に2回~3回花を楽しめる「四季咲き」のものもあります。また、クレマチスは花芽のつき方によって、「旧枝咲き」「新枝咲き」「新旧両枝咲き」の3つのタイプに大きく分けられ、それぞれ剪定方法が異なります。
購入時にどのタイプの株なのかをきちんと確認しておきましょう。
「旧枝咲き」クレマチスの種類
旧枝咲きのクレマチスは、前年に伸びた枝が休眠した後、また春に短い枝を伸ばしてそこに花を咲かせます。開花は基本的に年1回。開花時期にはいっせいに美しい花を咲かせる姿を楽しめます。代表的な系統には以下のようなものがあります。
➢ アーマンディー系
白もしくはピンクがかった花を咲かせます。甘い香りをもつのも特徴のひとつ。常緑性で、葉は細長い形をしています。
➢ モンタナ系
クレマチスの中でも、多く花をつける系統。よい香りがする品種が多く、一重咲きから八重咲きまでさまざまです。育てる時は、高温・多湿に注意します。
➢ シルホサ系
夏に休眠して、秋から春まで長い間花を楽しめる系統。小ぶりのかわいらしい花を下向きに咲かせます。
➢ フォステリ系
葉が見えなくなるほど小さな花をたくさんつける、見ごたえのある系統。一般的なクレマチスのイメージとは少し異なるかもしれません。葉は、ニンジンやパセリのような形をしています。香りを持つ品種もあります。
「旧枝咲き」クレマチスの剪定方法
花後は、すぐに花首の1節下で剪定します。3月~5月に花を咲かせた品種は、またツルがどんどん伸びていくので、6月上旬を目安に伸びたツルを半分くらいの長さに切っておきましょう。そうすることで、次の年に多くの花を咲かせます。
冬に花を咲かせる品種のうち、常緑性のものは同じように剪定を行いましょう。夏に休眠期に入る落葉性のクレマチスは、伸びたツルを3月中に剪定してくださいね。
「新枝咲き」クレマチスの種類
新枝咲きのクレマチスは、その年に伸びた枝に花を咲かせます。剪定の仕方によっては、年に2回~3回開花することも。剪定が比較的簡単なので、旧枝咲きより初心者向けといわれています。代表的な系統には以下のようなものがあります。
➢ ヴィチセラ系
ガーデン用に改良された系統で、庭植えに向いている品種が多く見られます。小輪~中輪の花をたくさんつける姿が美しく、丈夫で育てやすいといわれています。
➢ テキセンシス系
アメリカのテキサス州からメキシコにかけて自生する系統。小輪~中輪のチューリップのような花を、6月~10月にかけてたくさん咲かせます。暑さに強く、庭植えに適しています。
➢ ヴィオルナ系
ヨーロッパやシベリア、北米などに自生する系統で、ベルのような形の花を咲かせます。暑さにも寒さにも強いので、初心者でも比較的育てやすいでしょう。
➢ インテグリフォリア系
クレマチスでは珍しく、ツルになって絡みつかない木立性の系統。5月~10月にかけて花を楽しむことができます。香りを持つ品種も見られます。
「新枝咲き」クレマチスの剪定方法
花が咲き終わったら、種ができないように早めに花首から摘み取ります。全体の8割くらいの花が咲いたら、株元から2節~3節を残して短く切り戻してください。そうすることで、また美しい花を咲かせてくれます。
ちょっともったいない気もしますが、咲き終わった花を取るだけでは次の花が咲きません。切った花は花瓶に挿して、切り花として楽しむといいですね。
「新旧両枝咲き」クレマチスの種類
前年に伸びた枝から新しい枝が伸び、そこに花を咲かせるのが新旧両枝咲きのクレマチス。古い枝と新しい枝の両方に咲くわけではなく、あくまで古い枝から新しい枝が伸びて花を咲かせます。代表的な系統には以下のようなものがあります。
➢ テッセン系(フロリダ系)
中国原産のテッセン、もしくはテッセンとの交配によって生まれた系統。中輪の花を春~初夏、秋に咲かせます。
➢ タングチカ系
花の色は黄色が基本の系統で、半鐘形の花を咲かせます。香りを持つ品種もあります。
「新旧両枝咲き」クレマチスの剪定方法
開花時期は株をこまめにチェックして、咲き終わった花があれば花首から切り取ります。その後、全体の8割くらいの花が咲いたら剪定して、次の開花に備えましょう。
剪定は、ツルを長めに伸ばす「弱剪定」と、株元から2節~3節を残してバッサリ切る「強剪定」の2通り。弱剪定だと次の開花時期が早まる代わりに小さめの花に、強剪定は次の開花まで時間がかかる分、大きめの花を咲かせます。
どちらか一方にするのではなく、弱剪定と強剪定をうまく使い分ければ、長く花を楽しむことができておすすめです。
クレマチスはどこで育てればいい?
クレマチスは日光が好きな植物です。半日以上は日が当たる場所で育てましょう。明るさがあれば半日陰でも育ちますが、間延びしやすくなるうえ、花つきが悪くなります。
ただし、真夏の直射日光は苦手なので、場所を変えるか日よけを活用してください。また、風通しのよさも大切なポイントです。
クレマチスの水やりはどうする?
鉢植えの場合は、土の表面が乾いてから鉢底から水が出るまでたっぷり与えます。特に夏の暑い時期は乾きやすいので、朝と夕の1日2回の水やりが必要になることもあります。
庭植えのクレマチスの場合、乾燥が激しい時以外は特に水やりはしなくても大丈夫です。
クレマチスに肥料は必要?
クレマチスは「肥料食い」の植物といわれています。春から秋の生育期間中(冬咲きの品種は葉がついている期間)は定期的に肥料を与えましょう。緩効性の肥料を2か月に1回、液体肥料を2週間に1回くらいのペースで施します。
真夏は株が弱るので、施肥はストップします。涼しくなってきてから再開しましょう。
クレマチスは繁殖力が強い植物
クレマチスは、繁殖力がとても強い植物です。ツル性なので、支柱などに絡みついて成長していきます。何もしないままでいるとあちこちに伸びてしまうので、フェンスやネット、オベリスクなどに誘引してください。
繁殖力が強すぎて、時にほかの植物を駆逐してしまうことも。複数のクレマチスを近い場所で植えた場合も、根と根がケンカして生育不良を起こすため、十分な間隔を空けることが大切です。
鉢植えのクレマチスを地面に直置きしていると、根が鉢底から伸びて地中に広がり、移動できなくなってしまいます。レンガやコンクリート板などの台に乗せ、地面から離した状態で育てましょう。
クレマチスを植え替えるタイミングは?
植え替えをせずに放っておくと、根詰まりを起こしてしまいます。2年に1回くらいのペースで植え替えましょう。
植え替えをする時に気を付けたいのが、根の扱い方。クレマチスの根はとてもデリケートです。
根を傷つけないよう、土をほぐさずに植え替えます。ひと回り大きな鉢を用意して底に軽石を敷き、クレマチスをそっと入れてからすき間に新しい土を入れましょう。用土は、クレマチス専用の土を使うと便利です。
地植えの場合は、根が傷つくと枯れてしまうので、植え付けてから数年経った株は植え替えないほうがいいでしょう。無理やり植え替えるよりも、挿し木で増やすことをおすすめします。
クレマチスの増やし方
クレマチスは挿し木で増やすのが一般的です。適期は4月~7月頃。その年に伸びたツルを10cm~15cmほど切り取り、下から2節の葉を取り除いて切り口に発根剤をつけた後、鹿沼土や赤玉土など挿し木に向いた土に挿しましょう。
水が切れないように注意しながら管理し、根が出てくるのを待ちます。発根したら、クレマチス用の土に植え替えてくださいね。
クレマチスにつきやすい害虫は?
クレマチスに多いのが、「ナメクジ」や「アブラムシ」。ナメクジは葉や花を食べてしまい、アブラムシは吸汁して株を弱らせます。見つけ次第取り除いたり、殺虫剤を使って駆除しましょう。
そのほか、コガネムシの幼虫による被害も深刻です。成虫も葉や花を食べますが、幼虫は根をすごい勢いでかじっていきます。土の中にいるので、気付いた時には手遅れになっていることも少なくありません。
そのほか、アオムシやハダニにも注意が必要です。
クレマチスがかかりやすい病気は?
特に気を付けたいのが、「うどんこ病」。湿度が低く、気温が高い時に発生しやすくなります。
粉をまぶしたように白くなるのが特徴で、栄養分を吸収してクレマチスの成長を阻害します。そのほか、「立枯病」にも注意が必要。
こうした病気からクレマチスを守るためには、風通しがよい場所で管理することが大切です。特に庭植えはあまり手がかからないのでつい放置しがちですが、茎や葉の状態をこまめにチェックしてくださいね。
クレマチスの花言葉は「精神の美」「旅人の喜び」「策略」
細い茎なのに、大きな花をたくさん咲かせることから「精神の美」、クレマチスを宿の玄関に植えて旅人を迎えるヨーロッパの風習から「旅人の喜び」という花言葉がついたといわれています。ちなみに、玄関に植えるのは、キリストを抱いた聖母マリアが、旅の途中にクレマチスの茂みで休息をとったというエピソードに由来するのだそう。
「策略」は少しドキッとする花言葉ですが、かつてフランスの物乞いが毒性のあるクレマチスの葉の汁を使って肌をかぶれさせ、同情を誘ったことに由来するようです。
愛好家が多いクレマチスを育ててみよう!
可憐な花からはイメージできないほどの丈夫さを持つクレマチス。初心者でも、水やりと剪定に気を付ければ、美しい花を何度も楽しむことができるでしょう。
ガーデニングの本場イギリスでも、バラは「キング」、クレマチスは「クイーン」と称されているほど人気の植物です。そんな魅力いっぱいのクレマチスを、一度育ててみてはいかがでしょうか?
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